結果 
FS結果 
FSプロトコル 

トゥルソワの逆点優勝となりました。

1位 トゥルソワ 240.59
2位 ワリエワ 233.70
3位 ウサチョワ 233.20
4位 フロロワ 201.92
5位 コンスタンチノワ 196.83

以下、FSの順位です。

1位 アレクサンドラ・トゥルソワ 164.82 (94.46 71.36)
4Lz(両手) 4T3T 4T  2A CCoSp4  ChSq1  3Lz3Lo<(転倒) 3F!1Eu3S  3Lz  FCSp3  StSq3  FCCoSp3

 

 



最初の4Lzは転倒扱いかと思いましたが、なってないです。見直せばお尻がついてません。でもさすがにこれは-4~-5でいいような。トゥルソワのLzのエッジは安心できるものですが、4Lzは保てるような気がしません。180度のプレロとフルブレードがあったとしても回転があまりよくないですから。シェルバコワも落ちていると思いますけど、トゥルソワより回転はいい、ただしエッジが問題だし、さらにはトゥルソワ以上のプレロのような気もします。たぶん、ですが、女子の4Lzは今年は昨年よりもなくなるのでは。

4Tみてると、跳び方かえてきてます。もっと幅とんでましたが、高さを跳んで回転するロシア式というかミーシン式にかわってきてます。ジャンプによっては前と同じにみえましたが。プルシェンコの指導かしら。ただし力でまわっているのは変わらずでしょうか。。ミーシン式が徹底すると空中の回転がかわってくるはずです。これほど力でとばずにコントロールして楽にとんでるようにみえるはず。転倒、URはでそうですが、4Tは当面、保てるとみました。試合によっては認定されるものを跳べるだろう、ということです。この4Tの成功が順位を決めましたね。

実にいいかげんですが、4Tは昔、さんざん男子でプレロっぽいのをみていて、人間4回転って本当にまわるの無理にちがいないなんて思っていたせいか、4Lzみたいにプレロはきになりません。Tってコミュニケーションにもかいてあるくらり、プレロでやすいジャンプですし。同じ180度のプレロなら、理論上はプレロがあまりないはずというのもあって点の高い4Lzのほうが、4回転では一番点数が低くプレロがでやすいとされている4Tよりはるかに問題だと思います。180度のプレロ、フルブレードの4Lzは実質3Loなので、3Loあつかいして得点さげていいと思うんですけどね。 エッジ系の4s、4loがプレロがある程度でるのは当たり前ですし。90度ぐらいならごく優秀でしょう。

女子が4回転を跳ぶのであれば、4Tか4Sとなるはずです。90~180度のプレロこみになるでしょうけど。トゥルソワもうまくいけば、4Tは保てるのではないでしょうか。確率は低くなるはずですが。

3Lz3Loの転倒は、セカンド3Loは完全に姿勢がくずれてしまってから無理にまわろうとしていたせいでしょう。3Lzの着氷がもっとよかったとして3Loがきれいにまわれるかどうかはちょっと微妙に思えます。もともとあまりエッジ系がいいと思えない選手でしたから。さらにはセカンド3Loは女子は遅かれ早かれまわらなくなってきます。少し基礎点はさがってきても、3Tに変更して着実に決めるようにするのじゃないでしょうか。そちらのほうが作戦としては合理的なのではないかと。

滑りは確実によくなってきています。9でるかどうかは疑問ですが、国際試合でも前よりもいい点がでるはず。

だけど音楽表現と滑りがかみあうかどうかの問題あると思うんです。謎プロだらけのロシアでINが9いっていないということは、国際試合ではさがる可能性が高いのじゃないかと。ほんと、このプロ、謎です。なにがやりたいのかしら。SPは明らかにイメチェンはかっていて、評価するジャッジもいました。こちらはより表現を評価するのはむずかしそう。
評価をすべきなのは、曲負けはまったくしていない点。はじめのアームストロング版の強烈なメロディと音にも負けませんし。問題は次のコジェニオウスキ版。あのやわらかい音を使うコレオはうううん...技術的には問題まったくないですが。3Loコンボ、3F!1Eu3S を跳んでいるだけという印象です。このコレオがわからないからプロ全体が分からないなんて思うのかしら。腰をふってからプロコフィエフのモンテスキュー/キャブレットの大人たちのテーマを使っているStSq、FCCoSpは現時点では未完成というかんじ。あの腰を振る意味は何なのかとつい考えてしまいました。曲のいれかわりをあらわす以外、なにかの意味あるのかしら。曲展開(選曲)の意味もよくわからないし。曲負けしない長所をいかして、最初と最後に強い音をもってきて、変化をくわえるために真ん中に柔らかい音をもってきたということですか?ロシアのロミジュリは私には理解できないプロが多いかも。先日、ノービスの子の演技みたときも、技術的にも個々の表現も面白かったですが、全体は?でした。

コストルナヤやテネルのロミジュリと同じくやたらにいろんな曲を使うプロです。だけど成功してました。コストルナヤはアームストロング、コジェニオウスキ、ニーノ・ロータの3曲もつかい、それもすべて愛のテーマという意図がよくわからない変プロをねじふせて、美しい令嬢ジュリエットをつくりあげてました。あれはすべりと表現の勝利にちがいありません。テネルはリショーのコンセプトが「闘うジュリエット」というのではっきりしていました。そこにジャンプの種類、スピン、ステップシーケンスとテネルならではの解釈がまじりあって、国別ではすばらしいできでした。

コスタルナヤ、テネルともに時間の経過とともによくなりましたから、トゥルソワの演技もよくなるのかもしれませんが、今のところ方向がみえないです。それとも見えないのは私だけ?分からず屋が納得できるようなプロを今後みせてもらえることを期待しましょうか。コストルナヤなみにねじふせてください。


2位 ダリア・ウサチョワ 152.81 (82.33 70.48)

 

 

z2T 3Lo 2A CCoSp4  3Lz1Eu3S  3F3T FCCoSp4  Stsq4  FcSp3  ChS1q1


おっと、こちらもロミジュリで、アームストロング版→コジェニオウスキ版→プロコフィエフというのも全く同じ。はりあいでもしたのでしょうか。

よかったと思います。やはり音負けしませんし、曲のきりかえがスムーズで、こちらのほうがコジェニオウスキ版の部分に説得力があるように見えました。ウサチョワはスパイラルが得意なのか、スパイラルっぽい動きをうまくつかっていますし。個人的には曲想はこちがのほうがでているように見えました。話がいまいちわからないのはこのプロもそうでしょうか。ストーリーを追うプロでないのかなあ。

最後にくるモンターギュー家とキャピュレット家(というのか、ようするに、両家の大人たちのテーマみたいな部分です)とか、仮面舞踏会とかいわれる部分が最後となるのはロシアのはやりなのかしら。この重苦しい、威嚇的なメロディで終わる意図がなんなのかよくわかりませんが、少なくとも今年、3つこれで終わるプロをみたことになります。振付師は別々のはず。プロコフィエフをロシア人が好きなのは当たり前とはいえ、それにしてもなぜこの曲ばかり。他の部分もいい曲多いんですけどね。

個人的にはこちらのロミジュリのほうが好きです。トゥルソワのは、中間部があまりよくないのと、SP以上にジャンプを跳ぶためのプロになってしまっているので。だけど、四回転がすべてをきめました。四回転を1つ失敗したとはいえ、2本きめたトゥルソワと4回転がなく、3Lzが3-2だったウサチョワの差です。回転数ですべてが決まるんでしょう。INはどちらも8.90になっていますが、J1、J4はトゥルソワ、J2やJ6はウサチョワに軍配をあげています。ジャンプを重視していれたか、表現を重視していれたかでわかれたようにみえますが...

3位 カミラ・ワレリア 148.60 (78.52 B 72.08 -2.00)

 

 

4T(転倒)  4T2T  3Lo 2A  FCSp4  ChSq1  3Lz(転倒) 3F1Eu3S  3Lz+RE(体勢をくずしてコンボにできず)P StSq14  FCCoSp4  CCoSp4  

なるほど。衣装と赤と焦げ茶(光の加減では黒にみえなくもない)が基調で、緑かな、肩のところに目立つ色の飾りがついてます。なんだかロシアのアイコンを連想しました。変かしら。でも、ロシアでしかありえない衣装にみえました。

4T、軸がいがんで転倒しました。コンボは意地できめたのかな。軸はそれほどよくなさげにみえました。致命的だったのは3Lzで転倒してしまったこと、2本目の3Lzで着氷が悪くてコンボにできなかったことでしょうか。これはもったいなさすぎます。

でも体型変化の波にのまれなければ、ですが、このあたりはたてなおしてくるはずです。4Tがたとえ失敗しても、3Lzはきめてくるはず。エッジに不安はありませんし。カミラのジャンプもエテリ組らしいプレロとフルブレードですが、4Tは4Lzほど怒りはわきません。もしカミラが4Lzとぶようになったとしたら、そしてトゥルソワ、シェルバコワもとんだとしたら、たぶん、3人とも怒ると思って、とりわけエッジのあやしいシェルバコワにぶつぶついいそうです。テストスケートからみたかぎり、トゥルソワ、シェルバコワは4Lzとべるのか?という疑問はもっていますけど。

テストスケートでも思ったことですが、やはりこの曲、むずかしいですね。なにせ曲が単調ですので、盛り上げどころとかみせどころを考えないといけません。説得力をもたせるにはエネルギーをコントロールしていって、はじめはおさえめ、徐々にもりあげて、最後に爆発させるのがよくあるパターンかしら。曲も次第にもりあがっていくかんじですし。バレエの定番化しているベジャールのボレロも、徐々にエネルギーがあがっていく構成になっています。

今まででみたボレロでよかったのはなんといってもトービル/ディーン、それからややジャンプに難があったとはいえ、ソチのカロリーナですか。トービル/ディーンは火山で心中していく恋人たちの悲恋の物語、カロリーナのはベジャールのボレロを連想させるモダンな雰囲気のもの。ジャンプはちょっとくるしいところがありましたが、滑りと表現はよかったですよね。カロリーナが金メダルとってもよかったのでは、という声ありました。

トービル/ディーンの後、長らく誰も滑らなかった曲で、ロシアでもボレロは大切な曲扱いされているのは当然のことですが、そのわりにはロシアで印象的なボレロってないと思います。なぜか10代のスケーターに滑らせているからじゃないでしょうか。これ、熟練の味をみせたほうがいいような気がしますが。

ソルトレイク前のプルシェンコのはうん、うんですね。当時17~18かな。なんだか賑やかなショーっぽい音でなかったですか?4Tとかビールマンとか、技術的にはびっくりしたおぼえがあるけど、あんまりボレロをみたという気分にはならず。

あとは2015年のリーザ(当時17歳)のSPがまあ、いいだろうという程度ですか?WCできれいな3Aいれましたし、曲の壮大にもりあがっていくところに負けず、同等のエネルギーだしました。コフトゥン(19歳)のボレロもなんだか、だったような気がします。中国杯が一番よかったかしら。あとはメンタルの問題がでていたか妙になっていったような覚えがあります。

カミラに去年のエクソジェネシスについで今年はボレロをもってくる意味ってなんなのでしょう。どちらもいわゆるフィギュア界の名曲中の名曲でしょ?エテリが絡んでいるのはまちがいないと思うのですが、その意図はいったい...15歳最強説にあわせて、なんてことないですよね。

SPは前も今年もとてもいいのじゃないかと思うんです。カミラの踊り心と身体能力の両方をみせてくれているような気がします。しかし、FSのは曲の規模が大きすぎて、特に今年のボレロは形にでききってないというか。カミラの踊るセンスをもってしても、14歳でボレロはきびしくみえます。

ジャンプをきちんとそろえることができたとしても今度は高い表現の壁があるはず。オリンピックではカミラと同じ年回りになるザギトワはバレエ的なポージングの美しさと複雑なTRを十分にみせつけられるプロで平昌を制しました。あのプロはとてもよくわかります。FSはもちこしでした。ジュニアでつけた勢いでシニア初年を席巻してます。キトリはバレエコンクールで子供が踊っているのをみることありますが、年齢にかかわらず、けっこう形になる演目です。

 

が、ボレロは少なくともバレエでは若手がやったらはねかえされそうな演目ですけどね。カミラの場合、ボレロは二年やってもおかしくない曲ではありますが、それはどこかでぴたっと歯車があったのをみせてこそ、のはずです。テストスケートでも無理があるかな、と思ったし、今回もいろいろと。さて、今度見る時までにはどうなっているんでしょう。

気になる出方をしているのはPCSです。やっぱりPCSって順位をいじるための道具なんじゃないの、と勘ぐってしまいます。さすがに転倒が2つあったカミラにPEやINはつけていません。しかし、TRは9.20、TR 9.00、CO 9.20というのはいったい...転倒はあったものの、TRはたしかにいいと思います。高い身体能力をみせびらかすかのような滑りは、ジャンプの前にクロスですべる率が高くなったトゥルソワよりも評価すべきです。でも、それにしても。ロシアが今から平昌に向けて威嚇でもやっているのでしょうか?