SP詳細結果
SPプロトコル

1. 坂本花織 - 78.78 (41.77, 37.01)

 

 


はじめて、坂本さんのSPをいいと思いました。今まで、楽しくみたのはFSのマトリックスぐらいです。自分の好きなタイプとはほど遠いこと、神戸組の演技スタンスが、自分が見る気がしなかった時期の女子(とくに日本女子...)に実によく似ている、などの理由があります。

特に、昨シーズンは坂本さんを見るたびに太ももが迫ってくる恐怖におそわれまして、GPS途中からまったくみなくなりました。今シーズンは、フィギュア女子はレースをきた戦車といわれるけど、まさにそれを体現した選手だなあという感想をもって見ていました。なんというか、ごつくてまりっとした筋肉していますもん。ダンサーとしてはあまり好ましいとされないタイプの付き方にみえます。女子の体操でもいないはず。大谷選手とか、最近の野球選手が筋トレでつけている筋肉のつきかたに近いような気がするのは気のせいでしょうか。あと格闘技とか、アイスホッケーとか、女子でもフィギュアじゃなくスピードスケートにいる体格にみえます。そこでまず、ひいてしまう。

あと、GPSでみた表現もでした。このSPは思い入れたっぷりで、気合いをいれてとりくんでいるのはわかるけど、がんがんすべるだけなのはどうだろ。聖母様をやれとはいわないけど、せめて関西のおばちゃんたちのあたたかさをだしたら、なんて思ってたんです不満

今回、少なくとも後のほうのは達成したのじゃないでしょうか。母性神話につながる神聖な清らかさ、どこまでもつつみこんでくれるようなやすらぎは自分は感じません。だけど、新しい命が生まれたことへの純粋な喜びと幸福感に満ちあふれた素朴なあたたかさをかんじる演技だったかな。冒頭とか、途中でぱーっと手を広げるところとか。

坂本さん個人比としては、今季ですばらしく表現力をのばした、ということになると思います。技術的にもです。3Lzのエッジもかなり安定してきましたし。今現在、ISU主催試合にでている女子の中では際だった安定感のある技術の持ち主なのはまちがいありません。ずっとなんでこんなに高いのだろ、と思っていた表現も、SPではでている点数の重みに近づきつつあるのでしょう。

だけど、この演技で3年連続でWC優勝、ということになれば、残念な気持ちになるのはまちがいありますまい。

前から、ロシア女子のほうが今のISUの主催試合にでている女子選手より上だろうとみていましたが、今回、ロシア選手権を見て、それを改めて確信しています。

1位 ワレリア 81.85( 43.15 38.70)

 

 



2位 ペトロシャン 79.06 ( 42.29 36.77)

 

 



3位 ムラヴィヨワ 78.33 (42.86 36.47)

 

 



ジャッジがちがうので、単純には比べられません。だけど、どの試合にでても、SPの段階で1位と2位はSPの段階で上をいくと思います。FSでもおそらく。いえ、少なくとも1位とは点差が開くのじゃないかしら。2位を逆転できるような気もしません。ステップシーケンスで転倒した3位のムラヴィヨワがFSではかなり点数をあげることも大いに考えられます。転倒したとはいえ、すべりはペトロシャンよりいいですし、ジャンプも3A成功しています。

ワレリアは例のドーピング疑惑の渦中にいる選手です。あの騒動がなければ北京でまちがいなく金メダルをとったでしょう。自分の記憶にあるかぎり、これまでみてきた女子選手の中でも頭一つぬけています。今シーズン、北京のころとまったくちがった体格になり、4Tは失敗が続いているようです。女子の4回転はかなり氷の上を下回って回転数を稼いだ上で着氷して認められたものです。正確に言うと、女子4回転なみにあやしい4回転や3Aをとぶ男子もたくさんいます。だけどカミラのは4Tとみとめていいのじゃないの、と思ってました。とはいえ、これだけの体型変化にみまわれています。成功しないのも不思議はありますまい。少なくとも当面は跳んでこないのじゃないかしら。

 

いえ、SPで3Aでなく2Aをとんだというのは、3Aも厳しいときがあるからかもしれません。


これまでのロシア女子は16歳になると3回転もあやしくなるというパターンをくりかえしていました。だけど、3回転はお茶の子さいさい、というかんじでとんでしまっています。おそらく今後も3回転はゆるぎますまい。ダイエットが必要と批判をあびた数ヶ月前はもっとふっくらしてましたがそれでもとんでましたもん。体幹、柔軟牲といった身体能力の高さ、音楽性、表現、そして滑りの技術。ジャンプの精度も高いですが、ステップとスピンがとりわけすごい。ため息しかでません。これほどの女子選手は思いつきません。もちろん、スピン以外の技術なら上の選手はいます。たとえば3Lzならリーザのほうがいいのじゃないかな。坂本さんもスピードと2Aなら上でしょう。だけど総合力ではお話になりますまい。

ロシア選手権の他の選手もレベル高かったです。蹴って、蹴ってのロシア式スケートは別に好みのスタイルではないですが、それでも足元を食い入るようにみてしまうところがあります。音との一体感という意味でも魅力があって。

だけどオリンピック前のパターンとはちがうかな。ロシア女子は過渡期です。シニア1年目の15歳でピーク、その後はおちるだけ、というパターンだったでしょ?だけどオリンピック参加年齢となる17歳以降でも競争力を保つという道をさぐっていっているのかな、なんて思ったりします。

どんどん話が全日本からそれていってすみません。だけど、この2年、ロシアがいない女子は魅力が乏しく思えてしかたがないというのをつくづく感じてます。さっさとつまらない戦争が終わって国際試合に復帰してほしいものです。ワレリアはドーピングの件で、ISU試合に参加禁止処分がくだるかもしれませんけど...

全日本SP2位、3位は演技だけはっておきます。故障で影がうすかった真瑚ちゃんが帰ってきてくれたのがうれしいです。すっかり大丈夫そうじゃないですか。百音ちゃんもやっと調子をあげてきたかな。非公式とはいえ、シーズンベストですから。しかし、このプロ、滑りこなすのはとてもやっかいですね。

2. 山下真瑚 - 69.92 (37.57, 32.35) 

 

 



3. 千葉百音 - 68.02 (37.28, 30.74)