FS詳細結果
FSプロトコル

 

なんてしつこい(笑)(1)、(2)と続いて3回目です。

 

下の結果を意識してますので、再掲しておきます。すみません、PRが昌磨君と鍵山君が逆になっていました。

CO
宇野9.46>鍵山9.32>三浦8.61>友野8.57=佐藤8.57>山本8.36
PR
宇野9.54>鍵山9.14>山本8.71>三浦8.64>友野8.61>佐藤8.43
SK
宇野9.39>鍵山9.36>山本8.57>三浦8.54>佐藤8.50>友野8.39 


3. 山本草太 - 192.42 (107.04, 85.38)

 

 

 4S, 4T3T, 4T, 3A1Eu3S, 3A, 3F2A, 3Lz

最終グループは誰もみな、気迫のこもった滑りをしていました。

その中でも草太君の集中力は群をぬいたものでした。なんだったのでしょう。あの気迫。最後のチャンスという発言をしたとかいう記事はみましたので、今年、大学最終年だっけ?今シーズンで引退するの?と自問自答しました。前にミラノをめざすといってましたから、今シーズンで引退はありますまい。

ジュニア時代から注目株だったんですよね。JGPF、リレハンメルユースオリンピック、JWCで表彰台にのってます。ユースオリンピックは金でした。平昌オリンピック日本代表の有力候補なんていわれてました。なのに右足首骨折、コーチの退任、メインコーチ不在とケガとコーチ事情にないてきた選手です。全日本最高位は昨年の5位。昨年はGPFで2位になってます。GPFの実績があったせいか、世界選手権代表に選ばれて、出場しましたが、15位で終わっています。初出場だから大健闘ととれないこともないですが、本人にしてみれば悔しかったはず。他の代表は昌磨君金メダル、友野君6位(自己ベスト更新)でしたので。

エクソジェネシスは人気曲で、毎年のように誰かがすべっています。それも男女問わずに。今ぱっとうかぶのが、草太君も言及していたジェレミー・アボット、それからメドベにワリエワかな。あとアイスダンスもありました。ギニャファブが平昌ですべったはず。平昌では他にもエクソジェネシスは使われていた記憶があります。名前を忘れてしまいましたが。ここにあげた人たちはいわゆる「見せる」表現をできる人たちで、演技をみていて心がざわめいたのをおぼえています。

たいして、GPSでみた草太君のエクソジェネシスは淡泊にみえました。私が興味をもったのはいつもSPのほうでした。これまでの草太君になかったタイプのプログラム。こういう表現できるんだ!というので、楽しみにみてます。
だけど全日本でみせたエクソジェネシスはすごかったですね。時々きくじゃないですか。ラストイヤーの選手が多いのだけど、氷上に自分の人生を映し出すプログラムにした、って。たしかに魅力的なプログラムは多いかな。だけど、選手の内面まででているのかどうかはよくわからないことが多いというのが本音です。だけど昨日の草太君のすべりは、まさにそれだったのじゃないかと。

見始めたときは、滑り姿勢が気になりました。前屈み気味というか、うつむき気味にみえたのです。全体を通してその姿勢でいる箇所が多かったような。集中しているときの癖かもしれません。他の試合では姿勢が気になったことはないです。だけど、どんどん気にならなくなってきたのは不思議です。心のうちの静かな闘志、思いをみせてもらったプログラムだったでしょうか。

佳生君のわーっとくる熱さとは好対照でした。だけど、思いの強さはいっしょ。表現がちがうだけ。体調のせいか草太君の集中力が上回り、ノーミス達成で表彰台にすべりこんだ、というところでしょう。

最終グループは良プロがひしめいてましたが、その中で友野君と草太君のFSは弱いかなと思ってましたが、自分の認識不足だったのかな、という考えがチラチラ浮かんでいるのは、昨日の演技と以下の動画のせいです。

 

 



ゆは菜ちゃんの解説がいいのでぜひみてくださいまし。そうか、顔に手をあてる仕草がいいねえ。そうですね、おおげさな表現は似合いそうなタイプじゃないもの。さりげない動きで見せることを目指したプロでしょう。カメレオンがニュー草太なら、このエキソはオールド草太の粋を集めたものでしょう。腕の使い方や身体の使い方は必ずしもきれいではないと思うんですよね。腕を持て余しているところがあるし、スムーズにもうごいていない。だけど、やや不器用に見えるこのちょっとした動きに万感の思いがこもった、というのが今回の演技でしょう。

ちなみにどうでもいいですが、私が断然すきなのはコレオです。特にイーグルが大好き。自分のイーグル好きは不治の病かもしれないという自覚は大いにあります。

長い回り道でしたが、続けただけのことはありましたよね。おめでとう。WCでぜひ昨シーズンの雪辱を果たして下さい。

 

2. 鍵山優真 - 292.10 (105.51, 92.65, 198.16)

4S, 4T1Eu3S(両足), 3Lo, 3A2A, 3A, 3Lz3T(堪), 3F

 

 

全体としてはよかったです。FSはSPよりはるかに滑りにあいますし、表現も説得力があります。そう、演技自体は良かったと思います。

だけどもやもやが消えないのは点数。

たとえばPRで9.14という点数にふさわしいものなのか、というと、よくわからないです。こんなことをいうのは、昨シーズンのWCで似たような点がついたジュンファンが思い浮かんでいるからですが...

 

鍵山君本人比でいうと、妙に高い点がついたなと思った北京オリンピックのINがSP 9.46、FS 9.43でした。NHK杯はFSは8.89。うううん、表現だけとるなら今回のほうがよかったかな。問題は9こえるかどうかだけど...

でもPCSはまだいいです。TESは点数はおかしいのじゃないかという疑惑にとりつかれています。

鍵山君の演技はやっぱり甘い点がでるのか?という疑いがさらに強まった結果となっています。

ノーミス報道がありましたが、これは演技をちゃんとみなかったか、見てもミスに気づかなかった記者が、プロトコルだけ見て書いたのでしょう。実際は本人はステップシーケンスでミスしたと発言しています。

 

 



最初から全力でやっていたので、最後に体力がもたなかったと実に本人は率直に語っています。上にあげた動画では3分50秒ぐらい。本人の言葉通り、スタンブルがあります。

最初、テレビの速報ではレベル3になってたのです。これがレベル4になおされています。う~ん..., variety (Level 3)じゃなくて、complexity (Level 4) のレベルにはなるでしょうから、ステップ要件がみたされているという判断は妥当かもしれません。が、GOEがちょっとなあ、という気がしないでもないです。3つけているジャッジがけっこういるのです。stumbleは-1~-3ですので、ここでは一瞬なので、-1、スタンブルがなければ4つける気だったという理屈かなあ。ちなみに鍵山君のGOEは1.06です。昌磨君1.73、草太君1.17、佳生君1.11、友野君1.34、駿君1.06。う~ん...最終グループは皆、レベル4とっていて、鍵山君以外、めだったミスがなかったようにみえました。これで差がほとんどつかないって、なんだか切ないです。

まあ、ステップシーケンスはいいとしましょう。こういうルールですから、あきらめるしかありますまい。

後半の3Lz3Tが堪えた着氷です。堪えは-1~-3ですので、あの着氷なら-1か-2。プラスなのは問題ありますまい。ただし3もつくのか?という疑問はあります。着氷がスムーズにいっても4もつくようなジャンプかなあ?

一番問題は二本目の4T+1Eu+3S。少し間はあるとはいえ両足着氷にあたるはずです。

Landing on two feet in a jump -3 to -4

Communication No. 2558 p.9

とありますけど。1はともかくとして、2はギリ許されるとしても、3っていったいなんなのでしょう。両足着氷じゃなければ6つける気だったのでしょうか。今回、両足着氷になったのは中村君の4Tです。GOE-1か0になってます。こっちのほうが納得です。両足着氷になると、-1か0というイメージをもってます。

鍵山君の減点は、2021年にWCで準優勝した後、甘くなりました。PCSが妙にあがったのも同じころです。この傾向が今でも続いているということか、という疑いは強まる一方です。なんだかねえ...北京オリンピックイヤーから今季、大きく進化していて、特にFSは楽しめるプログラムです。本人はすばらしく努力しています。よくなったね、と、にこにこしてみたいところ。だけど、オンリザがテレビに表示されて、?と思ってしまう状況が続くと、うんざりしてしまって。今回、ジャンプで減点されたとて2位はかわりますまい。それはわかっています。問題は、常に甘めの点数がつく選手と激辛の点数がつく選手がはっきりわかれているように思えることです。これってちょっと...あらかじめ順位をきめていて、予定調和のために得点いじるんだろうか、なんて思えてきてしまって。そりゃ、コレオでスタンブルして本人笑ってるのにGOE満点がついたネイサンほどひどくはないけれど。

お願いだから同じ基準でまともに採点してください。このままだと、鍵山君の演技を楽しめなくなりそう。せっかく進化しているというのに。勝つときもあれば負けるときもあって、切磋琢磨してそれぞれが伸びていく。それでいいじゃないですか。

1. 宇野昌磨 - 298.04 (98.81, 94.54, 193.35)

 

 



4Lo(q、SO)、4F、3A2A、3A、4T2T、4T(q)、3S

昌磨君はあっさりと。

GPFのときにくらべて、ジャンプの調子がピークアウトしているのがはっきりしてました。もともと、昌磨君の4Loはループにみえなくて、昨日のもなんだか不思議なジャンプでしかもまわれてないなあ、というところでした。あと4Tにqですか。回りきったジャンプもありましたが、あやしいジャンプが多かったかな。本人の言葉通り、WCまでにジャンプの状態をあげる必要がありそう。マリニンがGPFと同じジャンプ構成でくるなら、ジャンプミスがあっては勝つ可能性は限りなく0ですからね。

表現はおもしろかったです。音楽に全身を委ねてたゆたっているみたいで。このFS、みるたびにちがう感慨を抱くようになりました。表現が完成形にちかづいたということでしょう。といってもSPのほうがあいかわらず好きですけど(笑)