テストスケートとロシアカップ第一戦でアンナ・シェルバコワがElegie: O doux printemps d'autrefoisを披露しています。

 

曲:Elegie: O doux printemps d'autrefois

振付:たぶん ダニール・グレイヘンガウス  下の動画で名前をいっていたように思います。ロシア語がわからないのでかなりあやしいですが。

 

ロシアテストスケート

2A 3F /3Lz3Lo

 

 

 

かなりいいできで、テストスケートで披露された女子演技ではベストのうちの一つじゃないでしょうか。3回転でも3Lz3Loなどはプレロっぽくはみえますが、ロシアの回り方はもともと肩からまわすので90度以上まわってしまうことが多く、厳格な人がみても、180度以上のプレロとはとらない可能性があります。180度かりにまわっていたとしてもプレロをとられそうな気はしません。気になったのはそれかな。シェルバコワの4Lzのエッジに昨シーズンはいらだち続けましたが、3Lzのエッジはまず大丈夫にみえますし。

 

高さは気になります。前よりないようにみえる。でも、身長がのびたからそのような錯覚おぼえているだけなのかもしれません。もし実際にあがらなくなっているのなら、よくない兆候に思えます。場合によっては今シーズン中に回転不足がでるんじゃないかな。

 

離氷のプレロとエッジの問題をのぞくと、回転自体は軸がしっかりしており、すばらしいスピードでまわるタイプです。普通に健康的な成長をとげるのであれば、この速度でまわることは徐々にできなくなるとは思うんですけどね。今の細さがあってこその回転速度でしょう。ザギトワも15歳のときより17歳のときのほうが回転が遅くなっていました。ジャンプだけでなく、スピンもそうなるんでしょう。

 

今のところ、背がかなりのびました。でも横幅は増えてない状況なので、まだしばらくはまわれるはずです。

 

問題は横幅を人為的にコントロールしているかどうか、ということ。あいかわらず幅はついていませんが、背は明らかに大きくなっています。ということは背がのびきったあとにいわゆる体型変化が起こるタイプなのか、ツルシンバエワの背の高いバージョンみたいなものなのかどちらかじゃないかと思ってます。

 

前者なら今シーズンはなんとかなっても、来シーズンがあぶないということになりそうだし、ツルシンバエワタイプなら、来年あたり、健康問題に発展する可能性があるのかもしれません。ツルシンバエワはあまりに細くて健康そうにみえないと思っていましたが、2年前のシーズンで4Sとんだあと、昨シーズンは一年姿をみせませんでした。今シーズン復帰するのかしら。メドベと知子ちゃんの平昌シーズンも栄養問題はありました。ただ、二人は症状がましだったといっていいのか、疲労骨折のあと年内復帰しました。が、ツルシンバエワは一年の欠場です。ジュニア体型で、エテリ組復帰後、食事制限をよりきびしくして4Sとんだのではないかという気もします。より根が深いのか...そういう意味で、メドベのエテリ組復帰は心配になるわけですが。

 

そういう心配はさておくと、見応えのある演技だと思います。踊り気があるというか、イメージをもってすべっているようにみえますし。今の時期からしっかりした作品になってるのはすごいなと。スピンの形も、アップライトは去年までなかった(はずの)形をとっていて、なかなか興味深いです。滑りはうまいですよね。エッジもつかえてますし。表現はかなり大人っぽいものをめざしていて、それはある意味、成功しているのじゃないかな。

 

ただし、うまい、で終わりませんか?何回も繰り返してみたい、という要求まではわかないというか。WCあたりでみたとしたら、この演技が絶対的で最高、とおそらく思わないような。このつめつめの振付の中に、一つ一つの意味をさぐりたくなるような気持ちはおこりません。趣味の問題なのかもしれません。つまり、自分としてのせられる、というタイプじゃないというだけのことかも. 自分にとっては、goodないしはvery goodだけどexcellentでない、でも他の人の評価はまったくちがうかもしれません。

 

まあ、ここは自分の家みたいなものなので、自分の趣味に走ってかいてしまうと、

 

たとえば腕です。きれいにうごいています。難癖をつけるところなどない。でも、それで終わるのです。そこに何か心がうごいていくところがない。たとえばラストのスピンで手をひらひらさせますが、そこに独自の音楽の取り方をかんじますか?あ、動いている、というふうな観察でどうもおわってしまって... あとは、エテリ組らしいつめつめのTRだなあ、ここのステップ認定されるだろうから、点とるのだなあとか、エテリ組らしいなあとか(笑)。 

 

ちょっとした音のとりかた、ちょっとした熱量の問題のような気もします。音の取り方はきわめてロシア的というか。音のではじめのところでためらわずに音にのって動いてます。それはそれでいいと思うのだけど、ロシアの一定水準の選手だとああいうとりかたがスタンダードなので。どこか教科書通りというか。アーティストだ、と思う選手には必ずその人独自の音のとりかた、表現があって、それこそが面白いと思っているので。

 

身体が明らかにできていませんから、もう少し身体ができてきて、滑りが完成してくるとまたちがってくるかもしれません。ロシア式スケートって大人と子供の差はカナダ式ほどあからさまではなくて、子供の軽い身体ですべってもそれなりに魅力的なすべりですが、アイスダンスやペアの女子みると、やはり大人の身体のほうがいいのだと思ってしまいます。強弱があるといいますか。ちょっとした動きに情感があるというか。一つは年齢でしょうねえ... シェルバコワも滑り自体は20歳以降のほうがいいのじゃないかと。たとえばもう少し重さをかんじさせるほうがこの曲にはいいんじゃないかな。あるいは究極のなめらかさをかんじさせるか。めちゃくちゃな注文しているのですけどね。かなりいい演技なだけにあと一押しなどと思ってしまいます。これはシェルバコワであればこそ、他の選手には絶対にだせないものがほしいです。

 

こちらがロシアカップでの滑りです。

 

 

2A(タケノコ) 3F(タケノコ) CCoSp4B/ 3Lz(タケノコ)3Lo詰 FCSp4 StSq3 LSp4

 

ううむ、タケノコの嵐。点数に関係なくつけているということはなにかあるのかなあ。テストスケートのほうがよかったようにみえるのですが、どうですか。セカンド3Loやはりあやしくみえますが、OKの判定はでてます。さすがにGOEはそれほどついていません。

 

ロシアの謎の方式Bっていうのが付くのですよねえ。。。これがついたら、ボーナスポイント+2.00がつくそうです。いいスピンだとは思うけど、ボーナスやるほどかなあ...謎でしかありますまい。

 

プロトコル

https://fsrussia.ru/results/2021/1etap/eMC_K_Scores.pdf

 

シェルバコワは一番上です。

 

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/af1a1da0f82bccd09f089c5c9aee418c0b7d8a97

によるとFSで4Fとんだようです。昨シーズン、4Lzのエッジがきわめてあやしかったせいかしら???

 

演技みつけたらまたはります。タイトル変えるつもりです。

 

 

---

21日追記

別の原稿でFSをかきました。追加しようなんて考えるものではありませんね。