詳細結果 http://www.isuresults.com/results/season1819/gpf1819/SEG003.HTM
プロトコル http://www.isuresults.com/results/season1819/gpf1819/gpf1819_Ladies_SP_Scores.pdf
どうもうまく動画をはることができません。Rockerのまとめ動画のリンクをはって、お茶をにごします。この試合、こればかり。
https://www.rockerskating.com/news/2018/12/6/2018-grand-prix-final-play-by-playresults-ladies-short-program
1. 紀平梨花 JPN - 82.51 (47.36, 35.15)
3A, 3F3T, 3Lz
やりましたSPではじめて全部きれいにジャンプがきまりましたよ。SPのSBです。これまでのザギトワのロステレコムでの記録80.78 を抜き去りました。
この高得点がでた原因は、BPが高いことはもちろんなんですが、GOEが大きな役割をはたしていることは忘れてはなりません。11というのはこのグランプリファイナルで、ジュニアをふくむ男女そろえて最高の数字です。その内訳は、63個あるGOEのうち
1 1個
2 5個
3 24個
4 29個
5 4個
4と5が33ですので、半数以上が+4以上になります。このGOEをとること。これこそが今の採点方式では大事なことです。2位のザギトワとは
このGOEをたくさんとる演技は、PCSを高めることに直結するといわれています。おそらくそうです。ソチまでの四年間をふりかえってみても、羽生君、ハビ、メドベなどがWCで優勝したときには、高いGOEと高いPCSを同時に獲得していました。
そして、このGOEがあれば、時に、高難度ジャンプによる構成を打ち破ることもあります。バンクーバー・オリンピックのシングルでおこったことの最大の原因はGOE、そしてGOEによって生まれたPCSでしょう。当時と今とは個々の基礎点がちがうし、他の要因もあるとはいえ、このGOEの役割とPCSとの連動は大きい。
複数回続いて、まぐれの結果ではないということをジャッジが納得して安心してPCSをだすようになった、という別の要因もありますが、紀平ちゃんのPCSの伸びもこのGOEが働いていると考えてよさそう。
もちろん、3Aという高難度ジャンプが跳べるというのは大きなアドバンテージです。でも、去年の未来ちゃんでわかるように、たとえ3Aが成功しても、3回転で回転不足だらけではどうしようもないのです。コンボがぬけるとか、単独ジャンプで転倒がでてしまっても大きな減点になります。ジャンプ以外でも、すべてのスピンでレベルを取りこぼすとか、ステップでスタンブルをするとか、小さなミスをたくさん積み重ねてしまったも同じこと。大技があれば、優位にはたてます。でも、必ずしもプラスになるとはかぎりません。決まった技には大きな加点をえて、ミスをできるだけ抑える。これが大事です。
ところで、テレビでは、今日の演技を完璧、完璧といっていましたが、
実はFSSpで取りこぼしているのです。しかもレベル2。織田君が指摘してくれないかなあ、って期待していたんですが、生でみたかぎりではなかなかわかりませんよね,,,,誰か、助けて、とまた他力本願にかけたのです。でも、ちょっと助けがみあたらないので、コミュニケーション第2186号を手に類推したかぎり、p.9にかいてあるスピンのレベル要件を2個までしかとれなかった(たぶん、4) 足を換えずに行われる難しい姿勢変更、11) フライング・スピン/フライング・エントランス・スピンにおけるフライング・エントリーの難しいバリエーション以外はとれなかったってことですかね。回転速度が途中にぶりましたので、9) の明確な回転速度の増加など他の要素がみとめられなかったということかと。。大嘘かもしれません。わかる人、助けてくださいませ。
これまでもNHK杯 SPレベル3 FSレベル4フランス国際SPレベル4 FSレベル3と必ずしもレベルをとってきたスピンでないのはたしか。でもジュニア時代はレベル4が多かったスピンです。どうやらこの数年で、レベル2というのははじめてのよう。何が問題なのかは他のとくらべてみるとわかるのかなあ。
で、どれぐらいアップできそうか、ですが、
FSSp2はBPが 2.30、4にできると3,00ですので、基礎点だけで0.70増えることになります。たいしたことないといえばそれまでですが、こういう小さな積み重ねが大事、といえないこともないかも。接戦になるとものをいいます。今回のGOE 0.59は特別低いともいえなくて、今年のネペラ杯FSでは0.47でした。同じネペラでもSPでは0.84でています。そうですね、0.84が当面の目標として、あと0.25プラス、合計で0.95ぐらいはうわましできるかもしれません。
フリーは最終滑走ですね。どうか緊張しすぎませんよう。NHK杯並の演技がくると信じて待ちましょう。
2 アリーナ・ザギトワ 77.93 (42.10, 35.83)
3Lz+3Lo 2A
冒頭にもってきたのがよかったか、今日のセカンド3Loはかっちりまわっていましたね。昨年は後半にジャンプをかためるプロをこなしていましたが、今年は後半の3Loはやや怪しいように思います。なにも悪いところなどないプロでした。スピン、ステップとレベルはいつも通り4をとっています。プロトコルみると、9人のジャッジがだすGOE63のうち、5が2、4が18もあります。約1/3がこの上ない評価をしているのです。
が、今日の紀平ちゃんはGOEでも5点の差がついたのは、紀平ちゃんのBPが高い(紀平: 36.39 ザギトワ 33.23)ってこともありますが、GOEが紀平:11 ザギトワ 8.87という差ですね。TESの合計差は5.26(紀平:47.36-ザギトワ:42.10)これをPCSの差で取り返すことができませんでした。PCSは、ザギトワ35.83-紀平35.15で0.68ザギトワが勝っています。ザギトワのSSは昨シーズンより評価されて当然ですし、TRはもりもり、INは美しいポージングで謎編曲をねじ伏せていますので、PCSはザギトワのほうが高いでしょうか。PEはちょっとちがうような気もしますが、まあ、いいでしょう。順番があとのほうが点がきやすいものです。
明日は予定では3Lz+3Loを後半にもってきます。はたして、まわりきるでしょうか。シニア女子の3Loは保てる可能性が低くて、まれにしか認められなくなるというのが持論なんです。フィンランド杯ではSPはセカンドが1Loにぬけ、FSは3Lz<+3Lo<でした。ロステレコムではSPはOK、FSは3Lz<+3Loでした。セカンドでなくてファーストが回転不足ですから微妙なところです。今回はどうなるでしょう。
3 エリザベータ・トゥクタミシェワ 70.65 (38.25, 32.40)
3A<(ターン), 3T+3T/3Lz
しかし、雰囲気ありますよね。思わずにやにやしてしまいました。変反応。雰囲気はともかくとして、リーザの場合、GOEはジャンプで稼ぐしかないところがあるので、3Aがきまらないと、これ以上の点にはつながらなさそう。3T+3Tも3Lzも悪くないジャンプでしたが、3-3は3Lzとか3Fとかと組み合わせる選手が多いので、どうしても弱い。GOE満点でも取ったら別ですけど。3Lzはいつもながらなかなかのでき。でも単独3Lzで大きなアドバンテージをえるのは難しいでしょう。リーザが世界女王にかがやいた4年前以上に、ジャンプ以外で点をとるのが重要になっています。戦略的にはちょっときびしいかな。つなぎはうすいし、スピンですごくGOEがでるような気はしないし。でも、このSP好きなんです。この濃厚な雰囲気でintensityがあるのだけど、気張るではなく、適当に肩の力をぬいて演じるのがもうなんとも。
4 坂本花織 70.65 (38.25, 32.40)
3F3T, 2A, 3Lo
パワフルと取るのか、力まかせととるのかで全然評価がかわる選手。とくにこういう曲ではそうなるでしょう。昨年からスケーティングそのものはめざましく伸びました。SSで8.50ぐらいでてもおかしくないように思います。一方で、曲解釈については意見がわかれるでしょうね。今回もジャッジはINが7.50から8.75まで大きくわかれました。リズム感はわるくない、手先は前よりよくなっています。パワフルに表現しているととるなら8点台、こんな曲だからもっとていねいで叙情的にするべきでは、ととるなら7点台でしょう。スピンでまわるときとか、ステップで回転するときとか、スパイラルでもいいのですが、柔らかさをかんじられたら全然ちがうのだけど。手先だけではなく、全身で優しい叙情を語るべきでは。パワフルと叙情は共存できなくはないけど、勢いを全面にだすのは、なにかがちがうでしょう。ジャンプで一番よかったのは3Loでしょうか。+4以上ついてもおかしくなさそう。単独の3Loなら女子の中で一番いいものを跳んでいるかもしれません。
5 ソフィア・サモドゥロワ 68.24 (37.12, 31.12)
3F(タノ)3T(タノ) 3Lo /2A
今日もノーミスやりました。もしかしたら公式大会通算30試合目の無転倒記録更新では。それでも大きくのびてこないのは、1つはジャンプ構成、2つめはGOE、3つめはPCSのせいですね。まず、ルッツがありませんので、その分、どうしても厳しくなります。といってもこれ、去年までのメドベと同じジャンプを跳んでいるのです。違いは、GOEですね。悪いジャンプではないのだけど、GOEが4以上でるのはむずかしいような。パーフェクトであればよいというものではないことを証明していることになるかも...とはいえ、スピンは同じチームのリーザよりよいですし、ていねいに曲解釈をしているのもわかる選手。腕の使い方も意識してきれいにやってます。ここらへん、バレエを必須要件にしているロシアの方法論が身を結んでいるともいえそう。徐々にエレメンツの質をあげていくことで点数もあがってくるかもしれません。この選手のジャンプ、今後も保てるんじゃないか、という風にもみえるし...たぶん、ですが、リーザと同じく、ロシア女子としては息の長い選手になるんじゃないでしょうか。
6 宮原知子 67.52 (32.58, 34.94)
3Lz<堪 2A 3Lo+2T
冒頭のジャンプ、ひやっとしました。かなり軸が斜めで。もちろんコンボはつけられませんでした。URとられてもしかたないでしょう。最後の3Loに2Tをつけることができたので、コンボ要件はみたしたとはいえ...今日はすべて、最初のジャンプで歯車が狂ってしまったという演技でした。でも、あきらめなかったのがよかったのではないでしょうか。ステップはレベル3でしたが、スピンはいつも通りすべてレベル4です。レベルをとりこぼしたステップもGOEは悪くありません。紀平ちゃん、ザギトワには大きな差がついてしまいましたので、おそらく2位以上はないでしょう。でも、3位以下は3.13までの差でしかありません。フリーでは逆点なりますように。