女子はスピンがうまい子が多いという点だけでもみる価値があって、けっこう夜更かししてみてしまったのですが、
あまりにびっくりしたので一人だけ書きます。そう、1位の島田麻央ちゃん。
1 Mao SHIMADA JPN 13 71.49 (41.84 29.65)
3Lo 2A LSp4 /3Lz3T FCSp4 StSq4 CCoSp4
リンクにあらわれたとたんにおののきました。だって、「ここには勝ちに来ました。その準備は万端です。勝利を逃すことはまずありません」といっているように見えたからです。なにこれ。
エテリ組が試合でこのオーラをまとってでてくるのを見たことはあります。記憶にあるかぎりでは、メドベ、ザギトワ、(ジュニア時代の)トルソワ、アカチエワあたり。性格でだいぶんちがうんでしょう。シェルバコワも常に強力な競争相手がいたせいか、その雰囲気で登場したのをみたおぼえがありません。
実力の問題だけじゃないんでしょう。もちろん、自分にはトップにたてる実力がある、それだけの練習を積んでいる、という自信があるかないかは不可欠です。でも、それと同じくらい、勝ちたい願望が強く、自分が一番、あるいは絶対にトップに絶対立つという強い意志がなければ、このオーラはでないですね。言い換えるとまわりの意見にふりまわされないで自分の意志で猪突猛進できるタイプじゃないかな。どんなに内なる意思が強くても、気の優しいタイプやまわりをみてしまうタイプだとむずかしいかも...たとえばポリーナ・ツルスカヤは病気さえなければという選手でしたが、そのような登場をしたのをみたことないし、いろんな意味でこれまでみた最高の資質の持ち主だったカミラ・ワレリアがもしこういうオーラをまとえるタイプであれば、あのような騒ぎの中でさえ、オリンピックで金メダルをとったかもしれません。そういう人たちのほうが繊細な演技をして面白いものをみられるときもあるような気はしないでもないけど。
日本女子でこういうオーラをまとって登場したのはみたことがありません。男子にはいますから、女子にいたって不思議ではないんですけどね。そして強気をもてるかどうかが、最終的に成績に反映されるのかもしれません。たとえば紀平ちゃん。どこか強気になれないところがありませんか?もしもっと強気にすべることができたら、もっと成績あげていたはずです。戦闘民族のロシア女子とのちがいはそこじゃないかしら。強気一辺倒ではでないものが今後でてくると思いたいところです。
島田麻央ちゃんに話をもどすと、
よりによって(?)ロシア不在の年にJGPSデビューっていうのは面白い偶然だなあと。アカチとはりあうのをみることができればもっと面白かったかもしれない、なんて思うのは変すぎますか?
このキャシー・リード振付のライオン・キングは持ち越しプログラムで、滑り込んでいるからよけい自信があるのかもしれません。それにしても。滑りだす前から、1位になるんだろう、焦点はいったい2位と、前回フランス大会の木下組の二人、特に吉田陽菜ちゃんのPCSをうわまわることがあるかどうかよね、なんて考えが頭をかすめました。予定構成でも3Aはいってませんでしたから、おそらく失敗はないだろうとみました。
でだしをみてもまるで失敗する気はしません。表現として優れているとまではいえないように思いますが、確信をもってすべる姿は自信に満ちているとしか思えません。キングやらクイーンにふさわしいです。滑りは吉田陽菜ちゃんのほうが、カバー面積、一けりの大きさという点を考えると今のところは軍配があがります。たとえばレイバックのあとのベスティスクワット。悪くないけど、先日、ぐわーっとのびるのをみたばかりです。だけどなかなかトランジションもいれており、よくこなしています。年齢差の問題もあるんでしょう。まだ13歳ですから、滑りがよくなってくるのはこれからです。基礎はかためてあって、かなりむずかしいものもいれられるので、あとはそれをどれほど効果的にみせられるようになってくるかでしょう。言い換えると、今後の成長に期待、ということになるかと。LSpはよかったです。出のところがもう少しこなれたらたぶんまた点があがるはず。2A 失敗するはずもありますまい。橋をたたいて渡ったようなものです。コンボを後半にもってきたのは点数をあげるためにすぎないのでしょう。
確実にきめているといっても、島田麻央ちゃんのジャンプには問題があると思います。一度再生速度を0.5か0.25に落として離氷前の踏切足、トウ系ではトウのつきかたもみてください。3ループはまあ、こんなものか?という気がしないでもないのですが、2Aで90度ほど、3Lzで90~120度ほど氷の上を下回っているように見えます。そして3LZ、3Tともにトウをつくというよりかなりも、右足は寝気味になっているようにみえるのです。なんだかロシア女子に似ていません?シェルバコワの4Lzにくらべてアウトサイドエッジだし、トゥルソワほど下回りは大きくありませんけど。島田麻央ちゃんには前々からこの傾向がありました。3Aと4Tがとべるのはおそらくこの下回りのためでしょう。90度ぐらいの下回りであれば許容範囲としても、あくまで2Aや3Lz、3Tでそうだというだけです。これが3A や4Tになるとおそらく下回りは大きくなります。FSで3A と4Tに挑むそうですからどうなるかをみてみたいです。女子は基本、3Aまでと考えるほうが無難ではないのか、と思いつつあります。まあ認定していいのじゃないの?と思ったのはカミラのジャンプぐらいで、あとはなんというか...もちろんわかりませんけどね。リーザがあっというようなのをとぶかもしれないし。4T、4Sならもしかしてでるかもしれないという期待は完全にすてることはできないです。ただ男子にくらべるとどうしても、だし、男子にしたって下回る人がかなり多いというのが現状です。
とはいえ、強気という点ではロシア女子がでてきてもくわれない選手がでてきたのは面白いことです。濱田組/木下アカデミーは、鬼練習させるところですが、従来は、知子ちゃんとか、紀平ちゃんとか、どこかおっとりした雰囲気の持ち主が中心メンバーでした。だいぶん様がかわってきたということでしょう。日本版エテリ組への道をまっしぐらにいっているような気がします。気が付いたら、強気で攻めるタイプのほうが多くなるのかも。河辺 愛菜ちゃんも演技スタイル以上におっとりしたタイプにみえるので、美穂子先生のところにうつったのはよかったのかもしれません。
あと、第2戦前半を終わった時点で、濱田組/木下アカデミーはスケーティング練習をしっかりやっており、曲表現も熱心にとりくもうとしているのだなと改めて思いました。第一戦は大なり小なり全員がそうでしたし、第2戦も島田麻央ちゃんだけでなく、櫛田育良ちゃんも悪くないスケーティングと曲表現をしていました。3Loで転倒したために現在、8位ですが、PCSだけであれば島田麻央ちゃん1位、櫛田育良ちゃんが2位です。エレガントなパフォーマンスでした。しかしこんなに大きかったっけ?と思いながら見てしまいました。14歳ですから大きくなって7当たり前の年頃ですよね。エレメンツを決めなければ点数はでませんが、滑りと曲表現により魅力を感じる者としてはこの2点をきっちりやってくれるところがあるのはうれしいです。エテリ組が下回ろうが、なんだろうが最終的に許容してしまうのはそのせいなんですよね。JGPSはなかなかいいスケートをみることができており、日本人が快進撃を続けているのはうれしいですけど、やっぱりロシアがいないのはさびしいなあ。
8 Ikura KUSHIDA JPN 31 55.67 29.79 26.88 -1.00