世界選手権に出場しなかったことであれ、となったコフトゥン。引退するという噂は流れていましたが、正式に発表がありました。
こちらに本人が投稿したInstagramの翻訳が掲載されています。
https://russianfigureskatingforever.blogspot.com/2019/04/Kovtun-instagram.html
結局オリンピックに出られなかった男子、という本人の言葉がささります。
ソチはやはりコフトゥンが出場したほうがよかったのではないか?とう疑問はずっとあります。2013-14シーズン、ロシア選手権で優勝したにもかかわらず、欧州選手権ではロシア2位のボロノフ、3位のコンスタンチン・メンショフよりも下の5位、その結果、オリンピック代表にはプルシェンコが選ばれました。でも、プルシェンコは個人戦にはぎりぎりで棄権しました。やむを得ない状況だったとはいえ、コフトゥンを代表に選ぶべきだったのではないかという意見がネットをにぎわせたものでしたっけ。
ソチ・オリンピックの件だけではなく、ヤグプルの(悪)影響を一番受けたロシア男子だったのではないかしら。向かうところ敵はお互いだけ、という雲の上の1位2位争い、他国の選手は3位争いをするだけ、というヤグプルの時代の成果をまだロシアは追いかけているところがあるのでしょう。ロシア代表にかかるプレッシャーっていうのは、今なお、ヤグプルの呪縛じゃないかと思えることがあります。コリヤダにもそんなところがありますが、なんといってもその呪縛を受けたのはコフトゥンでしょう。
バレエをたっぷりやらされているはずなのに、ちょっとありえないような、あの痙攣のような動き。あれ、神経的なものじゃないでしょうか。精神的に安定していたと思われる昨年のロシア選手権ではみごとに消えていました。スタートラインにつく目をみていると、できる気がしないことも多くなりました。やるぞ、というアスリートモードよりも、できるだろうか?と、何かをおそれているようにもみえました。でも、これは引退の引き金となった腰の故障のせいで、できるという気がしなかったというのがあるのかもしれません。ユニバのときのフリーがそんな目でした。
努力していたのは明らか。細い体がいつしか筋肉の鎧をまとうようになりました。
その一方で、コフトゥンの努力って、もしかしてよくない方向に向いているの?清原が野球選手らしくない筋肉をつけたのがよくなかった、といわれているように、シングルのフィギュア選手としてはふさわしくない体つくりしてるのでは?なんて思ったこともあります。
こんなこと書くのも、いわゆるパワー型ジャンパーに対する好みがたいへん偏っているからなんでしょう。おさえようにもおさえられない筋肉のパワーを感じるタイプは好きなのです。逆に、パワフルに跳ぶぞ、という意識が強すぎて力が入っているように見えるタイプには我ながら点が辛いなと思います。コフトゥンって後者の一人ですのでね。
それにしてもまだ23歳。とくにロシア選手権でこれまでと一味ちがう演技をみせただけに、そして欧州選手権以降はそうでなかっただけに、ロシア選手権のレベルを国際試合でやらずに引退するなんて早いのでは、という考えが頭をかすめないでもないです。でも腰の故障がありますので、やりきった、ということなんでしょう。
https://twitter.com/tamayura_yura/status/1120672281976393729
によると、コーチになるべく体育大学でフィギュアスケート理論、実践法を学び、プロデュースにも興味をもっているそうです。第2の人生がうまくいきますように。選手時代のつらい経験は必ず役にたつはずです。失敗もみんな糧にできますよ。教え子からオリンピック選手がでますように。
6番さんの書かれている引退記事がよかったです。LuceWaldで書かれている引退記事って、長いことその選手を温かい目で見守ってきからこそかけるもので、なんともいえないことが多いです。先日のマヨロフの引退記事もすばらしかったです。
http://sthmytkh.blog108.fc2.com/blog-entry-3540.html