「一気に真っ暗になって本当に電気がつかなくなって
真っ暗だったから本当に星きれいで 希望の光じゃないですけどそういうことをかんじてました」

震災の起きた夜の風景が冒頭に羽生君から語られます。

2011年の東日本大震災(3.11)の約16年前に起きた阪神淡路大震災でも、星空がなんともきれいでした。町は完全に破壊され、近所でもなくなった人もでました。地面に落ちた電線を小さい子たちがさわっていていかにも危なげだったのですが、一階がつぶれて上の階から避難したと思われるお母さんがたは心配事で頭がいっぱいの様子。そんな光景をみても気がめいりました。夜になると、火事の火があちこちから燃え上がっているのもみえてきて、ぞっとする一日。

その一方で、そのもやもやを一瞬でも忘れさせてくれるような美しい星空が広がっていました。まるで何もかもが絶望、なんてことはないのだ、といわんばかりに... それを思い出しました。あの地震後の神戸の星空と同じような星空が仙台でも広がったのかと思うと、なんともいえないものがあります。おそらく能登でも。そして、将来もそんな場所がでてくるのでしょう。

さて、今日は演目ごとに書いてみましょう。

羽生君のNotte Stellata
冒頭からこれがみられるなんてねえ。前と少しずつちがってきているのは、このレパートリーが生きているっていうことなんでしょう。そう、前よりやわらかい気がするし、そアクセントのとりかたもちがえば、ツイズルでまわるところも前と違うような気がするのですが気のせいでしょうか。

カメラワークのせい?ディレイドアクセルが前より上にとびあがってみえるかな
音のとりかたがちがってきている?カメラワークは2日目のほうがよかったですよね!1日目の天上カメラはチャットでも大不評でしたが、今日は好意的なコメントがでてました。

無良君、ジャンプ大丈夫か?と思いつつみてしまいました。1日目より高さはあったような気がします。なんというかシェイリーンの濃いこと。シェイリーン・ボーンじゃなくて、名字にトゥロックをつけるようになったんですね。1日目はジャンプが不調だった知子ちゃんですが、スケーティングのなんてすてきなこと。



本郷理華  True colors
オリジナル版がはやったときを知ってる世代なので曲をきいたときはあれ、だったんですけど、こちらのバージョンのほうが理華ちゃんにはあいますね。体勢くずしたところがあってひやっとしたところはありましたが、全体をくずすものではなく、長い手足を見せたしっとりとした演技ながら、どこかほっこりしたすてきなパフォーマンスでした。

さて、無良君のウエストサイド。昨日はジャンプに苦戦していたという印象がなんといっても強かったのですが、オープニングでミスはあったものの、昨日より浮かんでいるように見えたとおりだったでしょうか。まわれていなかったけど、昨日よりはまとまっていたかな。明日はもっとよくなりますよう。

シェイ=リーンのwaka waka。wakawakaって曲名、どういう意味なのでしょう?おもしろいまわりかたやら、お尻をついて前に進むとか、見た覚えのないような動きをところどころでいれてましたよね。今後、シェイ=リーンの振り付けをすべる誰かがやるのか楽しみにしますか。といってもシェイの存在感があってこそはまる動きだろうけど。すべるところと床のダンスのようにリズム刻むところとがはっきりわかれてたのは、先日の

刑事くん。あ~、コーチやってるんですね。調べてみたら西宮アリーナでアシスタントコーチをやってるようです。町田君の振り付けをすべってたし、今回も衣装、動きともに実験要素の多いプログラムをすべってますね。これ、誰の振りなのかしら。手の使い方で面白いことをときどきやっていて、興味深かったです。で、後ろにひっくり返るってところ、昨日もみてるのに、またびっくりしてしまったのはまぬけかしら。現役のころより表現力ついてますよね。ジャンプのプレッシャーがなくなったせいかしら。競技スケーターのころより、今の方が好きだ、と思って見ました!よかったです。

フラフープのヴィオレッタは昨日も楽しかったし今日も楽しいものでした。ふふ、ピンクの衣装がかわいいしフラフープもかわいい。しかし、フラフープというものがはいるとこれだけ演技に独特の色がつくんですね。途中から細めの金属製のフラフープにかわるのですが、またすごい。あ~、楽しかった♪

ジェイソン。今シーズンのSPアディオスです。ただ一人の現役なのよねえ。WCにもでますよ。ジャンプが得意な選手ではないのだけど、羽生君をのぞいてひときわシャープなジャンプに見えるのはやはり試合にでているという緊張感がなせるわざなのかなあ。特に今はWCを目の前にして、トレーニング積んでるだろうし。それにしてもスピンも種類が豊富で、横に開くタイプのスピンなんてジェイソン独特ですよね。柔らかいからできることではあるだろうけど。そしてなにげに高く上がる足。表現者としてはまだまだピークのままなのかも。振り付けはロヒン・ワード、参考までに、北米の動画はっておきますね。あんまりよくない画像ですけど、他は消されてしまったので。

 

 



知子ちゃん。前よりスケーティングも表現もいいのは知子ちゃんもでした。なんでしょ、ぐっとくるものがあります。おとなっぽくて、足元、手、佳生の表情だけではなくて、背中でも

ハビ わーい。もうでてくるだけで顔がほころんでしまいます。昨日は赤バラでしたが、今日は白いや、ピンクかな。カーネーションにもみえたけど、薔薇でしょうか。いいなあ。ハビからお花をもらいたい(笑)心なしか前より腰あたりに丸みがついたような気がするけど、そんなのどうでもよろしい。生粋のエンタテイナーなのがよくわかります。なにをやってもハビ色にそめてしまう。とくにこういうコメディ系は得意中の得意ですね。

で、カルミナですよ。昨日、感想書いたからもういいや、というわけにもいかずまただらだら書きます。そうそう、赤に染まる画面に黒と銀の女王様が登場して、あわい紫と青色の羽生君がでてきて曲調がかわるのでした。で、画面も変わるのよね。花畑から金の薔薇になり、しかし、この3A。すご。衣装が変わったときに、またもや女神が登場し、曲がかわります。で、無邪気に前を向いてのびのびと軽やかな滑りが、まったくちがってくる。もがくもがく。で、その後ろの女神の動きとのシンクロがまあ。次の動画をみてくださいまし。

 

 

だけど、もがきの真っ最中とみえるときに女神の衣装替えがはじまるのですよね。なにか見逃したのかしら。なにかのきっかけがおそらくあるはずなので。それを明日はちゃんと見定めよう!

 



後半
後半のオープニングは、カラフルな画面の映像からはじまりました。空の画面を背景に色とりどりの風船にかこまれて踊る羽生君。画面は青になったりピンクになったり虹がでたり。そこに明子ちゃん、シェイ、無良君、理華ちゃん、刑事くんが氷上でおどります。あはは、氷の上まで画面にしてるじゃないですか。

ヴィオレッタさんのフープは前半とちがったかんじでした。あれ、フープにライトがしこんであってあんなふうに光るのでしょうか?あれ、黄色にみえてたのにグリーンにフープがかわってるじゃない。で、下二落ちるとまたひかりだしてます。ふしぎ。きれいだけど。氷上のループは一つだけ他とちがった光を放ってました。どこかでリモコン操作でもするのかなあ?

ジェイソン You Raise Me Up ダニー・ボーイのメロディを使った曲です。羽生君が後でダニー・ボーイをすべるので、わざとこの曲をえらんだんでしょうか。しかし、美しいプロでした。

知子ちゃん ワン・ラスト・ダンス 今回はセルフコレオを通したのですね。そのせいでよけい内面を語るような振りになったのでしょうか。すべての動きに意味をもたせようとしているのが明らかで、表現の冒険をしているんだなあというのがよくわかります。ちょっとかわった変形スピンやってみたり冒険もありました。ジャンプは苦戦していましたが、プログラムを乱すほどでもなかったでしょうか。現役時代は低くてもまわりきってたのが、まわりきれないでおちてしまうというかんじです。

ハビ。ロベルト。今度はしっとりした滑りを見せるプロがきました。そう、エンタテ性がとにかくとりあげられるハビですが、滑りも悪くないんですよねえ。もともと身体能力が高くて、教えればあっさりやれてしまうタイプらしいですが。だけど、このエッジづかい、さすがクリケ仕込みといいますか。イーグルの小宇宙はクリケのスケーターがよくやりますが、わかっていてもみてしまう。あと、勘所がいいのか、すぐ雰囲気を作れる/雰囲気に浸れるタイプなのか、ハビの演技は、なにをみてもなにやら納得してしまう私(笑)

無良君と刑事くん。サタデーナイト・フィーバー。あはは。盛り上がりましたね。最後のほうで二人ともジャンプを成功させましたし。

明子ちゃん。ラストダンス。グリーンと黒ってありそうで案外みない衣装のような。へえ。音の強まるところで面白い表現してます。気持ちの高ぶりとかを緩急でみせたり。うん、万感の思いをこめておどる別れのダンスなんですね。こういうのは競技大会では見られません。年齢が若すぎて無理といいますか。しかし、ダブルアクセルをとんでしまう明子ちゃん、30代後半ですよね。すごいなあ。

真央さん。ここでお一人の登場です。あらま、宝塚時代のガイズ&ドールズじゃないですか。そうよね?まちがってたらごめんなさいですが、なにせ20世紀にみたわけですから。後ろにサイコロとかがでてくるのは、真央さん演じたスカイがギャンブラーだからです。二曲目はAnything Goesですね。これはたしか宮本亜門さんの演出でやった演目のはず。曲はわかるけど、話はすでに忘れてます。客船のドタバタ劇だったはず。
 

リハーサル動画をみつけたのではってみます。海外にもリハーサルと本番の動画配信していて、こういうふうに切り取ることもできるわけでしょうか?

ダニーボーイ。やはり羽生君ってピアノがにあいません?このようなシンプルな音もいいですね。それにしても滑りが美しい。このするすると動いていくのはまさにスケートの醍醐味です。すべては強靱なテクニックに裏打ちされてのものですが。難しいものを簡単にみせてこそ、すぐれたテクニックというもの。


それにしても、羽生君のすべりって、一筋縄でいかないところがありませんか?

先日、余白をかんじる滑り、見ている人に何らかの思いをもたらせるような滑りをしたいといってましたが、彼の滑り、他のスケーターよりも、なんだか考えてしまうところがあります。より複雑というか。

たとえば、最後の長いスピン、胸に手をやって祈りとも、自分の中心にあるなにか(この場合、たぶん、故郷への愛)を抱きしめて天に向けていく動作とも見えるのだけど。希望がテーマの振り付けなのは納得いきつつ、それにプラスアルファの意味を求めているのでしょうか。たぶん、明日みたらまたちがうことを考えてしまうのでしょう。心安らぐ美しいレパートリーなのにね。希望だけでいいじゃない、って思うのにね。

 

気になったので、インタビューをさがしました。今朝でてたのだけど、演技を見る前に読むものか、と読まなかったやつです。

 

羽生君はこんなことをいっています。

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―ダニーボーイのコンセプトは?

 「コンセプトは希望です。希望の中には、例えば過去があって、未来がある。過去に対しての希望であったり、いわゆる、過去の希望はそうですね。うーん、過去にうれしかったことだったりとか、戻りたい過去だったりとか、その震災前だったりとか。そういったものに対して手を伸ばす、希望に手を伸ばすところだったりとか。また逆に未来に対して、手を伸ばして、未来の希望に向かって祈りを捧げるみたいなシーンがあったり。(リンクの)真ん中を起点にして、真ん中が現在で、ステージから見て左側が、最初に見てるシーンが過去で、反対側が未来っていうようなイメージで。デービット・ウィルソンさんに振り付けをしていただきました」

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あ、やっぱりデイビッドの振付なんだ。この繊細さと含みはnotte stellataに相通じるものがありませんか?

 

過去に向かう希望と未来に向かう希望ですか...なるほど。希望というと単純に未来に向かうものって考えてしまうから、ややこしくなるのね。

 

1日目のものですが、全演技がうつっているサイトがありました。

 

https://www.reddit.com/r/yuzuruhanyu/comments/1b9lozr/yuzuru_hanyu_danny_boy/?share_id=nD350iSC3sX2PLbU81rLl&utm_content=1&utm_medium=android_app&utm_name=androidcss&utm_source=share&utm_term=1

 


昨日、今日みたNotteもただ美しいだけでなくて、前にはなかったなにかを秘めているような気がしてならなかったのでした。

それにしてもよかったですね。ラストの全員の滑りから引っ込みまで楽しめました。また明日も楽しみましょう。