しつこく全競技を。というか、アイスダンス、面白かったんです。

 

アイスダンスは今、群雄割拠の状態でして、特定の国が強いというわけではありません。ただし、今はカナダのモントリオール組(デュプレイユ、ローソン、アグノエルなどがコーチ。スコット・モイヤーがのれん分けのような形でオンタリオに新しくアカデミーをたちあげたらしいです)が優勢な時代が続いてまして、そこにこの数年、成長したロシアのシニカツやらステブキ、モントリオール以外のチームのパイポー、イタリアのギニャファブあたりがからんでくるという構図となっています。
結果

ロシアが強いのはまちがいないですが、1位がカナダ、2,3,5,6がロシア、4位がチェコ、7位キプロス(実際はロシアカップルだけど)8位イタリア、9位ウクライナ、10位ドイツとなかなかバラエティにとんだことになったのはシニアの事情を反映しているのではないかと。ロシアが多いのはソチ前の国をあげての育成事業がまだうまくいっているということかもしれませんし、そもそも、ロシアの滑り方って、筋力がなくてもOKのところがあるので、ジュニアではでてきやすいのかもしれません。

 

RD
詳細
プロトコル

 

1 Vasilisa KAGANOVSKAIA / Valeriy ANGELOPOL RUS 9 64.84 35.92 28.92 0.00

 

 

 

15歳158cmと17歳173 cmのくみあわせ。曲はIn the End。カガノフスカヤ/アンヘロポルでたぶん、いいんでしょう。

ううん、ロシアだ(笑)たとえあ脚の上げ方の角度が必ずしもそろってないとか、完璧ではないところもありますが、いかにもつくりこんでるかんじです。すばらしいのはキーポイントを1BL、2BLともほぼYをとっていることです。1BLのみにYがありだけ。ちなみにBLはブルースのこと。このツイズルもロシア的です。かなりぎゅんぎゅんと進んでいるはず。このぎゅんぎゅんのかんじがロシアのツイズルかと。まだ技術が完全にととのってないかんじですけど。しかし、でだしといい、キーポイントが終わった以降といい、ユニークな派手さで押しましたね。おもしろかったです。あららー、コーチはクリエワじゃないですか。ロシアに帰ってコーチしているのは知ってましたが、これまで選手を国際試合にだしてましたっけ?かなり有望な組にみえます。

 

2 Natalie D'ALESSANDRO / Bruce WADDELL CAN 8 64.48 34.92 29.56 0.00

 

ここ、知ってる~。この数年、JGPSにもJWCにもでてるところです。ダレッサンドロ/ワデル でいいはず。17歳163cmと19歳 178cmというくみあわせです。クリケの選手です。コーチはアンドリュー・ハレム、ジョイ・ラッセル、トレイシー・ウィルソン。有川さんをのぞいて、うたしんとまったく同じコーチです。たぶんあゆしんも同じコーチのはずです。振付はアグノエルになっています。クリケはアイスダンスカップルをつくるのに熱心だった時期があったらしく、西山君もアンドリュー・ハラムに勧められてアイスダンスをはじめています。このカップルもそうだったのかしら?

でもそれほど注目、じゃなかったのです。なんと一年みなかったうちにすごくうまくなってます。たぶん、ですが、男女ともにカナダのスケートをするのに必要な筋肉ができたのではないかと。どんなに基礎をきちんとしていても、カナダのスケートってある程度の年齢になって身体ができないと今イチのところあるんです。小さな子供がすべってもそれなりにかっこいいロシアのスケートと対照的です。カナダはブレードをフルにいかして、楽々と大きく進む特徴があります。昔から、すーっとするんです(笑)女子でせかせかしすぎるとぶつぶついったのはこういうのを好む志向の持ち主だからでしょう。

へええ。でだしがかっこよくないですか。女子がウィンドミルではいってポーズとったところで、バンバン、って拳銃の音がきこえて。しかし、パターンダンスがロシアとカナダではこれだけちがうんですか。あらためてこの二つのスタイルのちがいをかんじてしまいました。ツイズルでもわかりますよ。どっちもレベル4とってるんですけどね。ツイズルについてはどちらのスタイルも好きです。面白いステーショナリーリフトやってます。いいわあ。すてきすてき。キーポイントがNが3つあったのでカガノフスカヤ/アンヘロポルに遅れをとったかな。スケーティングは上だわ、などと思ったのですが、幸い、ロシア7.25に対して、この組は7.39と点がついているので、単なる自分だけの好みを突っ走っているわけでもなさそうです。第一戦、二戦をみたときはこのブルースという課題、ジュニアにはあわないのだろうか、なんてうたがいをいだいたんです。第一戦の優勝者以外は苦戦しているような気がして。なんのなんの。ここはいいかんじのエネルギーで曲をきかせてすべってくれました。
 



3 Sofya TYUTYUNINA / Alexander SHUSTITSKIY RUS 10 63.10 34.92 28.18

 

 

ソフィア・チュティニナ/アレクサンドル・シュスティツキー組も知っているところです。JGPSで前にも2年ほどでていて、表彰台にもあがってました。優勝はなかったはず。ユースオリンピックにもいました。JWCはでていません。

163cm18歳と190cm 18歳の組み合わせ。男子大きいですよね。ロシア男子はけっこう190超える人いそうだけど。えーっとわかりますか。ここもいいツイズルしてますので、カナダとの区別しやすいですよ。ツイズルはロシア式も好きなブログ主。カツラポフでさんざん受けたせいなんですが(^_^;) いや、シニカツ好きなんだし、ロシアの滑り方は必ずしもきらいではありません。ここ、上手なところですが、絶対にここだ、と思うなにかがないような気がします。体格があまりにちがうのでアイスダンスの一体感がややむずかしいのかなあ。うううん。

 

4 Angelina KUDRYAVTSEVA / Ilia KARANKEVICH CYP 5 60.54 33.54 27.00

 

 

あれ、記憶にのこってないだけで、前もみているはずです。2019年に二試合にでていますし、JWCもでていますので。生まれたのはロシアで、練習拠点もロシアです。

女子は身長を書いてないですが、まだかなりかわっているからでしょう。16歳。男子は18歳で177cm。

 

 

 

5 Katerina MRAZKOVA / Daniel MRAZEK CZE 12 59.18 32.44 26.74

 

第一戦だったかにでてたところです。初のGrand Prixシーズンだそうです。小さいはずです。女子は背がかいてありませんが男子が163。15歳と18歳のくみあわせです。

 

印象的な音ではじまります。チェコはしばらくめざましいアイスダンサーでてないはず。だけど悪くなさげ。いかにもアイスダンサーらしいエッジです。選曲でテンポがかわるのできわめてみやすい乗りやすいプログラムでした。ブルースだけで攻めるのってジュニアにちょっと無理ですよねえ。こういうアップテンポがはいるほうがいいかなと。ああ、楽しかった。ツイズル、ミッドラインはレベル3、キーポイントはレベル3と2でYが5つ、Nが3つ。ひとつ一つの完成度は必ずしも高くないですが、ここらへんが伸び代になるはずです。

 

 

FD

詳細結果

プロトコル

 

1 Natalie D'ALESSANDRO / Bruce WADDELL CAN 14 98.56 52.74 45.82 0.00

 

 

カナダはワガノワ教えてたんでしたっけ?腕の軌道はそれっぽくみえるけど...体格的にはそうとうちがいますが。まあ、ロシアあたりなど健康的すぎるとかいいそうですが、かなりいいプロにみえます。わりとはじめのほうにくるChSl、かっこよくないですか。おおお、これだけすすむんだ、ってかんじで。ツイズルもよかったですし。二つ目の要素のSlLiが改善余地があるといえばあるのかな。音がはまってなかったし、ちょっとはじめのところでもたつきましたか。サーキュラーステップはレベル3,ワンフットは女性がレベル2、男性レベル3とまだ伸びる余地もたっぷり。いやあ、楽しみなところがでてきました。

カナダってシングルはかなりきびしいと思うんです。やっと女子でカイヤ・ロイターがでてきたか?というのがいましたけど、一人いるかいないか、という状況が続くはずです。カナダ女子はロシア女子とちがう育成方法しないといけないです。ロシアのまねしても絶対にでてこない。男子はカナダのスケートできるころには、背が伸びすぎてジャンプむずかしいのよね...だけど、アイスダンスはちがうはずです。まだまだ有望。これからもメダリストをだせるはずです。テサモエほどにいくかどうかはわからないけど。ダレッサンドロ/ワデルの第二戦に期待したいと思ってます!
 

 

2 Vasilisa KAGANOVSKAIA / Valeriy ANGELOPOL RUS 15 95.88 51.54 46.34 -2.00

 

Ave Maria perfomed by Thomas Spencer-Wortleyという曲です。イリカツ(イリコフとカツァラポフペア) が使いましたね、そういえば。ならば日本語にすると、カッチーニのアヴェ・マリアをトーマス・スペンサー=ワートリーのボーカルでやっている、ということでしょうか。

マドンナ・ブルーといわれるラピスラズリの色ではありませんけど、アクセントの色が青系なのはそのせいかな。シングルでは蹴って蹴ってというかんじですが、ジュニアとはいえ、さすがにアイスダンサーよくすべります。うん、この安らぎのあるかんじに鋭いロシアらしいツイズルがはいるところもこの曲にはぴったりですよね。甘いだけじゃない曲ですから。二回も転倒ありました?コレオステップのところのFはニースライドを転倒にとった誤審のような気もするんですけど。

そうですね、つい、イリカツとくらべてしまう...イリコフはそうでもないんですけど、カツァラポフ、好きなんですよ。想像ついてると思いますが。よく笑いの種にしてますけど。シニツィナとのペアのほうが好きですね。イリコフのときはなんか合わせる努力をしている気がする。さすがにシニアの演技とくらべるのは不公平です。カガノフスカヤ/アンヘロポルも十分に美しい演技だったかと。次は転倒扱いはされないはずです。100こえるんじゃないですか。ここも期待を寄せるべきところでしょう。

 

 

 

3 Sofya TYUTYUNINA / Alexander SHUSTITSKIY RUS 13 92.88 49.22 43.66 0.00

 

 

ペアかとおもうほど、身長差あるところです。男子が大きいせいかな、単にすべってるときとか妙に目がいかないですか。足下より上半身ですけど。すごく目立ちます。これだけの体格差をよく女子がついていくなあと感心することが多かった組ですが、男子が前よりすべれるようになってるのかもしれません。くらべないとわかりませんが、前よりも調和がとれてないのかも。この男女差、むずかしい問題です。どうしても体力的に高い男子のほうが滑りでも得しているようにめえること多くて。

身長差があるとそれがいっそうきわだつこと多いかも。でも、チョクベイみたいに157 cmと187 cmみたいに30cmもちがっても全然気にならず、むしろ女性が女王様にみえるところもありますから。ここの男女差は27 cmです。身長差をものともしないところに育ってほしいものです。

 

4 Katerina MRAZKOVA / Daniel MRAZEK CZE 11 91.38 50.70 41.68 -1.00

 

男子が早々に転倒してしまったのがもったいなかったですが、なかなか楽しみなところにみえます。ポエタらしく、でだしから雄大なムードがでてるのじゃないかと。そしてたっぷりのエネルギー、熱情、そしてポエタらしいというか、ヴィセンテらしい叙情。そして最期の最期にいかにも、のブレリアのリズムにのったあのメロディ。いいんじゃないでしょうか。

チェコのスケートってロシア式とはちがうところと共通点がまじっているのかしら???たとえばカーブでずわーっと進むところなんてロシアと感触ちがいますし。ツイズルは若干共通点があるような気がしますが。まあ若いカップルですので、これからどんどんのびていってください。来シーズン以降ののびを期待してしまいます。いえいえ、今シーズンのJWCでも成長した姿をみせてくださいまし。技術力、だと思います。曲表現のスピリットはあるところにみえます。