さて、最終日です。

羽生結弦 notte stellata 

 

ほんと、演目って成長するんですね。

 

もともとすばらしいレパートリーでした。

 

それまでのデイビッド・ウィルソンとのコンビの作品は、悪くはないけど、そんなに印象に残るモノではありませんでした。ソチオリンピック前年オリンピックイヤーのFSがそうですけど、あのときって、SPのパリ散のインパクトが強とにかく強かった。新鮮だったし、なんといってもかっこよかったですよね。

 

あのSPにくらべるとどうしてもFSの印象が弱くなりました。

 

さらにはオリンピックイヤーのロミジュリはWCではじめて表彰台にあがったときのプロ、旧ロミとくらべてましたっけ。あの旧ロミこそ、これぞ羽生プロ、というものでした。たぶん、あそこまではまったのはそれまでにはなかったのじゃないかしら。なんといっても2012年のWCでの演技がありました。



だから、notteをみたときはやっと傑作が生まれたといって大喜びしました。最初からリピ病の対象でした。包み込むようなやさしさ、というコメントをしていましたが、そうよね、って。

だけど、そのころにくらべても、いえ、昨年にくらべてすら、包容力があるというか、優しいというか。まずは腕かな。より柔らかく動かすようになったでしょうか。いらない力が抜けたようにみえます。それからちょっとした音のとりかたがちがってきているように見えます。あと、ツイズルにはいるところ。最初の速度を前より落として、一気にスピードをあげていっているような。ディレイドアクセルがちがってみえるのはたぶん、カメラワークのせいでしょうけど。

グループナンバーは割愛。

本郷理華 True colors 
ジャンプミスはありましたが、ドンマイです。しっとり系もよいなと3日間楽しみました。

無良崇人 Westside Story
無良君といえば雄大なジャンプですが、この3日間、ジャンプは不調だったでしょうか。でも今日が一番よかったかな。だけど雰囲気は現役のときよりもだせるようになっているかな。赤と黒の衣装はシンプルなものですが、似合ってたし。チャットで好意的なコメントがならんでいました。

シェイ waka waka 
えーっと、これ、旦那さんとの共演なんですか。そういうコメントをXでみおました。どういう競演なのか、よくわかってないのだけど。何度かやってるハイドロの変形(?)とか、お尻ですべるところとか、こういうショーじゃなければなかなかみられない動きをおりまぜて楽しませてくれました。しかし、存在感ありまくり。しかも元気。いくらとばないとはいえ、他のメンバーより10歳以上、上なんですけどねえ。

田中刑事 Hope
このプロ、かっこいいですよね。前にすべったことありましたっけ?現役時代のExにはなかったはず。そのころはこういう表現できなかったはずだから。要素をきちんとこなすという呪縛がなければこんなに表現できるスケーターだったのねえ。ところで、この振り付けはだれ?

ヴィオレッタ Last Dance
演目前のアナウンスはけっこうシリアスだし、そういうメッセージがあるのだろうけど、小難しいことを考えなくても楽しめるプロですよね。しかし、ヴィオレッタさん以外にフラフープをあやつるスケーターっているのかしら?

昨年のですが、インタビューみつけました。そうなんだ。モスクワ・アイス・サーカスってあるんですね。

 

 



ジェイソン Adios
きたるWCでこのプロをすべるんだからチェックしっかりしようと、今日は真剣に見ました。PCSは高いのでるのはまちがいないでしょうから。スピンも問題はありますまい。点数落としたりしたらブーイングしかでますまい。全米でジャンプが決まらなかったんですよね。あ~、ジャンプ構成おとしているかな。まあ、ライトの関係もあるし。しかし、このプロがほんとうに競技プロなの?

宮原知子 Voila
この3日間、ジャンプがはまらなかったですが、滑りがいいなあと思ってみてました。知子ちゃんの滑りは年々好きになっていったおぼえがあるのですが、まだそれが続いているかも。

ハビ  踊るリッツの夜

あら、今日は赤の花です。今日もうらやましい私(笑)しかし、はまりプロですよね。氷上のエンタテイナーといわれる人はそれなりの数がいて、ハビはその一人ですが、なんていうんだろ、またひときわめだつ存在なのはまちがいありますまい。いつも楽しみにしてしまう。現役時代から好きな選手だったというのもあるのだけど。

羽生 and 大地 Carmina Brana

昨日、ぐずぐずいっていた謎がとけましたよ。やっぱり見逃してました。3日目のほうがさらに表現がよくなった、ということかもしれません。

最後に前むきになって羽生君が駆け出す前の動き、ごらんになりました?それまではもがいて、運命の女神からただただ逃れようとしていたのが、明らかに変わりました。運命を受け入れて、生きていく決意をしたんでしょう。そして同時に真央さんのほうの衣装替え。決意に満ちて運命の女神のもとにかけだしていくと、そこには先ほどまでの苦しみしかもたらさない黒い女神の姿はなく、光り輝く純白の女神がいた、ということかしら。とりあえず3日目の演技の現時点での感想です。これが最後なんて、もったいなさすぎます!


後半
グループ Permission to Dance 
これってスクリーンと氷上のコラボじゃないのかしら(笑)明るい色がまんさいの明るい今日がかかるとなんだか元気がでます♪

ヴィオレッタ the light shall never fade

薄闇の中で光るフープがくるくるまわるって、やっぱり不思議です。で、投げても、氷上でもきれいですよね。サーカスときいてなんだか納得しちゃいます。すてきでした。フープのきらめきが星のきらめきみたいにも見えるのよね。


ジェイソン You raise me up 
ジェイソンの演技ってなんでこうもとがったところがないんでしょう。身体の柔軟牲だけじゃこうはならないですよね。心安らぐ美しい世界でした。ふふふ、とびはねて手をふってるジェイソン、なんてかわいい。

宮原知子 one last dance
今回のセルフコレオ、しっとりした雰囲気でいいプロです。衣装もシンプルで美しくてすてき。なぜかフランスを連想してしまうのは前半のプロのせいか、衣装のせいか。このなにもしないですーっと進んでいくスケート好きです。

ハビ Prometo 

踊るリッツはFaOIですべってたやつですが、Prometoも見た覚えあるよね、としらべてみたら、2018-19年シーズン(ハビの現役ラストイヤーです)ですべっていた曲でした。英語ではpromise(約束)です。振り付けはデイビッド・ウィルソン。ハビとデイビッドとの相性は実によくて、クリケになってからのハビのプログラムのほとんどはデイビッド振り付けです。例外は2014-2015のSP Black Betty(振り付けはジェフリー・バトル)、2015-16,2016-17,2018-19のマラゲーニャ(振り付けはアントニオ・ナハロ。といっても、氷上化したのはデイビッドのはず)だけです。しかし、エンタテプロはもちろんだけど、ハビはこういうしっとりした繊細なプロも実にうまい。氷を削る音も音楽の一部のように聞こえるし。すべった後をしげしげみてしまうのって変でしょうか(笑)

無良and刑事 Saturday night fever (Stayin alive)

ジャンプのタイミングとか、微妙にずらしているなあ、と2回目でやっと気がつくって(^_^;)あはは、日曜の夜もフィーバーですか。明日のお仕事は忘れて、ってことよね(爆)

鈴木明子 Love dance 

あらら、ラストダンスだと昨日は思いこんでいたのに、ラブ・ダンスでした。失礼。しかしいいかげんなもので、タイトルがちがってるのがわかると、またちがう場面を想像してしまいます。明子ちゃんが考えている物語とは全然ちがうかもしれないけれど。あの表情はどういう意味なのだろうかとか、考えてしまうし。

大地真央 Guys and dolls, Anything goes
考え込んだあとに楽しい演目が華やかなライトとともにきました。あ、Guys and Dollsという文字がでているじゃないですか。昔はパンツはあれほど太くなかったかな。今の流行を反映しているのかしら。あと、さすがの早着替えにもにやにや。しかし、スポットライトの似合う人ですよね。

羽生結弦 Danny Boy
このプロ、「希望」をあらわすプロといっても、一筋縄ではいきますまい。何せインタビューをみると、過去と未来の希望で、過去エリアと未来エリアを意識しているわけですから。

「過去と未来の希望」という言葉をきいて、希望、というと未来にむけた明るいもののようにとらえていた自分に気がついてしまいました。

いや、希望が明るいものだなんて、そんな単純なものではないはず。同時に恐れがあるのじゃないかしら。

未来のエリアのほうで手をさしのべて祈りを捧げている振り付けがありますが、それは無事に希望がかないますようにと祈るだけでなく、実現しないかもしれない希望に必死に手を伸ばし続ける力をください、というふうにもみえてきます。これは自分が臆病だから、そう思えただけなのかもしれませんが。

そして、過去の希望ってなんなのでしょう。羽生君は次のようにいってます。

「うーん、過去にうれしかったことだったりとか、戻りたい過去だったりとか、その震災前だったりとか。」

 

 


ううむ...ということは、過去の希望はなつかしい優しいものであると同時に、実はつらいものでもあるのかも。どうしたって過去には帰れません。そして、過去に願っていてもかなわなかった希望って誰にでもあるわけですし。

 

いや、希望ってのはそもそも手が届かないものなのかなあ。勇気をふるって行動にうつす道しるべになるだけで...

スタート地点、ラストなど要所要所のスピンは現在位置でやってますよね?つまり、現在位置がいつも起点になっている。現在を起点に未来へ過去へ希望をなげかけながら、あるいはそこにみえる希望に手を伸ばしながら、生きていくってことですかねえ...

 

すばらしいプロで、何度もみたいものです。それでいて、いつみても考え込んでしまい、そのたびに別の答えをだしていくんでしょう。

羽生君のプロって、ホント、考え込んでしまうこと多くて。プロスケーターになってからはそういうのが増えてませんか。

そして、公演の締めくくりの言葉もやはり、一筋縄ではいかないものだったじゃないですか。明日が3・11だというのが大きいのかもしれないけれど。

 

今、インタビュー待ちです。インタビューをきいたらまた混乱しそうで、先にあげてしまいます。脱字、誤字お許し下さい。