日本女子が5人進出というのが話題になっている女子シングル。

正直、この数年、女子シングルはレベルが下がっているとずっと考えてきました。北京の前にくらべるとわくわく感やら、画面に目が吸い寄せられて見ずにはいられないと思うことはないなと。

回転だけをとってみても、明らかです。4回転だの3Aに挑戦して成功していたのに、今や、3回転で怪しくみえません?表現も引き込まれてしまうものが減ってしまって。ロシア女子って偉大だったのだなとつくづく。紀平ちゃんの故障もありますし。復帰することあるのだろうか...

とはいえ、興味深い演技をする人もいます。ちょっとなあと回避していてのだけど、先日のテレビ放送をみると、あれ、という人もいますし。そもそも、今年のように、ここまでチャレンジャーやグランプリ・シリーズをみてない年って何年ぶりでしょう。10年以上はなかった話。シングル熱がさがったとしても、さっぱりわかってなくても、アイスダンスは今も大好きだし、テサモエ、パパシゼのように歴史に残るのがまちがいないような偉大なカップルはいなくなりましたが、いい選手がしっかり残っているというのに。

この状況になったのは、リアルタイムでテレビ放送してくれていたのがなくなったのが問題なのでしょう。日本選手がでるシングルだけだったとはいえ、スター選手がいたのでずっとやっていました。今でも関東では放送があるみたいですが、関西はないんです。

だいぶん間があいたとはいえ、先日放送があったカナダ大会の放送は面白かったですから、テレビ放送があればもう少し熱がはいったかも。その前の大会もたぶんCSで放送していたのでしょう。気がつかなくてみのがしましたが。

グランプリシリーズは少なくともシングルはテレビ放送してくれます。それで、予習をしてみることにしました。ミスが含まれていてシーズンベストの演技ではないかもしれないけれど、ファイナル進出者の演技をあげてみます。

今回はほぼ日本勢ということで注目を集めている女子シングルから。必ずしもグランプリ大会でいいほうの演技ではありませんが雰囲気はわかるかもと。全競技まにあうのかな、、、

総合点の高い順番にならべます。

坂本花織    231.88(NHK杯)
SP FSともNHKのものです。

 

78.93 (TES 42.25  PCS 36.68)

2A 3Lz /3F3T

 

 

FS 

2A 3Lz 2A1Eu3S 3F3T /3Lz2T 3F<堪 3Lo

 

ご存じのとおり、好きとはほど遠いスケーター。自分的には回避したいスケートスタイルを追求する神戸組の中では好きなほうとはいえ...文句なくすばらしいと思うのは2Aだけで、3回転はFとLoをはじめとして今シーズンは回りきってないようにみえるのがしばしば。そしてスケーティングが好きではありません。氷面のまんべんないすべりかたはすばらしいと思いつつ、太ももが迫ってくるみたいでこわいんです。こういう滑りが大好きという人はいるのはわかってます。だけど自分にはスピードスケートのほうがむく滑りに見えます。フィギュアとしてうっとりみたいという気にはまるでなりません。つまり、COは9点台でもまあ、そうなのか、と思うけど、SKは8点台でいいんじゃないの、というのが個人的な感想です。9点台のSKって基本、神のようなスケーティングしていますが、そこまでとはとてもとても。低迷を隠すためにトップになっている選手に点をやっているだけじゃないのかという疑惑が自分にはあります。とはいえ、ルッツのエッジとか、表現とかいろいろ伸びているのは認めるべきですね。COは前よりもいい点がついて当然に思えるしSKも得点アップすべきなんでしょう。あと表現もよくなってます。腕の使い方が数年前とは別人です。妖艶といってもいい動き方をしてません?振付師の指導がよかったんですねえ...向上しているのはまちがいありますまい。とはいえPRも9点台がくるほどとは思えないけど。スケカナぐらいの点でいいのじゃないかしら。NHK杯のはちょっと.坂本さんが現役の間に表現巧者ぞろいのロシア女子がかえってきたらどうする気なんだろ。


アンバー・グレン    215.54(フィンランド)
SP 第3戦 フランス大会    78.14 (44.35 33.79)

 

 

FS 中国杯 144.70 (76.03 68.67)

3A 3F!3T 3Lz2T 3S /3Lo2A2A 3F!q 3Lo

 

 

GPSで表彰台にあがる実力があるのはわかってました。WCにも出場しています。だけどまさかGPFに進んでくるとは。3AをSP、FSとも決めるというのはそういうことなのですねえ。まためちゃくちゃパワフル。坂本さんほどではないですが、やはり太ももが迫ってくるような気が... なぎ倒していこうとしているように見えなくも... 3Aとぶ選手がすべてパワフルというわけでもありません。反面、反りが甘いとか表現よりも力で押し切っているのが多いのじゃないかな。ビールマンをあっさりやってますから、身体を反らせるなんて朝飯前のはず。でも次のジャンプなどに備えてバランスを確保しようとしたのかしら。3Aもあることだし、彼女がGPFを制する可能性はあるとは思いますが、現時点ではPCSが坂本さんよりぐんと低いのです。PCSをカバーするだけの点数を3Aで稼げるのかなあ。

 


千葉 百音    212.54(NHK)
SP FSとも第4戦 日本大会(NHK杯) 

 

SP 71.69 (39.01 32.68)

3Lz3T 2A /3F

 

期待してます!今年はネーベルホルンのころから追いかけています。はじめは堅いか、どこまでよくなるのだろうと思ってたSPはどんどんキラキラ感がましてきているのはうれしいかぎり。今や最初の心配はどこかに消し去り、ドナ・サマーを鼻歌で唄いながらみてます。はつらつとした楽しいSPのあとに続くのが優雅なFS。WC5位内を10年近く続けたウィバポジェは2018-19シーズンまで現役でしたから、キャサリン・ウィーバーの振付師としてのキャリアはそんなに長くないはずですが、なかなか印象的なものをつくってます。GPFに残った女子6人のプログラムでは、アンバー、百音ちゃんがキャサリンの振り付けです。きっちり表現しわけしているところがよいです。滑り、ジャンプ、スパイラルと基礎があるというか、たとえいったん崩れてももとにもどれるものがあるのと、表現に対する取り組みがあり、年々伸びています。まだまだ今後も伸びるのじゃないでしょうか。きっと、小さなころにから羽生くんにいわれたようにしっかり練習して積み重ねてきたんでしょう。今は音楽にぴったりあわせて世界が作れるようになったというところでしょうか。だけど、表現のうまい人、目が離せなくなる人って、音楽が大きくなったような錯覚をおぼえるときがあります。百音ちゃんはまだそれがないんですよね。今後そうなっていけると信じたいところです。GPFでも成果をだしてくれますように。

 


樋口 新葉    206.08(フランス)

SP FSとも第3戦 フランス大会    

2A 3Lz+3T< 3F!q

 

 

FS 139.10 (70.53 68.57)

2A 3Lz3Tq 3Lo 3Sq /3Lz2A2T 3Lo2T 3F!

 

GPS第一戦、第三戦とわりあい早い時期に登場したせいか、伸びしろをいかせなかったという印象があります。SPでの回転不足2つによる出遅れがなかったら?なんて考えてしまいます。とはいえ、ミスがあったSPのデューンでも、ステップシーケンスが実に魅力的でした。力強いのびとエッジワークを活かしながら、音楽にのってぐいぐいステップを踏んでいきます。坂本さんと同じくパワフルなタイプですが、音楽との一体感を感じること、曲や構成にのった緩急があるせいか、滑っているのをみてこわくなったことはありません。SPでは最初は押さえて、ステップシーケンスで爆発します。こういう構成をしたのは本人ではなく、振付師のバトルでしょう。見事にその意図を組んでいるパフォーマンスです。FSのほうでは歌詞との連動があるんですよね。いや、曲とジャンプの連動もはっきりしてますね。シェイ=リーンのすてきな振り付けをすばらしいパフォーマンスでみせたといいますか。パワーだけで押したりはせず、叙情をもたせたはじまりにし、ジャンプがきまっていくにしたがってもりあがってきて、ステップシーケンスで絶頂を迎えます。SP,FSともに今年の新葉ちゃんのステップシーケンスはみのがせませんよ。要件をかなえてなかったらしくて、レベル3にとどまっていますが、ジャッジ7人が4、2人が3というのもうなづけるできです。そしてスピンによる静かな終わり。SPもいいプログラミングですけど、FSもそれに劣らず魅力的。これでジャンプの回転不足がなければ、というところです。引退しないで今シーズンも続けてくれてありがとう。

 

 

吉田 陽菜    199.46(フィンランド)
SP FSとも第5戦 フィンランド大会    199.46
 

SP 67.87 (36.10 31.77)

2A 3Lz3Tq /3Lo

 

 

FS

 

 

3回転で回転があやしいように見えたジャンプがありましたし、実際、qマークがついてます。とはいえ3Aに挑んできて、今シーズン、成功させるのじゃないか?という気がしないでもありません。PCSは8いくかいかないかという状況。だけど基礎はできている、というかんじしません?滑りにしても、ジャンプにしても。とくにジャンプはもう少し絞めるタイミングを安定させたら、回転不足は解消されるばかりか3A降りるのじゃないかしら。表現は、現時点で巧者とはいえますまい。なにかまだ堅いですよね。同時に一生懸命伝えようとしているのもわかります。おそらく伸びてくるはず。なにせ土台があるので、それに積み重ねることはできるのじゃないかしら。懸命に取り組んでいるのは見てわかるので、今シーズン中にぐんぐんのびるのを期待してますね。

 

 


松生 理乃
SP 第5戦 フィンランド大会    FS 第2戦 カナダ大会    199.20(フィンランド大会)

2A美 3F!q(倒) /3Lz3T

 

FS 139.85 (74.74 65.11)

3Lo 3Lz!3T2T 3F 2A /3Lz!2T 3F2A 3S

 

 

 

 

この中で滑りが一番好きな選手です。羽生くんが先日、[フィギュアスケートでは一歩でどれだけ滑れるか、どれだけのスピードを出せるかが重視されます」(週刊東洋経済 2024/11/30号)と語っていますが、そのうちの一歩で滑れるというのに該当する選手じゃないかと。ポイントは膝とエッジ。で、理乃ちゃんのエッジって、素敵じゃないですか?考えてみれば、真知子先生のところの選手って、滑りが好きな選手が多いです。一方、ジャンプは問題があります。代表的なのがルッツのエッジ。なぜだか3Aに挑む女子がでるところではありますが... また美保子先生が長年いっしょにやっていたせいもあるのでしょうけど、曲の雰囲気にあったすべりができるときてます。真央ちゃん、昌磨くんの滑りを思い浮かべてもらうと納得してもらえるのじゃないかしら。そういう意味でも理乃ちゃんって典型的な山田組かもしれません。ファイナルに残った中で一番ジャンプが不安定な気がするので、表彰台はないかもしれませんが、演技は楽しみにしたいです。ジャンプで乱れて点数が伸びないとしてもひかれるものがあるのじゃないかと期待してます。