オリンピックがはじまって以来、睡眠不足状態となっていますニヤリ所作が美しい人は その4を書く時間がおかげでけずられてしまってあせる下手するとオリンピック後になるかもしれません。

昨日、いえいえ、今日は深夜から男子体操の個人決勝があり、ついつい最後までみてしまいました。おそろしく複雑かつ危険な技をやっているんですけど、なんともきれいでしたねえ。

体操は一つ一つの技はさっぱりわからず、見たことがある、ぐらいしかいえないし、採点ルールもいまいちわかっていないです。

私がなんとか理解しているのは以下の点ぐらい

 

体操競技の採点方法の概要(国際競技等)

 



要は、実施点 10.0点満点がEスコアー、構成2.5点+難度で決まるDスコアーにわかれているわけです。

 

Eはexecution,dはdifficultyなのですぐにおぼえられます。

 

ただ、難度にもD難度、E難度というのがあるので、昔はちょいとぐっちゃにしておりました。

こういう低レベルではあるのですが、

フィギュアの採点ルールより数歩先をいってるなあと、あらためて感心しています。

上記ページに
「むやみに高難度の技を実施しても、体操競技の本質である美しさや雄大さが伴わない演技に対しては、実施減点が課せられることになり、結果的により高い得点を得られなくなります。」

この理念を反映するために工夫を感じられる採点方式になっているんです。

まず、難度の得点が、極端にちがうようにはみえません。

難度 A     B     C     D     E     F     G
点数 0.1     0.2     0.3     0.4     0.5     0.6     0.7

これだとEスコアに上限があっても、Eスコアがよければ、難度は高くてもできはいまいち、という演技でも逆転できますよね。

そして、「技グループ点」というのがあって、特定の技をいれたり、特定の演技構成をする、つまり「つなぎ」をいれることでD難度があがります。

審判構成もよく考えられています。

D審判員、E審判員、R審判員の合計9名が審判にあたりますが、

演技の難しさ(難度、組合せなどの演技価値)をチェックするD審判が2名。うち1名は調整役。

Eスコアーを採点するE審判員が5名

Eスコアの採点方法は次のように説明されています。

「それぞれが演技の実施減点を10点満点から引いたスコアを出し、5つのスコアの中でもっとも高いものと低いものを除き、中間の3つの平均によって1つのEスコアを出します。」

このあたりのやりかたはフィギュアと似てないといえなくはないけど、重要なのがR審判員という存在があること。

R審判員(参考審判員)は2名で、やはり実施点をだしますが、R審判員のだした平均スコアがE審判5名によるEスコアと比較されて、

基準内であればEスコアが採用
基準外であればR審判員のスコアを加味して最終的なEスコアが算出

というやりかたがとられます。この最終得点の総圧がD審判の調整役が行ます。

この仕組み、実にすばらしくないですか?変な疑惑などもたず、安心して競技を楽しめました。昔から、がんばれ日本、でみてしまう競技ですけど、それでも他国の選手が見事な演技をすると、すごいなあ、うまいなあ、と心から感心できます。

パリオリンピックでは柔道で日本人選手がやぶれるたびに、誤審じゃないかとか取り沙汰されています。他の競技もちらちら誤審のうわさはあるのかもしれません。スピードを競う競技のように動かぬ証拠があるわけではありませんからねえ...でも、 男子体操は団体、個人とも金をとったせいもあるのか誤審の意見はみていません。

たしかに、日本代表の2選手の吊り輪の技が認められなくてDスコアが伸びず、再審を求めたりする動きはありました。結局、岡選手の技はみとめられまして、あれが金メダルにつながったのじゃないかな。何点増えたかは今、思い出せませんけど。あとで録画をみてみよう。

ですが、問題の技を別の選手がみごとに実施をしていて、解説はもちろん、ド素人の私がみても審判に納得できるものもありました。

今回のみならず、再審のもとめに応じて見直した結果、採点がかわる、というのはそれなりにあるでしょう。だけど、非常に良心的で、目の前で繰り広げられる演技に対して誠実な点をつけようという姿勢がはっきり見える採点方式じゃないかしら。

対してフィギュアは...と思わずにはいられません。難易度の高い技を転倒せずにたくさんやれば、GOEもプログラム・コンポーネンツもはねあがるっておかしくないですか。

現状、試合前にミーティングをひらいていて点数の方針をきめているか、ISUが極秘通知でもおくって統一を図っているのではないか、なんて疑いをもってしまいます。

体操でDとEに別の審判がつき、参考審判があるように、Execued Elements(技術点)の審判は三種類にわけるべきでは。つまり技としてちゃんと実施されているかどうかをジャッジする審判と、技のできをジャッジする審判、それから参考点をだす審判。

演技構成点もできれば別のジャッジがつけるべきでしょうねえ... 人数の問題はあるのだろうけど。E審判にあたる存在を3人にへらして2人を演技構成点専門にするとかはできるだろうけど。その場合も、R審判が参考点をつけるべきでしょうねえ。

もっと細やかに採点ルールをきめて、技を正当に評価するようにするという改革は絶対に必要でしょうけど。つなぎがいっぱいはいった上でのジャンプと、つなぎは無視で成功だけをめざしてとんだジャンプとが同じ評価なんてありえません。つなぎの難度も採点対象にいれるべきでは。着地もそうですね... なんとか降りただけのひやひやするジャンプに高得点ってのはちょっと...そう、GOEを安易にあたえすぎです。踏切がよく、きちんと回転し、高さがあり、着地がよく、つなぎの難度が高度なものだけがGOE5を獲得できるようにしてほしい。

また、ジャンプの回転も、AIを使うなどして、きちんと測定すべきでは。大きく下回った3Aと、下回りなんてないといっていい3Aとが同じはずはないでしょ。転倒さえしなければいいというものではないはず。それなら転倒しても、下回らずに飛んだ3Aもある程度評価すべきじゃないの、なんて思ってしまう。転倒は転倒で減点するのはいいのだけど、下回りを減点する、という姿勢をうちだしてほしい。男子でも、3A苦手なら2Aをとぶという状況がうまれるかもしれませんが、それはそれでいいのじゃないかと。


AIで高さもまずまず正確に測定できるかも。なんならジャンプのあとのおりの滑りも測定してもいいのかもしれません。参考程度でもいいし、測定が案外正確なら、それも採点に反映する道を模索すべきでは。

 

★追加 体操ではすでにAI判定もやってます!

 

 


あと、演技構成点のリセットが絶対必要。WCやオリンピック優勝者のスケーティングの得点は、今のルールがはじまったころより2点ほどあがってますが、ほんとうに向上しているかどうかはきわめてあやしく思えます。パトリック・チャンとか羽生君あたりなら滑りが9点台であってもおかしくはないかもしれないけど、他はどうでしょう。

 

たとえば、2006年トリノオリンピックと2022年北京を比べるとすぐわかる。トリノのFSのSSはプルシェンコ8.46、ランビ7.75バトル7.79です。2022年北京オリンピックではネイサンが9.71,鍵山君が9.50。1~2点高いですけど、トリノのメダリスト3人よりうまいと思います?まさか。1点以上低いならわかるけど。

 

試合によっては達成する選手がいるかもしれないけれど、点が昔より高くなっているのは、99%は単に点数のインフレでしょう。

 

これでは点数をのばす余地がありません。現に、鍵山君は2024年WCではSS9.46になってます。でも、昨シーズンは滑りも表現も大幅によくなってませんでした?そりゃ、WCではジャンプミスありましたけど、トリノのころの演技より少なくとも滑りと表現はいいのじゃないかと。つまり、今のインフレ、どうにかしないと、伸びているのも伸びていると評価できないです。

 

採点法がかわっていくにつれ、昔より点数が下がっている体操となんというちがい。

なによりも、体操が、「美しさと雄大さ」がない高難度の技は減点すべきという理念をもちだしているように、フィギュアスケートは、「(雄大さを含む)美しさと音楽表現」と無関係の高難度技は減点すべきという理念をもちだして、採点方法に工夫をこらしてほしいです。

 

でなければ、ソルトレークのような採点疑惑は今後も起こるだけでなく、競技自体がすたれていくのじゃないかしら。

今回のオリンピックの体操競技なみに、今シーズンのフィギュアが楽しめたらいいのですが、どうも心許ないなあ、という疑念は消えません。