4月5日のフィギュアスケートTV、鈴木アナが面白いことをいってました。うちの録画で33分ぐらいのところなのです。4回転をまず最初に跳んでいるトゥルソワと、シニア女子に4回転をもたらしたツルシンバエワの話をしたあと、

「気になるのはトゥルソワ選手が3Aを跳んでいないところなんです。練習で跳べて、実際にプログラムに組み込んでくるかどうかは別の話だと思います。あくまでもプログラムに組み込めることが前提でいきたいのですけど、やっぱりアクセルってちがうんですよ。(八木沼さんの話は中略)3Aって異質なんです。そう考えると、坂本選手のコーチは坂本選手にトリプルアクセルを飛ばせるっていってますけど、ぼく、思ったんです。ショートはもう2Aにして、出来映えをとにかく高めにして、そしてもう最後は4回転を目指して、フリーで追い上げる。というパターン。ただ、3Aの利点としては、SPに入れられるので、そこらへんは四回転とちがうので、先行逃げ切りがはかれるわけです。うまくいけば」(ここで西岡アナに「連盟の方ですか?」と突っ込まれていたので笑いました。)見てて思ったのは、ショートを出来映え重視でやって、4回転を組み込んでの後半追い上げ型か、それとも3AをSPに組み込んで先行逃げ切り型にするか、このどっちを選ぶか。でもここで、トゥルソワ選手が3Aを跳べるようになったら。またGOEプラスで跳べるようになったらこわいな、と日本人の視点では思いますけどね」

だいたいこんなかんじです。細かいところはまちがってるはずですが、ご容赦を。

この話きいて、自分の頭が男子と女子でごっちゃにしているのにやっと気がつきました。

男子は3A跳べないと、上位に食い込めません。4回転を跳べない選手は少なくなったとはいえ、いなくはありません。でも3Aは基本、みな跳びます。SPで2Aにしてしまうと、FSで逆転はきわめてむずかしいです。

女子は3Aを試合で組み込んでいる選手はごく稀少です。今跳んでいるのは紀平ちゃんとリーザだけ。さらには、規定で4回転をSPで跳べません。

この事情をちゃんと認識すると、鈴木アナのいう二択になるんです。

1. SPで3Aを跳ぶ。FSで4回転は跳ばない(=先行逃げ切り型)

   FSでも3A跳ぶ、という前提で話をされているはずです。

2. SPでは2Aを跳ぶ。FSでは4回転を跳ぶ(=逆点型) 

で、鈴木アナがトゥルソワがやるかもと、心配されているのが下のパターン

3. SPで3Aを跳ぶ。FSで4回転を跳ぶ

紀平ちゃんが目指しているのも3の戦略です。ジャンプの種類は4Tと4Sといってますから、4Lzを跳ぶトゥルソワ、シェルバコワには劣るとはいえ、2人の成功率は必ずしも高くないですし、GOEで対抗できるか、という気はします。3Aでは有利でしょうし。ちゃんとジャッジがGOEをつけてくれたら、という条件はつきますけど。トゥルソワ、シェルバコワが来年も跳べるというのを仮定して書いています。跳べなくなる時期がおそらくきますが、来シーズンは今シーズンなみに跳ぶとしましょう。

ここで、なぜ、エテリ組は3Aをとばず、4回転をめざすのか?という疑問がわきませんか。トゥルソワ、シェルバコワ、アカチエワと4回転とんでいます。11歳で来年もノービスのアカチエワは4Lz+3Loと3A+3Tもとんでいますし、コストルナヤも3Aを跳んだ動画もでています。トゥルソワはみたことないですが、フィギュアスケートTVの流れをみると、3Aが成功した練習動画はでているのでしょう。でも、まだ誰も試合では跳んでいません。

4回転より3Aのほうが半回転少ないのになぜ3Aをスキップして4回転なのか。

アクセルの特殊性からくるものと思われます。

フィギュアスケート美のテクニックp.14-15にアクセルの解説があります。

 

 

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 エレメンツとして認定されるジャンプの中で唯一、前向きに踏み切る、最もむずかしいジャンプだ。
 助走は右脚のバックアウトから、振り返って左脚フォアアウトにのり、アウトエッジで踏み切る。踏み切る前に右肩が回りはじめてしまうと、上半身を左に巻き込んでしまい体軸がぶれるので、踏み切るまで右肩を引いてしまうことが重要。空中で斜めに傾いてしまう場合のほとんどが、踏切で上半身が先に回転してしまっているのが原因だ
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この説明みて、プレロテがお約束のエテリ組がなぜ3Aを回避しているのか、なんだかわかるような気がしました。足元だけでなくて上半身まで作動してしまってることが多いので上の「右肩」の説明部分を満たしていないかも...

さらには、本には書いてない点があります。3A跳んでいる女子(紀平ちゃん、リーザ)は、いったん滑りを止めて、膝をうまく使ってエネルギーを生み出して跳んでいます。これがエテリ組にはできますまい。

いいかえると、

シニア組
膝を使ってエネルギーをもたらしている。腕の使い方は個人差あり。

エテリ組
柔らかくて軽いという子どもの体をいかして跳んでいる
プレロテで回転を稼いでいる、というのも実情。

シニアのツルシンバエワにしたって、体型はジュニアですから、柔らかいはともかくとして軽いはあてはまるでしょう。

 

体がまだできていないときには、子どものころには膝はまだ完成していません。だから十分に使えないのは当たりまえ。こうなるのもしかたないといえば、しかたないのでしょう。

膝をそこまでまげずに体のバネで跳ぶ昌磨君方式ならいいのではないか、というコメントをいただいています。

だから将来、試合で跳べる選手がでてくるかもしれません。練習だけではなく、試合でも跳ぶ選手はでるか。来シーズンは注目したいところです。


3A跳んでいる選手の演技をみるときは、膝と腕に注目すると面白いです。男子はフォームかためていないのじゃないか?と思える選手いるんですが、女子で跳んでいる二人は膝を確実に使っていますし、羽生君も、膝と腕のエネルギーというので注目すると、跳び上がる前から、これで高さと幅がでるのだ、と大興奮の世界になりますので。羽生君フリークで同じ跳び型をやっている草太君、須本君あたりもご注目。完成度はご本人ほどではありませんが、これからもっとよくなるよね、と期待したいところがあります。

 

このあたり、まったくの受け売りです。詳しくはコメント欄をご覧下さい。延々と議論しています。いや、一方的に教えてもらっているといったほうがいいかも。

まだこの件、書き足したいような気もしますが、いったんこれで終わります。エテリ組の4回転の確率とか考えてみたいので、また準備ができたら続きを書くかもしれません。