アメリカのアール・デコ・スカイスクレーパーを見た時の話だ。
スカイスクレーパーの高さを消した写真は、
禁じられた眼でその建築の秘密を見るような気分にさせる。
こうした高癩ビルが乱立している地域では、外壁までが都市の内側となり、
玄関まわりや低層部を飾る装飾が、密実な空気に押されて圧縮され、
壁面にレリーフ状に押し込まれている。
草木や動物のモチーフを幾何学的パターンで表層化するアール・デコの手法は、
建築に関しては、このマンハッタンがもっとも必然的だったと思うのだが、
この谷間のなかでは冠頂部はおろか、建築そのものさえ見え難い。