けっこうカットされてましたよね。アーティストとのコラボが中心でした。Twitterでの評判をみて待ち遠しかったランビのシューベルトも、カペラノのモノクロ映画のような演技もなく...これはもう、3日すべてを放送してくれるのをまつしかありますまい。テレビに頼らず、見に来い、と主催者にはいわれそうです。
フルだと初日はこういうプログラムでした。テレビ放送は2日目のものだったのでまたちがうプログラムだったんでしょうけど。
https://twitter.com/BluecosmosH/status/1131932019171086336
上のをみてはカットされた演技に思いをはせています。はやくノーカット版がみたいです。
それでもたいへん面白い放送でした。羽生君はマスカレイドもクリスタル・メモリーもやってくれました。ありがたや、ありがたや。いくつか感想かきたいのですが、とりあえずはToshlさんのコラボばかりを。
このToshlさんとのコラボ、生音で、場所と時間を共有して、お互いから影響を受けて、おそらく普段以上に盛り上がっていくという、すばらしさがありました。
時々いませんか。CDやYouTubeの公式動画でみるよりライブのほうがはるかにいいタイプのアーティストって。役者でいうと、映画俳優より舞台俳優のタイプ。生でこそ力を発揮するタイプ。今更ですが、Toshlさんってそういうタイプのアーティストなのだと実感しました。これまで、歌がかかっていてもいやでない、という程度で、熱狂してきいたことはないのですが、今回のアーティストの中ではとびぬけているように思いました。
ジョニーの赤いスイートピーも、ランビのI love youもよかったではないですか。二人の特徴が実にでていて。まあ、赤いスイートピーは、聖子ちゃんの歌声を頭でながしてしまったような気もしないでなかったです。だって、あれ、女の子の歌ですよねえ(笑)大健闘されてましたけど。ジョニーにはかなりにあう曲。終わったときに、(別にファンではないはずですが)聖子ちゃんでやってくれないかなあ、と思ってしまったのはいけないでしょうか(爆)
尾崎さんの歌うI love youは、冒頭のI love youはなにげにきけるけど、いまだけは、の「だ」の音程,..あれ、わざとやっている表現のような気もするのですが、どうも落ち着きません。子どものころやらされた聴音のおかげで、音楽の好みが制限されすぎて、人生ソンしているような気がします。FaOIのテレビ放送は音消したりつけたりの連続です。現地にいったら、変な反応して近くの人に迷惑かけそう...
でも、昨日はランビのスケートに感嘆しっぱなし。歌詞を高志郞君に訳してもらったらしいですが、どの歌詞がどこでくるかも研究したんじゃないかしら。音はもちろんつけたまま。何のストレスもかんじなかったので。ちょっとパパシゼのFDを思い起こすとこがあったような気がします。あ、でも、ランビがすべってるのにカメラをToshlさんのほうに向けるのはなしです。あれはいけません。肝心の歌はカメラむけなくったってテレビを支配してくれますが、踊りはカメラの対象にならなければ存在しなくなるんですから。
なんだか話がそれているような気がしますが、とにかくToshIさんの歌は想像していた以上にスケートにあいました。
中でも羽生君とのコラボはもう別格でした。ご本人の歌というのもありますが、場を支配する人間が二人いたっていうのも大きい...で、1+1=2じゃなくて、11ぐらいになったかんじで。
オペラ座の怪人が好きか、きらいかときかれると絶対好き、と答えます。で、マスカレイドは、即答できますまい。ちょっとオペラ座のメロディが使われているところあるでしょう?で、オペラ座の曲が展開されていくのを期待してしまう自分がいます。
でも、羽生君のスケーティングでいくと、5年前のオペラ座より、このマスカレイド(オペラ座 Part 2)ですよね。ケガや病気でオペラ座が改良できなかった、というのもあります。シェイ=リーンが、ステップ、あんなものじゃないわよ、なんて言ってましたから、改良する気満々だったのでしょう。それができずに終わってしまったシーズンでした。いいプロでしたけど。
ところが、このマスカレイドの破壊力はなんですか。振付師がちがうから、といえばそれまでですが、ファントムの哀しみ、怒り、彼が引き起こす数々の事件の暴力性、そして底知れない才能の持ち主なのだということも,びしびしかんじさせるプロ。命を削るように滑っているような気さえします。
ジャンプは少なめですが、このプロにアクセルのなんとふさわしいことよ。アクセルこそ羽生君のジャンプ。この3Aの攻撃性。1Aっていろんな表情をもたせられるジャンプですけど、この1Aは鋭い痛みが走るようなかんじがする...Notte、春よ来いとなんてちがうんでしょうか。同じディレイドの1Aなのに。
足元にくらべ、上半身の動き、表現はややあっさりしているタイプです。あくまで足元とくらべて、ですよ。足元は他のスケーターの2~3倍ぐらい濃度が高いですから。.今回の二つのプロは、それをやぶろうとしてませんか。前こういうリズムの取り方、音はめなかったはず、ということをあっさりとたくさんやってます。ジャンプが少なめにしているショーナンバーでは表現に割く余裕が増すのかもしれませんが...前に、コメント欄で、上半身の表現に気をくばりだしたら、それこそ死人がでるのでは、なんて書いてもらいましたけど、それに近づいているような気がします。ラストの手袋をなげるところ、Twitterでショートサイドにいた人のさわぎよう、尋常じゃなかったですし...
この情熱全開のパターン、実にひさしぶりです。そういう意味でも面白かったプロです。いつでも全力で滑るスケーターですが、今回は(正確にいえば、前回の清塚さんとも、でしょうけど)アーティストとのコラボでさらにヒートアップしたかんじです。歌もyoutubeでみたのよりずっとよかったです。ボーカルに専念したというのもあるのだろうけど。
バトルの演技みたあとにこれみると、あ、これ、バトルの振付だわ、という気分になるのはおかしなものですね。ある情報があったら、そういうふうにみようとしているだけかもしれませんが。これはいかにもバトルらしいリズム取りとはまったくちがうメロディ取りの振付ですが、振付からだろう、と思われる音の取り方にバトル自身のプロとの共通点があるような気がします。あとバトルの振付の特徴といっていいスプレッドイーグルの使い方もしてるし。
この歌詞、好きそう...
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Open your eyes wide Listen to your heart
さあ、目を開けて 心の声に耳を澄ましてみよう
The spirit was broken into pieces in the distant past
僕たちの大切な魂は 遠い昔に粉々に砕け散ってしまったけれど・・・
The higher walls are there for a reason
目の前にそびえる高い壁 それにはきっと意味がある
They let us prove how badly we want things
欲しいものがあるならば 必ず乗り越えることができるはず
You can raise your hopes
希望に胸をときめかせ
You can touch your bravery
自分の中にある真の勇気を感じてみよう
Crystal memories
クリスタルメモリーズ
In the sea of time
時の海の中へ深く
A sailing journey Beyond time and space
さあ 取り戻しに行くんだ 時空を超えて 旅に出よう
To the end of the world
この世の果てまで
We are marvelous!
僕たちならきっと成し遂げられる!
Change our reality
悲しい現実を変える力が 僕たちにはあるんだ
When it's dark enough, you can see the stars
闇が深ければ深いほど 瞬く星は光り輝くだろう
Don't be afraid
恐れることは何もないよ
Believe in yourself
自分自身を信じて 僕と一緒に前へ進もう
https://ameblo.jp/larme-000/entry-12326911122.html
ぜんぜんわかってないのですが、この曲は、RPG『オーディナル ストラータ』の楽曲なんですか?
楽曲『CRYSTAL MEMORIES』にはどんな想いを込めて制作されましたか? という質問に対して、Toshlさんからは次の言葉が。
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Toshl バラバラに砕け散った“メモリー”を集めるため、時空を超えて旅をする、というゲームの世界観を聞いていました。
それを自分の人生とも重ね合わせて、幼いころに失った大切なものをもういちど取り戻していく……もういちど人生に立ち向かっていく、といったイメージを持って、この曲に取り組みました。
自分の人生と重ね合わせて作ったので、深く入りやすく、とても作りやすかったです。
——少し切ないイメージがする楽曲ですよね。
Toshl バラードでクラシカルな中で、ドラマティックさや、ノスタルジック、哀愁といったものを、僕の声の響きや音律だけで感じてもらえるような楽曲に仕上げています。
https://app.famitsu.com/20171226_1190140/
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「もういちど人生に立ち向かっていく、といったイメージ」なるほど。「立ち向かう」です。
デイヴィッド・ウィルソンの振付だと、ひたすらやわらかく、やさしい滑りだったそう。上のインタビューを読んでたかどうかはわかりません。でも、少なくとも大外れではなかったのでしょう。
何しろ壁の先には壁しかない、とのたもうお方。そしていくつもの壁をこえていっているのを目撃しています。となれば、この曲が戦いの歌になるのも当然なのかも...それを想定させる歌詞ありますし。極めて美しいのに、未来を切りひらこうとする決意にみちた歌。ええ、戦って美しい未来を勝ち取るということでしょうか。
だいたい冒頭の表情からして、決意モードでした。ショーナンバーとは思えない顔つき。
柔らかさと芯の通った強さの共存。これこそ羽生君なのかもしれません。Y字スパイラルなど、多くの女子が恥じいるしかないものじゃないですか。だけどその柔らかな美は単なる柔軟性のみならず、とんでもない体幹がうみだすものですし...
そしてこのエアリーなスピードは独特のものといっていい。氷に触れる面積が他のスケーターよりずっと少ないのだろうか、いや、実は半分浮いているのじゃないか、なんて思えることもあります。だけどこのスピードは氷ならではのもの。すごくふしぎです。パトリックのスケートは脅威でしかありませんが、あれは重力をいかしたもので、多くのスケーターがやっていることを純化させていったらああなるのかな、という気がしないでも... 対してこれは?というものです。止める力、摩擦を最小限にすることでこういうスケートになるのではないかという考察を読んだことがあります。そういうことなんでしょうけど、それよりも空気の精とか空中の住人という言葉のほうがでてきてしまう。体を大きくつかっているにもかかわらず、スピードは落ちず、ぶれることはなく、ノイズはまずはいらない。クリスタル、という言葉がものすごく似つかわしい。
来シーズンでみようと思っているのが、上半身です。マスカレイド以上に、このプロでは首への意識が高くなっていませんか。今回のFaOIみるかぎり、上半身の表現を進化させようとしているとしか...どんどんあがっていってはいたとはいうものの、この数シーズンは助走にすぎなかったというのを来シーズンは実証してくれるのじゃないかしら。