結果
映像
ものすごく面白かったです。FDの順位はリズムダンスのときとほぼ同じでした。最終結果もRDと全く同じ。大きなミスはなく、どのチームもほぼ実力をだしきれたからでしょう。
前半だけでもおもしろかったのですが、後半はもう、これでもか、これでもか、というかんじで、どんどんいいチームがでてくるんです。十分に満足できる演技をみたところなのに、次にはそれを上回るチームが登場します。女子シングルはFSをみて結局みなくてもよかったかも、という気分になり、ペアは見る気になれず、男子シングルはSPの段階で不安でいっぱいになった一方、アイスダンスはよい試合でした。男子FSはSPよりよかったらいいのですけど。
全体の画像なのですが、はっておきます。もしお時間あればごらんください。今の日本のアイスダンスチームのレベルは、前半グループぐらいと思っていいのじゃないでしょうか。後半、特に3位以上は、WCでベスト10にはいってくるはずです。とくにパイポー。今年はWCで頂点をねらえるすばらしいプログラムです。今でさえみごたえたっぷりで昨年11月にだしたPBにせまる得点をだしました。まだまだ完成度をあげていくでしょう。次回かGPFあたりでPBがでてもまったく不思議はありません。
とりあえずリンクだけはっておきます。個々の感想はまたアップします。感想つけたら、タイトルから「演技リンクと結果」という文字は消して、アップした時間も変更します。
以下、追加記事です。
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1 Piper GILLES / Paul POIRIER CAN 10 131.46 (74.60 56.86)
Main Theme and End Titles (Wuthering Heights soundtrack) by Ryuichi Sakamoto
Switching Sides (Wuthering Heights soundtrack) by Ryuichi Sakamoto
Main Theme and End Titles (Wuthering Heights soudntrack) by Ryuichi Sakamoto
動画:1:33ごろ
最後に登場したパイポーは地元ということもあって大声援でした。テッドさんが嵐が丘の解説をしています。エミリー・ブロンテの小説、お読みになったことありますか?あるいは映画版か舞台をごらんになったことは?世界10大小説に数えられることもあるような作品で、ヒースクリフがまきおこす狂気すれすれの愛憎と復讐を描いたゴシック小説です。リア王、白鯨とならんで英文学三大悲劇なんていう人もいます。それをあの楽しい演技をするパイポーが?選択ミスなんじゃないの、と危惧していました。
衣装を見てちょっとびっくり。これが嵐が丘ですか?あ、でも、これ、パイポーの嵐が丘なのだから納得かも。だってパイポーといえばカラフル、カラフルといえばパイポーですもん。黒や茶色系だけではパイポーらしくありません。ポールは光る素材のシャツをきてますけど、形はシンプルですし、色合いは(パイポーにしたは)渋い色です。そして二人は同じ色を着るべきです。だって、ヒロインのキャサリンははじめのほうでこういい放つのですから。I'm Heathcliff! そう、この二人は魂をわかちあうような存在。なのにキャサリンが別の人物と結婚したことで、悲劇と復讐劇がはじまります。
パイポーに嵐が丘なんてあうのか、という危惧はどこへやら。スターティングポーズからもう音がなるのをどきどきして待ちました。
はじまったものはその期待をはるかに上回ってくれました。小説をしらなくても、かなりのインパクトをかんじるのじゃないでしょうか。
作曲家の坂本龍一さん自身がいいでき、と語っていた強い音の音楽とともに演じられるこの演目、圧倒的でした。ピンクベージュの色の衣装は大正解かも。この場合は明るさを感じるより、肌に近い色として、むき出しの心をしめしているのじゃないかしら。欲望、怒り、情熱すべてがむき出し。そして二人の色は基本同じなのだけど、男性のシャツが光ることでちがいもわかりやすい。
いろいろな要素があるんですけど、すべてが高度でひねりがきいているだけじゃなくて、すばらしくドラマチックでした。すごい。これでまだレベルのとりこぼしはあります。まだ伸びしろがあるっていったい、です。おそらく今シーズン中にPBを更新するんでしょう。
シングルスケートは、どうしても得点の高いジャンプが中心になり、ジャンプ要素で失敗があればすべてが台無しになりかねないので、ジャンプが終わるまでは表現や滑りがなおざりになることは実に多いのだ、と、この大会であらためて思い知りました。
一方、アイスダンスってジャンプのように得点を稼げる項目などありません。すべてをコツコツつみあげていかないといけない。そのせいか、最初から最後までどの要素も気を抜けないし、繋ぎがクロスだけなんていうのもありえません。うまい組になればなるほど、濃密度がすごいなあというのが、この大会で改めて思ったことです。
昨シーズンはパイポーに卵巣癌がみつかり、GPFで優勝したにもかかわらず、カナダナショナル、四大陸には欠場でした。それでも順調に回復し、パイポー初となるWC表彰台(3位)を勝ち取りました。今年は頂点をねらえるプログラムですね。これまでのところアイスダンスシーズンベストの演技となりましたが、これをうわまわるものがくるのかどうかも楽しみにしていきたいです。
2 Lilah FEAR / Lewis GIBSON GBR 9 126.04 70.98 55.06
Gonna Fly Now (Theme from "Rocky") by Bill Conti
Gonna Fly Now (Varition) performed by Rocky Broadway Orchestra
Eye Of The Tiger performed by Tommee Profitt, Fjora
Eye Of The Tiger performed by Survivor
Eye Of The Tiger arranged by Kar Hugo
動画:1:25ごろから
Eye Of The Tiger はロッキーIIIの曲ですから、実質ロッキーシリーズでまとめたわけよね?だけど、ライラの衣装みてください。おなかにきている星印、チャンピオンベルトをもじってるのじゃないかしら。そこからきた連想ですが、このプログラム、女性版ロッキーです。女子ボクシングのチャンピオンをめざすライラに対して、ルイスはそのトレーナーなのじゃないかと。そう思ってみると、なんだかつながるんです。さあ、リングにきましたよ、ざわつく観客の前に闘志満々で登場したところ、かかるはロッキーの曲。ツイズルはレベル4をとってますが、ちょっとずれてるような気がしないでも。だけどその後の滑りの伸びをみてください。ほんと、うまくなりました。
切り替えにコンビネーションスピンやローリングリフトをうまくいれて、ムードをころっとかえてくれます。いいですねえ。で、リフトのあとの二人のボクシングポーズがもうなんともいえません。トレーニングをもじったいろいろな動きをやったあげく、ルイスは腕立て伏せまでやります。ニースライディングにステーショナリーリフトのあたり、きっと勝利を得て勝者をかかえてガッツポーズしてるんでしょう。ああおかしい。
客をのせることのうまいフィアギブの特性をいかして、コミカルにしたてた面白いプロです。この組、NHK杯にきますので、お見逃しなく!おそらくメダルはギニャファブとの一騎打ちになるはずです。欧州チャンピオンであり、WC2位のギニャファブはなんとかして欧州、WCで上回りたい組でしょう。先を占う上でも楽しみな対決になると思います。
この組、昨年は欧州選手権2位、WC4位なんです。目標は欧州選手権優勝とWC表彰台じゃないかしら。そして、偉大なチャンピオンをだしながら、もう30年以上、オリンピックのメダルから遠ざかっているイギリスのフィギュア界に一番いい色のメダルを持って帰ることなんじゃないかしら。その準備は徐々にできつつあるように思います。
3 Allison REED / Saulius AMBRULEVICIUS LTU 8 116.41 (64.33 52.08)
Enough of Our Machines
Children by Tokio Myers
動画の場所:1:18ごろ
ブラウン兄妹よかったね、なんて思っていたら、すぐにその印象は上書きされました。リード/アンブルレヴィチウス組が上回っているのはすぐにはっきりします。
最初は二人とも携帯をもって操作してるんですよね?すぐそばにいるのにお互いを無視してる、ってことでしょう。テクノロジーのおかげで人間関係が希薄になっている、というのがテーマだそうです。男女対称の動きをしたかとおもうと、対称を外す動きがあったり。片方が離れようとしたらすぐ追いかける、というような離れそうで離れない動きなどあったところをみると、テクノロジーのおかげで人間性が失われて、人間関係は希薄になり、誰も彼も無機質に同じことをするようになった。だけど、彼女に近づきたいと考えてその後をおった男性がいて、そのおかげで二人の世界は変わっていった、ということなのかしら?だけど最後の最後に女性が携帯電話の鳴る音に反応して携帯みますよね。ちょっとした皮肉なのか、テクノロジーはもう欠かせないものになっていて、人間関係を構築しながらテクノロジーを駆使することもできるのだ、といいいたいのか、どっちなんだろうと考えてしまいました。大嘘ならごめんなさいですが。
この試合はじめから通してみてると、ローリングリフトの工夫がどんどん複雑化してきて、完成度がましているのがわかりますね。ツイズルはぴたっとあいました。ワンフット。シングルなら評価されそうだけど、レベルは2です。さすがにGOEはかなりついているけど。アイスダンスのきびしさはかんじました。最後のコレオグラフィックキャラクターステップシークエンスも悪くなくみえたのだけど!がついてます。ううう。このあたり、なぜこの評価なのか勉強しなくちゃ。
4 Oona BROWN / Gage BROWN USA 7 113.71 (64.43 49.28)
All By Myself by Eric Carmen and Sergei Rachmaninov arranged by Hugo Chouinard
動画の場所:1:09ぐらいから。
おや、この組の衣装の色合いはRDと共通しています。ジュニアのころはどんな色合いの衣装だったかもはや思い出せません。兄妹カップルって、やはり他人同士がくむカップルとどこかちがうところがあります。ムードがちがうし、ユニゾンがよけい強調されるかな。ここは兄妹/姉弟カップルとしてもユニゾンが一層強いかもしれません。二人で一つというか。たとえばツイズルでうける印象がとてもにてませんか。ふつうは異質なところがあるわけだし、だからこそドラマチックにもりあげることもできるわけだけど、ここはそういったドラマより、二人が一体となってつくりだすエモーショナルな世界が魅力なのじゃないかしら、と思って見てます。アイスダンスでよく扱われる恋愛ではないけれど、エモーショナルなこれからどんどんちがうものを見ることになって、見解をかえるかもしれませんが。ジュニアチャンピオンだけあって、基本的な技術はほぼ身についているようにみえますが、まだまだ伸びしろがあるというか、今後、上を目指す上では課題がいっぱいあることも、この後のチームをみるとはっきりします。たとえば1:15にうつる片足リフト。これと似たようなのをパイポーもやります。ゲージよりポールのほうが、明らかに安定してます。足も少し高くあがっていて伸びているし、キープも安定してます。そのあたりが伸びしろですね。

