男子は出場選手に変更がでました。

アダム・シャオ・イム・ファが中国杯での足首の怪我のため、11月27日にGPFを辞退しました。
欧州選手権は出場したいとのことです。
そのため、第一補欠だったカザフスタンのシャイドロフが出場します。

総合点の高い順番にならべます。名前の横の点数は二試合のうち高い方の点数です。

マリニンと鍵山くんが2試合1位。駿くんも一試合で1位をとっています。残る3人は、FSのみ1位になった場合はありますが、綜合で1位になったことはありません。


イリア・マリニン(アメリカ)    301.82    1位

SP 106.22    (61.20         45.02)  SP、FSともスケカナのものです
 


FS 194.39 (105.25 90.14)
4Fq 3A 4Lz 3Lo2ft /3Lz1Eu3S 4T3T堪 3S3A
 

 

 



このジャンプ構成はいったい、というのが続きます。しかもジャンプのレベルがすごい。SPのときの4Fを解説は「夢のよう」と呼んでますが、同感です。単に回っているだけでなくて、美しくとぶ。ジャンプはきびしく訓練されてきたのか、特に苦手なものはないのじゃないかな。LzとFのエッジも明確ですし。さらには、まだこの上の4Aも持っているのですから、いやはや、というところ。そりゃ、SPのCCSpでレベルを落としていますし、FSでは4Fにqがつき、3Loは両足、4T3Tは堪える形にはなっていますが、このようなミスは神ではなく人間だからシーズン前半はこんなもの、ということであっさり説明つく気がします。ものすごい身体能力の高さを見せつけてくれるプログラミングです。なおかつスケーティングや表現を向上しようと努力しているのだろう、と思わせるところがあります。まだ今のところ、どちらも特筆するものではないです。でも、年々良くなっているようには見えます。おこれば苦労するのはまちがいなかった体型変化もおこしてないですし、怪我でもしないかぎり太刀打ちは極めて困難でしょう。

それにしてもPCSってTESの影響をもろにうけるんですねえ...マリニンのPCSはまだ抑え気味だけど、それでもこの大会では一番高いです。ちょっとちがうのじゃなかろうかと思ってます。少なくともFSはこの大会でFS2位だったジュンファンよりPCSが上ってありえないのじゃないかなあ。同じ試合に出場したジュンファンのFS、ジャンプ構成こそマリニンより下ですが、あとの要素は上回るのじゃないでしょうか。ステップシーケンスやらコレオなどヤバかったです。ぐらぐらきました。マリニンに高い点数はついていますが、本当に妥当な点数かなあ???ジャンプの影響か、バク転など派手な動きが入っているせいじゃないの、なんて感想いだいてしまうのは単なる好みの問題ですか?



鍵山優真    300.09    (NHK杯)    1位

SP、FSともにNHK杯

SP 105.70 (59.41 46.29)

4F 3A /4Lz3T

 

 


FS 194.39 105.25 90.14 -1.00
4F<fall, 4S, 4T3T, 3A1Eu3S, 4T(ftdwn), 3A, 3F3Lo

 

 

 

 


う~ん、このところ鍵山くんの演技をみると、自分が鍵山くんの価値がわかってないだけなのか!?と自問自答するはめになっています。坂本さんのように見ていてこわいとか、魅力がないと思っているわけではありません。ただ、自分の中では9点台っていうと、目が吸い寄せられて何度も足下をみるためにリピートしてしまうものなんですが、それにまったくあてはまりません。だからぐずぐずいっているというのがおそらく真相です。そこまでではないけれど、興味をもってみてはいます。はじめは、こういう感触の膝の使い方の感触って、あまり思い当たらなくてじーっとみていました。そういえば親子で似てるかも?と以下を見てみると、ビンゴ、でした。正和コーチって、ご子息以外に選手の育成に成功していましたっけ?記憶が正しければないはず。つまり、一定の肉体条件がなければうまくいかない滑り方なのかもしれません。

 

 


カロリーナがコーチにくわわってから、進化はみえます。SP、FSのステップシーケンス、うまいですよね。ローリーが力をいれてふりつけるようになったのがよくわかります。振り付けのイメージがわかないスケーターなのじゃないかと疑ってたオリンピックのころとは大違いです。だけど、たいして心が動かされず、冷めた目でみてしまってます。うん、点でそうなステップだね、で終わってしまう。これって???単なる相性の問題なのか、オリンピックイヤー/NHK杯に点をだしすぎと怒っているせいなのか。いや、それ以上に、素直に教えられた通りにやっているけれど、それを自分の中で消化してプレゼンテーションしてくれているようには感じてないからでしょう。つまり、アーティストになったといわれているけれど、自分にはそうじゃなくみえるということ。言われた通り素直にやるだけではアーティストの演技ではないですよね?その人の個性、曲の解釈などなどプラスアルファするものがまだないのじゃないかしら。素直ながんばり屋さんなのはまちがいなさげですけれど...


佐藤駿        278.48    1位

SP Skate Canada

4Lz  4T3T /3A

 

 

 

 




FS 194.39 (105.25 90.14) 中国杯のものです

4Lz 2F! 4T3T 4T /3A1Eu堪3S 3A2A 3Lo堪

 

 


今だったら4Lzは駿くんかマリニンですねえ。スケカナのFSでは転倒していましたが、ほとんどの場合、実にきれいにとびます。Fのエッジはやや苦戦してます。中国杯のFSで4回転が2回転にぬけたのはよくあるミスで、続かないかぎり特に心配しないでもいいはず。問題なのはエッジのほう。でもeじゃなくて!なので後半、はやければGPFで調整が成功する可能性はありそう。しかし、この表現力のアップ、やはりシゼロンの影響でしょうねえ...昨シーズンはシゼロンの振り付けはFSだけでしたが今シーズンはSP、FSともシゼロンです。ドラマを感じるSPもすてきなプログラムですが、さらに興味深いのが、なにやらなつかしくリリカルな音使いのFS。腕も脚も音とともにうつりかわり、たかまっていく感情が展開されていくようで注目しています。言葉では言い表せないものがそこにあるというか。FSのタイトルであるNostosは「ギリシャ語で「家に帰る」を意味する単語で、「ノスタルジア」の語源だそうです。このプログラム、シゼロンがすべってるのをみたら、わんわん泣くにちがいありません。とはいえ、現時点でもなかなかいいできに見えます。4FのミスさえなければFSでも一位だったでしょうし。だけど、もっともっと点数あげられるプログラムだし、そうなる伸びしろはたっぷりあります。ちょっとした音の捉え方やエッジのつかいかたで大きくちがうはず。GPFや全日本あたりで大泣きさせてくれていいのよ。そうなれば4CCやWCも見えてくるでしょうし、表彰台争いにも加わるはずです。


ケヴィン・エイモズ(フランス)    282.88    2位
演技はどちらもスケアメのものです。

SP  92.04 (46.64 45.40)
4T堪2T 3A /3Lz

 

 


FS 190.84 (98.90 91.94)
4T2T 4T 3Lz 3A2A /3A 3T1Eu3S 3F!

 

 

 

 


去年に引き続きGPFに進出です。2019-20シーズンにも出場しているので今回で3回目。黄色い大歓声を受けながらノリノリで滑るSPは、ジャンプミスがあるとしても非常に楽しいもので、見応えばっちりです。SPでCO、PRが9点台というのはとても納得のいく話です。ところがそれではおさまらず、FSではSKもふくめてオール9点台を達成し、4回転は4T単独とコンボだけで、なんと首位になりました。マリニン、佳生君にジャンプミスがあったから、というだけではありますまい。身体能力、スケーティング技術、踊り心が作り出すすばらしい瞬間と空間をぜひお楽しみください。最近、PCSの9点台に不服をとなえてばかりいますが、ケビンの9点台にはまったく異議がありません。今シーズン最高の作品の一つであることは疑いの余地もありません。フィンランディアでも2位をとってますが、このときはSPでは単独が1Lzになり要件を満たさずノーカウント、FSの冒頭の4Tで転倒しています。どうかGPFではスケアメなみの演技を見ることができますよう。


ダニエル・グラッスル(イタリア)    264.85 2位

どちらもNHK杯のものです。

SP  83.01 (44.64 39.37 -1.00
4Lo< 3Lz3T 3A 

 

 


 

びっくりしました。SPの冒頭が美しかったので今年のグラッスルくんはちがうのか!?なんて思ってたらいきなり転倒。そして結局回転不足判定がでたとはいえ4Lo跳ぶじゃありませんか。4Loって4回転の中でも実は一番難しいのじゃないの?と日頃から疑っているジャンプです。はたして、着氷はしたものの、回転不足判定がでました。4Loより確率の高い4Lz跳べばいいのに、なんて感想を抱くのってひどいでしょうか。冒頭で変化を感じたSPは、結局、まことにグラッスルくんらしいものでした。ジャンプはいいとしても問題はあいかわらず滑りだということが浮き彫りになったような。SP,FSともにコンボは3Aか3回転でやっています。4回転のコンボなかったんでしたっけ?FSも冒頭は美しいですね。つまり、動けないことはない。だけどジャンプで頭がいっぱいになって、ジャンプ以外の身体の動かし方はどんどんおろそかになるってことですか。4Lz,4Loはすばらしかったです。そうか、4Loは基本的にとべると思ったほうがよさそうです。4Sは解説が「回転不足かも」とのべたことでわかるとおり、微妙なものでしたが認定されています。表現をしようとしているのはわかるけど、NHK杯の段階では音との調和が微妙です。GPFではジャンプだけでなくてスケーティングがもう少しアップしていたらいいな。足下が強化されてくると、音との調和とかもよくなってくるのでは。PCSはFSでは8.00~8.04にあがったとはいえ、SPでは7点台です。

ミハイル・シャイドロフ(カザフスタン)276.17 中国杯2位


SP 93.21 (54.50 38.71)
4Lz3T 3A /4T

 

 

FS 182.96 (104.77 79.19 -1.00)

 

 

 

 


ジュニアのWCで2位になった選手ではありますが、シニアのWCでは2年連続14位、4CCでも5位2度6位1度と目立った成績は残していません。だけど今年ブレイクした感はあります。トップクラスの座を確実にするには、滑りはまだまだ伸びる必要はありそう。身体硬いのかな。スピンはいまいちにみえます。だけど4Lz、よくありません?ほかのジャンプもダイナミックです。表現はひかれるところと、ぎくしゃくして苦戦しているようにみえるところがいりまじったかんじ。だけどSPのDuneはジャンプのせいか、いや、うまいとはおもえないけど気迫にみちたステップシーケンスもあって、全体としては迫力のあるものでした。FSは途中でジャンプに苦戦しました。あとスピンはSPと同様に練習が必要、とおもわせてくれるもの。だけどFSでも4Lzはよかったですし、qがついてしまったとはいえ4Fも跳べます。曲の切り替えによって表現を変えようとしています。これは、でてくるんじゃないかしら。コーチはウルマノフですか。なるほど。繰り上がりでGPFに出場がきまりました。最下位でもともとなんですから思い切ってやってほしいものです。驚きの結果がでることも大いにありえます。