アイスダンス FS、結果 

プロトコル https://ijs.usfigureskating.org/leaderboard/results/2020/29710/SEGM008.html

約一週間たってますので、今更ですが、スケアメのアイスダンスをはっておきます。同じ甘々点でも、ロシアカップはまだ納得できるところあるんですが、スケアメのシングルはただもう変で。。

だけどアイスダンスはシングルのようなことはありませんでした。。

国際試合より甘くでた可能性は0ではありません。たとえばハベドノは今回、総合211.39。対して、PBは210.40です。2019のWCがPBでして、それをぬいたということは?という気がしないでもないです。

だけどハベドノはSSが9点台半ばでてもおかしくないところなんです。チャーリー・ホワイトが昨シーズンの全米のコメントで、SSは2位のハベドノのほうが1位だったチョクベイを上回るといっていました。完全に同意見です。あとそのほかのPCSみても若干点ははずんでいるのかもしれませんが、おかしいとおもうものではありません。

埼玉ワールドの詳細結果みてもらうとわかるんじゃないかしら。

ベスト10のPCSならべてみます。

1 パパシゼ 59.35
2 シニカツ 57.44    
3 ハベドノ 56.99
4 ステブキ 55.98
5 ウィバポジェ 55.72    
6 チョクベイ  54.80
7 パイポー   54.57
8 ギニャファブ 53.45
9 フルソレ    50.90    
10 ホワベイ    51.16    

そうよねえ、という数字ならんでません?

パパシゼのPE、COが10点というのもわかりません?アイスダンスで10点でて違和感おぼえない組なんて、パパシゼと引退してしまったテサモエぐらいです。物議をかもしだした今年の欧州選手権以外はまずまずアイスダンスは見たとおりの点数がついているような気がします。で、次にシニカツがくるのもすごく納得してしまう。ここ、ロシアのスケーティングの粋あつめたようなところあるような気がします。ケガがよくなって、少なくとも北京までは順調にみることができますように。

多少、ジャッジ/見る人個人によって変動するところあると思うんです。たとえば私の好みだと、ステブキとウィバポジェは逆点します。ステブキは女性がちょっと弱いと思うので。ギニャファブももうちょっと上でもよいか?なんて気がしないでもない。あそこのエッジワーク、揺れずにすっとうごくかんじで、クリーンですきなんですよ。

あと、昨シーズンでだいぶんかわったろう、というのもあるはずです。2019年WC時点ではケガ明けだったチョクベイは昨シーズンでだいぶん調子をあげていきましたし、なにより昨シーズンはパイポーがかなり躍進したようにみえました。上位陣の出来次第ですが、2020 WCが開かれていたとしたら、もしかして表彰台争いにくいこんできたのじゃないかしら。ウィバポジェいませんしね。

で、このときのハベドノみてみると

SS 9.46 TR 9.36 PE 9.61 CO 9.50     IN 9.57

滑走順の影響は、というと、たぶんそれほどなかったはず。というのが、その次の滑走順だったステブキをすべてうわまわったからなんです。そうでしょうねえ。好みもあると思いますが。

パパシゼはさすがにへらっとすべてにおいて優れていたので、例外として、ふたつあとの滑走だったシニカツと0.45の僅差というのはすごくわかります。ちょっとしたことでひっくり返りそうにみえました。RDの影響がでたかという気がしないでもないし、あのツイズルを最初にもってきてインパクトをあたえる、というシニカツの戦略勝ちなのかもしれないし。ほんの少しシニカツがよいのか?ううん、わからない、というかんじでした。

で、この納得のいく埼玉ワールドと比較して、今回は

SS 9.50 TR 9.17 PE 9.50 CO 9.25     IN 9.50   合計69.79    

TESが埼玉ワールドでは70.32で合計127.31だったのに対して、スケアメではTESが69.79で合計が126.09でした。RDの得点が埼玉83.09だったのに対してスケアメは85.30だったので総合得点はPBを上回る結果になったわけです。

これは甘いとはいえないのじゃないかな。ツイズルなどの評価がちがってきた結果、こうなっていったので。なにがなんでも自国選手にいい点をつける、という発想でやったというより、ジャッジの人数が少なめだったこと、それこそジャッジのちがいがでただけのような気がします。

採点理由がわからずカリカリしてしまうシングルにくらべ、心安らかにみることができました。アメリカの試合みるなら、シングルじゃなくてアイスダンスだなあ、なんて。

すべりが断然うまいです。なぜこんなに差があるのでしょう。はじめはつかっているリンクがそもそもちがうのか?などとも考えたのですが、国際レベルのアイスダンスって、氷が多少悪くてもものともしないすごい滑りしますよね。シングル選手でアイスダンサーなみの滑りしているのなんて、ごくわずかです。数少ない例外がパトリック、羽生君、カロリーナあたりかしら。ハビのステップもはりあえるか。そのあたりのごくごく一部をのぞくと、レベルがちがいませんか。もちろん、靴のせいもあるのですけどね。アイスダンス全組より女子シングル1Gのほうがいいなんて、過去の全日本ぐらいにちがいない。全日本のアイスダンス、今年からだんちがいによくなると信じたいです。

もちろんコンパルソリーをしっかりおしえているかどうか、というのがあるのですが、一つ気がついたことがあります。

コーチの出身国の問題があるかもしれません。

Twitterみてやっと気がつきました。おそいって。次のです。
 

 

ハベドノ、ホワベイのモントリオール組はもともとカナダで練習していますから、問題ないですよね?マリー=フランス・デュブレイユ/パトリス・ローゾンはたしかフランスでトレーニングしていたはずです。パパシゼの元コーチだったミュリエル・ザアウーイのところにいました。フランスのアイスダンスはイギリスのアイスダンスの伝統が生き残っている所だと思うんです。ちがうかな。明らかにロシアとちがいます。パパシゼがロマン・アグノエルにつれられてモントリオールにうつったあとにあっというまに開花したというのは、もともとコーチと選手の共通点が多く、そこにプラスアルファしたらよかったから、というのがあるのでは。

ハベドノのマディソンのすべりは、カナダ女子の理想のすべりに近いような気がします。好きにならないはずがない(笑)


で、Novi(シュピルバンド&カメレンゴ先生方)なんですけど、これはロシア出身のシュピルバンドとイタリア出身のカメレンゴ。特にロシアは昔からアイスダンス強国です。一時はアイスダンスはロシアが牛耳っていました。イタリアもバーバラ・フーザル=ポリ/マウリツィオ・マルガリオとかカペラノと、WC優勝者だしています。スカリさんの組も健闘してましたっけ。

WISA(ノヴァク&キリアコフ&イリン先生方)

ここがまったくわかっていなかったのですが、やっとどういうところかイメージをもつことができました。
ホームページ
Alexei Kiliakov & Elena Novak
WISA was founded in 2003 by Russian gold medal champions Alexei Kiliakov and Elena Novak. Their dream was to create a world-class training program in the sport in which they have trained, competed, and performed internationally their entire lives. They have brought the most successful techniques from around the world to the Academy, while adding their own creative approach to develop a training system uniquely American.

ロシアのゴールドメダルチャンピオンってなに???というところですが、とにかく、ロシア人のアレクセイ・キリアコフとエレナ・ノヴァクが設立したところだということです。世界レベルのトレーニングプログラムをもたらして、国際的な選手を育てたいという趣旨で作ったところということです。どうやらアイスダンス専門でやっているみたいです。
ここにコーチの面々の略歴があります。
https://www.wisa.us/ice-skating-coaches/

もともとロシアで教えていたコーチがあつまっているようにみえます。スピンのスペシャリストが二人いますが、いずれもロシア出身者みたいです。

なるほど。ロシア式アイスダンスを教えるのを目的に設立したスケートクラブ。そりゃいいアイスダンスの選手でてくるはず。ロシアはきっちりと図形をかくすべりをおしえて、エッジを身につけさせますから。


ISUprofileによると、http://www.isuresults.com/bios/isufs00106183.htm8位のモナガン/フォウラティはハンガリー代表となってます。あらら。二人ともアメリカ生まれなんですけどね。スケーティング・クラブはHoffmann Korcsolya Akademia, Budapest、ただし、練習拠点はNewington/USAということなので、どうなっているのやら。

コーチは少なくとも、今のコーチのデニス・ペチュホフは、ロシア系です。ただしアメリカ代表だった選手です。アイスダンスはパートナーさがしがたいへんなせいか、結構、国際カップルが多いです。ペチュホフの場合はメリッサ・グレゴリーというアメリカの選手と組んだときからアメリカにきた模様。ペチュホフとグレゴリーの名前がコーチとして書かれていますので、現役引退後、この二人は結婚して一緒に教えているようです。このカップル、おぼえていないですが、WCで10位にはいるかはいらないかというところだったようです。GPSにもでていましたし、GPFに進出した年もあります。

ということで、アメリカのアイスダンスは必ずしもアメリカ出身コーチが教えてないのだ、ということにあらためて気がついたのでした。モントリオール組はともかくとして、コンパルソリーとエッジの使い方を大事にするロシアのコーチがアメリカにくるようになったからアメリカのアイスダンス発展した、と考えてまずまずいいのかもしれません。返ってしまいましたが、クリロワもアメリカで教えてましたし。ズエワもロシア人ですし。アメリカのアイスダンスはロシア人の基盤+カメレンゴやスカリのようなイタリアのコーチ陣が参入、と考えていいのかな。なんだかアメリカのアイスダンスのレベルがシングルよりはるかに高い理由がわかってしまったような気がします。基礎の問題でしょう。しっかりとエッジを使える方法論を教えられるかどうか。昔はそうじゃなかったのですけどね。結局は、じみーなコンパルソリーが基礎を築く上できわめて大事だ、ってことなんでしょう。

アメリカ出身のコーチで、滑りをちゃんと教えることのできた人って誰なんでしょうね。
私が好きな滑りをするシングルのアメリカ選手って、一人をのぞいて、みな、アメリカ以外の出身のコーチにならっているんです(^_^;)

まず、ジェレミー・アボット。好きな滑りをしていたのは佐藤有香さんの下でした。

古くはペギー・フレミング。動画でしかみたことないですが。アメリカ女子の滑りで一番すきです。コーチはイタリア人コーチのカルロ・ファッシでした。ついでにいうとファッシはジョン・カリーのコーチでもあります。少なくとも二人、すばらしい滑りの選手をうみだしたことになるんでしょう。いや、スコット・ハミルトンもファッシですねえ...ファンというほどのことはなかったですが、サラエボあたりみてみると、実に滑りがうまい。今のアメリカシングル男女とだんちがいです。ただ相手はブライアン・オーサーで、コンパルソリーなかったら、オーサーが金メダルでそもそもカナダののろいなんてありませんでした。


ボイタノのコーチの一人はカナダ人のサンドラ・ペジックとありますから、カナダのスケートの風味があるということかも...ボイタノのイーグル、とにかくいいです。ボイタノでイーグルっていいよなあ、と思ったような。

一方、純アメリカコーチというと、滑りを教えるのが定評があるという人の名前を知っているほうが少ないかも。

http://hachiwarelife.blog.fc2.com/blog-entry-60.html?sp

おそらくまちがいないのはドン・ロウズです。ワシントンD.C生まれ生まれです。パトリックの二番目のコーチです。そしてドン・ロウズはパトリックの一番目のコーチであるオズボーン・コルソンに習った人です。ローリー・ニコルにも教えたということですから、おそらくは滑りを教えられるコーチだったはず。元シングルとアイスダンスの選手ですし。2014年になくなっています。

カナダ人のコルソンは教えるのが上手だったにちがいないのです。パトリックが一番好きだったコーチだったらしく、エッジが深いあの滑りはすべてコルソン先生のおかげと断言していました。四季はコルソンに捧げたプログラムでした。


フランク・キャロルという人はいそう。オリンピックやWCチャンピオンを生み出していますし。一時は全米、キャロル流のすべりばかりでした。個人的には、キャロル流の背中まっすぐの滑りがきらいでして、お尻がつきでてみえました。やはりお尻がつきでてみえたミシェル・クワンはいまだにスパイラル以外のよさがわかりません。キャロル門下のオリンピック金メダリストのリンダ・フラチアニをみたときもそんなにいいと思わなかったのです。これは私の単なる好みの問題なんでしょうけど。

エッジがちゃんと使える選手であれば、キャロル流の滑りは有効なんだろうとはみています。その例はデニス・テンだけですが。とにかくデニス・テンはキャロルの熱意がちがっていて、そうとう熱心に教えていたそうです。そうなのかもしれません。デニスはブイアノワやタラソワについていたときよりキャロルにうつってからのほうが断然いいです。ローリー・ニコルが教えたのじゃないかという説もありますが...とにかくデニスは好きな滑りをする選手の一人です。

リチャード・キャラハンがすべりをちゃんと教えられた可能性はあるかな。トッド・エルドリッジのコーチです。あの清潔なスケーティングはエルドリッジ独自のものですけど、一人であれを達成できたとは...エルドリッジはコーチをかえずにいたはずです。 ついでにいうと、タラ・リピンスキーのコーチです。彼女は滑りがどうの、という前に引退してしまいましたが。WCとオリンピック金メダリストのコーチではあります。他に選手いたっけ?なんですけど。

話は大いにそれていきましたが、ロシアなど外国人コーチが教えているアイスダンスの滑りのほうが、アメリカ人コーチが教えている率が高いシングルよりよい、ということなんでしょう。

今後はおそらくロシア人コーチがシングルでもふえてくるのじゃないでしょうか。これまでは旧ソ出身で2000年ぐらいからアメリカで教えてきたラファエル・アルトゥニアンぐらいだったかな。でも最近は、二世スケーターがけっこうでてきているのです。

両親に教わっているイリヤ・マニリンとかの滑り見ていると、アメリカのシングル一般にない基礎をかんじますし。あとトゥルガシェフとか、ナウモフとかもロシア出身のスケーターの親がもともとは教えていました。トゥルガシェフは親離れしたみたいですが。トゥルガシェフ、ナウモフあたりはジャンプの安定という課題があるので、いまのところ、グランプリ・ファイナルで優勝したタチアナ・マリニナの息子のマリニンが一歩リードしているようにみえますが、どうなるでしょう。

なんだか長々書いてしまいましたが、アメリカはアイスダンスが好み、そしてそれはどうもアメリカ以外の出身のコーチが教えこんだ基礎がものをいっているのではないか、ということで。

以下、スケアメの実際の演技動画をはっておきます。

点数を、NHK杯のときにちょっとした基準に使うといいのじゃないかと。比較してみると、NHK杯に出場する日本人アイスダンサーの立ち位置がなんとなく推測できるのじゃないでしょうか。ハベドノの水準でWCで表彰台がねらえるレベル、ホワベイぐらいでベスト10と考えてほぼほぼよいでしょう。たぶん圧倒的にたらないはずなので、あと何点をどのように増やしたらいいのかという目安にもなるんじゃないでしょうか。

ロステレは水準高そうですが、点数は甘いかもしれませんので。まずまず妥当そうなスケアメと比べるのがいいように思います。

以下、FDの順位でならべます。

1 Madison HUBBELL / Zachary DONOHUE    USA    126.09    (69.79    56.30)

    

 

 



ジェフ・バックリィ版のハレルヤをうまいスケートでみたかったのです。平昌シーズンにパトリックがやってくれると思ってたらあのようなはめに(;_;) やっとやっと夢がかなった気分です。フランス杯が中止でパパシゼをみることができず、シニカツは先日、途中棄権しでした。やっとすごくいいプロをみた、という気分です。しかし、このなめらかさ。すべりはうまいところなんですが、ここまでなめらかでなかったような。これが円熟味というものなのかしら。だってこのレベルのツイズル、前はやってませんでしたよね(笑)ハレルヤは前もやったことがあります。2015^16年シーズンにもつかったのです。それが出世作じゃないかしら。そのときも一番最後のK.d.ラングは使っていました。k.d.ラングもいいですよ。でも、バックリィ版が一番すきなブログ主(笑)


2    Kaitlin HAWAYEK / Jean-Luc BAKER    USA    121.32    67.42    53.90    

 

 



だいたんな姿勢からはじまります。しかし、この片足走行。やっぱりアイスダンスってすごいですね。去年より順調なしあがりにみえるけど、どうでしょう。あー、この曲、フィリップ・グラスなんだ。今年、ミニマルがちょっとしたはやりなのかしら。曲名は次の通りです。

Heart of Glass (Crabtree Remix) by Philip Glass & Blondie
First Movement by Philip Glass

3位以下については、Skating ISUからの動画がアップされているのですが、要串刺しです。Operaブラウザでも使ってVPN設定をヨーロッパ大陸にでもしてみてください。そうすると問題なくみることができます。上の二組にくらべると大分差があるのもわかるはずです。

地域によって制限がかかってしまってます。たぶん、テレビ局の放送権のせいでしょう。アメリカはNBA、日本はテレ朝が放送権をもっていますから。でもこれからでてくるかもしれないところがあるように思うので見る価値はあるかと。個人的には4位のグリーン/パーソンズが気になります。明らかなミスはしているのですけど。ツイズルなんてこらー、というかんじ。でも、こういうのどちらも前のペアでこなしてたおぼえないのです。器用よねえ。とくに男性側。なんとでもばけられるタイプなのかしら。マッカーが分裂してこうなったのはいいのかわるいのか。まだ結成したてでどうのこうのいうのいう段階じゃないのでしょう。形になっているのはえらいとすべきか。日本のアイスダンサーがこれだけすべった大喜びしそうな気がするし... なんだか個性的なプロを作ろうとしているところ多いのかしら。まだこなしきれてないようにみえます。まだシーズン前半ですし、しかたないかな。7位はもうちょっとあがるかな、というパフォーマンスでした。8位は音楽にのりきれてないかんじですので、がんば。

https://www.youtube.com/playlist?list=PLuiPiC1Hk8eLNeThH9G_3-R5yGNchziw5


3    Christina CARREIRA / Anthony PONOMARENKO    USA    107.15    57.05    50.10
4    Caroline GREEN / Michael PARSONS    USA    103.07    55.57    48.50     
5    Molly CESANEK / Yehor YEHOROV    USA    102.08    (58.28    43.80)    
6    Lorraine MCNAMARA / Anton SPIRIDONOV    USA 96.39 (54.89 42.50)         1.00
7    Eva PATE / Logan BYE    USA    91.79    (52.39    39.40)    
8    Emily MONAGHAN / Ilias FOURATI    HUN    72.82    (41.22    31.60)