Xにも書いているのですが、全体的な感想をまず書きます。
優勝候補の転倒の多さにびっくり。鍵山くん、佳生くん、駿くん、草太くんとこれだけそろうっていったい???転倒こそしませんでしたが、友野くんも3Aに問題ありました。SPは要素をきっちりこなすのが大切なので、FSよりも慎重にとりくむことが多いです。たとえば鍵山くんが4S、4T+3Tと慎重に跳んでませんでした?
といっても4回転はいるとどうしてもミスでます。だけどここまでたくさんでますか、というかんじでした。鍵山くんは4回転の単独とコンボを慎重にきっちりきめたあとに、3Aが回転不足で転倒というあらら、というミスでしたし、佳生くんは勢いよく4S+3Tと3A、スピンを決めたあとだっただけに4Tの転倒はびっくりしました。回転はしてましたけど...駿くんのルッツは4回転になってませんでしたよね?3Lzのミスに近かったのじゃないかなあ。現役でまちがいなく1,2位を争う4Lzジャンパーがまさかの、でした。それだけ重圧がかかったということなのか。
ミスなくまとめた中田 璃士くんや、ミスはあっても転倒までにいたらず踏ん張った友野くんが上位にきています。
鍵山くんはPCSに救われた形です。いつも全項目で高い点数を取る選手ですが、今回はジャンプミスだけじゃなくて、スピンもレベルをとりきれませんでしたから、PCSの果たす役割は大きいといえましょう。今回のPCSは鍵山くんにしては低めについているかもしれないけど、それでもSKが3人をのぞいて1点以上高いってのは何なのでしょう。その3人にしたって、0.7以上差があります。そこまでちがうかなあ。鍵山くんの膝の柔らかさは前からめざましいものがあって、私もはじめて鍵山くんをみたときは膝、膝、とさわいだものですし、そこにこの数年はカロリーナ由来のスキルが加わっています。9点前後つくのは見当がつくとはいえ、ミスがでてもこれだけの差をつけるんですか。全日本って、本命といわれている選手にはPCSが高めにでてるのでは、と疑うのは気のせいですかね...特に、この数年、男子より女子のほうにその傾向が強いような。
PCSの点数って、恣意的な傾向が前からありました。パトリックとか、羽生くんとか、文句言う気もない人はもちろんいましたが、ネイサンのPCSがあんなに高いものなんだろうかとよくみていたものです。5項目が3項目になってますますその傾向がひどくなったような。自分の好みの問題なのかもしれないけど、勝たせたい選手に高いPCSを与えてもくろんでいる順位にしているんじゃないかという疑惑が抜けないのです。いっそPCSを機械判定にしてしまったほうが公平になっていいのじゃないの、なんて思わないでもないです。
SPで出遅れた選手はFSでは挽回を喫してくることでしょう。逆襲を楽しみにしたいです。
Xにも書きましたが、星名くん、中村俊介くん、木科くんなど、今シーズン見てなかったおなじみの選手が見られたのはやはりうれしかったです。しかもおなじみメンバーは、みんなFSに進出してます。
それにしてもつくづくよくなったと思ったのが、
全体的に表現力がついた点。前は、フィギュアスケートってジャンプをとべばいいと思っているのじゃないかと疑うことが多かったんです。高橋くん、羽生くん、昌磨くんと曲を大事にするチャンピオンが続いたというのが大きいんでしょうか。
1 鍵山 優真 オリエンタルバイオ/中京大学 28 92.05 48.42 44.63 -1.00
yuma kagiyama's sp to "the sound of silence" at the 2024 japanese national championships
— yui ❄️ (@moozuru) December 20, 2024
4S, 4T+3T, 3A(F)
total: 92.05 (48.42+44.63)#YumaKagiyama #鍵山優真 pic.twitter.com/BqOex7RU0x
オリンピックあたりから、鍵山くんに対して冷たい態度とってるなあ、と思うことが多くなりました。PCSが自分が予想した点数より大幅にいいと、ジャッジ何かたくらんでるのじゃないのか、と、態度が硬化するようです。これまでもさんざん、ネイサン、鍵山くんの点数を不振な目でみてますでしょ?この2人、実際につく点は思ったものより0.5から1.0高いんです。それが理解できないというか、納得できないわけ。
常時9点台って、羽生くん、パトリック、まあ、ハビならいいかな、そこまで点をだしてくれませんが、今なら、ジュンファンなら納得するにちがいない。そういう点が、そう見えないスケートに対してでてる気がして、ぶつぶついうわけです。
昌磨くんのはちょっと別。正統でうまいというより、あの独自のクセがいいよね、という評価をしてしまってます。そうなると唯一無二扱いして(珍獣扱いして、といえないこともない)、比べる気がしなくなリ、サポート/保護対象となるのだけど、鍵山くんは自分にとってはどちらでもなくて。
とはいえ、今シーズンのSPの表現はなかなかよく、自分の点が辛すぎるのだろう、と思ってたのですが、 今日は何がなんでも勝ちたかったのでしょうねえ...4S、4T3Tあたりでは、GPSのときほど曲表現はできてなかったのじゃないかな。ジャンプの成功を優先しているようにみえました。
で、おそらく心配だったのが最初の2本だったのでしょう。そこからちょっと滑りもかわりましたよね。そしてジャンプへの集中力が減った結果、3Aで回りきれないで転倒になってしまったように見えました。
通常、ジャンプのミスがあるとPCSが下がります。鍵山くんはGPFのSPでも転倒がありました。そのときのPCSはすべて8点台になってます。ノーミスのフィンランディアでは8.96 9.00 9.36、NHK杯では9.18 9.29 9.25 です。特にSKがはっきり下がるような。
それを考えると今回のSKの9.04ってやっぱり甘くないですか。いつもより下がっているといえばさがっているけれど、WCにむけてのデモンストレーションもあって下げようとしないのじゃないでしょうか。
いや、そもそも、いつもが自分的には妙に高いと思っているからよけいいうんでしょう...正直にいうなら、ノーミスで9.00ぐらい、今回なら8.50ぐらいじゃないかと思ってます。ノーミスで9.25ぐらいまでならまだわかるのだけど。
文句ばっかりいってますが、良い点もありました。ステップシーケンスはとてもよかったのじゃないでしょうか。GPSよりよかったかも。5つけたジャッジが3人いるのに異議はありません。4や5がついてもまったく不思議でないすばらしいものだったのじゃないかと。曲表現もステップシーケンスはすばらしくできていたのじゃないでしょうか。PRがステップシーケンスだけの点なら納得です。だけど、PRって全体に対する点のはずですよね。となると前半がものたりない。
FSSpとCCSpもよかったかと。CCoSpはレベルをおとしてますね。なんだったんでしょ。スピンのレベルの勉強しなきゃ~
2 中田 璃士 TOKIOインカラミ 27 90.31 50.41 39.90 0.00
Rio Nakata at Japanese Nationals 2024
— figure skating archive (@skatingarchive) December 20, 2024
SP 90.31 pic.twitter.com/Cse926UdDc
4T3T 3A /3F
おおおお、ノーミスってこれだけ強烈なものだったんだ、と何を今更という感想を抱いています。単独が3回転であっても、きっちりきめれば、全日本で2位になれるんです。他の選手にミスがでたら、という前提条件つきですけれど。スピン、ステップすべてレベル4です。フリーでもいい演技をぜひしてほしいものです。ジュニアのPCSって7点台だときめているのね、と思ってたんですが、8点でてますねえ。 PRはでてもいいのじゃないかしら。フラメンコプロって、ナハロのものをのぞいて不満を抱くことが多いのですが、なぜミーシャ・ジーのこのプロはいいと思うのだろう?と前から不思議に思ってました。フラメンコってリズム遊びの音楽で、リズムのとりかたにいくつかの決まりがあるんです。あまりにその決まりとちがうと違和感かんじるんですが、それがなくって。ナハロが監修しているとテレビでいってたので笑ってしまいました。なるほど。フィギュアのプロをつくってきたナハロならいうことないですが、そうでなくてもフラメンコダンサーにみてもらえばいいわけですよね。
3 友野 一希 第一住建グループ 30 89.72 48.27 41.45 0
kazuki tomono's sp to "tshegue/muanapoto" at the 2024 japanese national championships
— yui ❄️ (@moozuru) December 20, 2024
4T+3T, 4S, 3A(so)
total: 89.72 (48.27+41.45)#KazukiTomono #友野一希 pic.twitter.com/3GGsvrxpCP
3Aでステップアウトはあったし、最後の CCoSpが3Vとなっていますが、減点は最小限に抑えて3位にあがってきました。3Vなんなのでしょ。しゃがむところが中途半端な気がしないでもないけど... それにしても、音ののりかたとか、独特のクセのあるポーズのきめかたとか、うまいなあ。みてしまうし、音に乗って身体を動かしてしまうって(笑)。こういうのが踊るセンスってものですね。
4 三浦 佳生 オリエンタルバイオ/明治大学 20 88.87 48.13 41.74 -1.00
kao miura's sp to "conquest of spaces" at the 2024 japanese national championships
— yui ❄️ (@moozuru) December 20, 2024
4S+3T, 3A, 4T(F)
total: 88.87 (48.13+41.74)#KaoMiura #三浦佳生 pic.twitter.com/i99nMRNfhm
今年のSPはどこまでも佳生くん、佳生そのもの、といったおももちです!ほんと、このプログラムをこなせるスケーターって他にいるんだろうか。
とはいえ、FSみたいなパターンもできるよ、とみせておいたほうが正解なのはまちがいないので、今年の組み合わせは上々といえましょう。
FSで冒険しているだけにSPでまず、がつんと決めたいところ。 で、SP前半はまさにそれでした。ジャンプがばんばん決まります。
スピンはそれほどうまいとはいえますまいが、レベルはちゃんととってますし。
問題は4Tでした。足を痛めているのがまだなおってないのでしょうか。回転はまわっているはずですが、転倒は一律-5なんですよね...
ステップシーケンスもなかなかでして、疾走感のある佳生くんらしい熱い滑りを楽しむことができました。ほんと、大きな問題は4Tだけ。FSはなんとか盛り返して表彰台にあがってください!
5 織田 信成 大阪スケート倶楽部 26 84.53 47.37 37.16 0.00
Nobunari Oda at Japanese Nationals 2024
— figure skating archive (@skatingarchive) December 20, 2024
SP 84.53 pic.twitter.com/gm5ZnzU7Az
4T3T 3A /3Lz
あ~、楽しかった!衣装替えのとき、スムーズにいかなかったのでひやりとしましたが、あとはいうことなく楽しめました。しかしこれでPRが7.68?うそでしょ?8点以上の価値は絶対ありますよね!
6 佐藤 駿 エームサービス/明治大学 24 81.90 42.58 40.32 -1.00
shun sato's sp to "ladies in lavender" at the 2024 japanese national championships
— yui ❄️ (@moozuru) December 20, 2024
4Lz(F), 4T+3T, 3A
total: 81.90 (42.58+40.32)#ShunSato #佐藤駿 pic.twitter.com/IYhYte4iQm
ううう、冒頭に大きな問題がありました。コンボもあんまりよくないですよね。3つけてるジャッジもいるけど、0か1が妥当かも。3Aはきれいでした。PRが7.93なんですけどね、もうちょっとでてもいいんじゃないの、と個人的には思ってます。8.25だしたジャッジが2名、8.00が3名、7,75が1名、7.50が2名といううちわけでかなりばらついています。そう、私は8点台派(笑)というのが、所作がかなり美しくなってきてません?これまで、バレエやっている/いたのにどうして、なんて思っていたんですけど。あとね、素朴といっていい音楽との付き合いも気に入ってます。感情の赴くままに素直に音に身を委ねてるようにみえます。それがこの音楽にあうような気がするのだけど、どうでしょう?この素直さが独特のデリケートな感触をうみだしているような気がするんです。こういう感触を抱かせる人って案外いないんじゃないかしら。FSは音の取り方がどうかな、と思うときがあるのに対して、SPでは違和感はほとんどないし。 ぎりぎりでしたが最終グループに残りました。なんとか順位をあげていってください。FSでのジャンプの成功、祈っています。