詳細結果 http://www.isuresults.com/results/season1819/gpfra2018/SEG003.HTM
プロトコル http://www.isuresults.com/results/season1819/gpfra2018/gpfra2018_Ladies_SP_Scores.pdf
大接戦です。67点台が3人もならんでいます。紀平ちゃんが3Aをパンクして1Aになったので、アクセルジャンプがノーカウント、メドベが例によってルッツに!がつき、さらにはCCoSpでレベルをとりこぼした上にVがついてしまったのが響きました。しかし、首位の三原さんにもコンボで回転不足でてますので、みなミスがでてるのです。FSはこのままの順位ではいきますまい。おそらく3Aを一本でも決めて、今日のような抜けでとどめるなら紀平ちゃんでしょう。そうでなければおそらくメドベ。スピンのVをなくせるなら、という条件はつきますが。
1位三原舞依
Mai MIHARA JPN 10 67.95 (35.36 32.59)
3Lz+3T< 2A 3F
コンボの回転不足が定番化してます。今から思えば、6月ごろ(FaOIのころ)から兆候がでてたような気がします。そのころも2Aは悪くなく見えてましたから、3回転、とくにコンボのセカンドの回転が厳しいということだったのじゃないかな。おそらく6月には問題が発生していて解消できてないのでしょう。もし、まわれなくなる年代にさしかかっているというのが根本原因であれば、今後は、3回転の単独ででてくるのかもしれません。
GOEは上位3人で一番つきますまい。ジャンプ技術はミニマリズムの技術と思ってます。高さや回転数が生むリスクをミニマルにして、確実性を確保、という意味です。確実性を確保する方程式がたぶんあるのでしょう。Rockerのジャッキーさんはシルクのような、といわれてますが、この評価がくるのは、これまで、リスクをかんじなかったからでは。
ですが、ジャンプには高さとか幅とか回転とかによるスペクタクル性がなければ、多くのジャッジが4以上をつけるのはむずかしいんじゃないかな。なにせGOEの必須評価要素に高さがあります。スポーツのもつダイナミックな美はそのスペクタクル性から生まれるので。そしてそのスペクタクル性はリスクを伴います。
昨シーズン、女子のジャンプでなかなかGOE3がでず、満点だしたのはガビーだけだった、というのは、ジャッジがジャンプGOEに求めている要素が何かを表すいい例なのかも。回転速度をはやくしてスペクタクル性をだすやりかたもあると思います。ザギトワはそうでしょう。が、どちらも抑えているので、4とか5がでることは少ないはずです。さらには今年は、ジャンプの後の流れという問題がありますのでコンボではこの点もGOEに響くはず。
逆にGOEがでると思えるのは、シットスピン。ただちに沈みこみ、しっかりまわります。4ついてもいいはず。スポーツとしては評価できるものです。自力で2位、3位の二人をFSで圧倒する展開はおそらくありますまい。優勝するのは、2位、3位につけている2人がたくさんミスをした時だけのはず。失敗しないミニマリズムのやり方が最強だったのは減点性だった6点制時代のことですから。
三原さんも荒川さん(ただし二曲例外があります)と同じで音がないほうが楽しめるというのがNHKで身にしみたので、今回も音なしでみてます。これが自分にはベストの見方かも。やっと三原さんが独自のリズムの持ち主でいつもそれを守ろうとするのだということにNHK杯で気がつきました。
2位 紀平梨花
Rika KIHIRA JPN 6 67.64 (35.51 32.13)
1A, 3F3T, 3Lz
1Aにぬけたときに、とっさに考えたのは、抜けと転倒がどちらがマシか、という点。去年までだったら、転倒のほうがマシだったはず。でも今年はちがっていて、NHKでは転倒に-5つきましたから、ノーカウントで0点になる1Aにぬけるほうがいいわけです。フリーでも転倒2本はさけて、ミスがあるとしたら、一本のみ1Aにぬける、というのがいいのかなあ、などと弱気なことを考えてしまいました。いや、練習のときに、3A+2Tだったとはいえ、いいジャンプだったのです。幅があり、流れがあり。体調は悪くありますまいよ。明日は逆点を信じましょう。
しかし、今回もまったくあきらめませんでした。去年まで、3Aがうまくいかないと、FSは雪雪崩現象を起こしましたし、SPでは3Lzあたりが跳べないと、3本ともよくない、という現象がおきてました。
今年、大きく伸びた点の1つがこれですね。集中力が切れません。あきらめません。これ、濱田先生のスタンスを身につけたということでしょう。去年、真凜ちゃんが序盤にミスがでてくずれたときに、苦言として、真央ちゃんが転倒があって世界女王担ったパフォーマンスをあげ、練習をしっかりやってミスを盛り返せるようにしないといけないと発言されてました。今年の紀平ちゃんはその言葉を実践しているかのよう。濱田先生のキスクラでの態度は、よくがんばった、明日こそ決めよう、と励ましているように見えましたが、実際はどうだったのかな。
明日はきめましょう。いえ、決められないはずがない。SPでうまくいって、FSで固くなることはなくなった、のですから、幸先いいということにしましょうか。SPがうまくいったらFSは固くなってしまうかも...
両方そろえるのは後半の課題です。3Aのような高難度でスペクタクルなものを高い質でやろうとすれば、当然リスクが伴うし、失敗もあるのです。
解説がなんと、熱を帯びた発言をしているでしょう。トリプルアクセルの失敗で要素はなくなった、でもあとの質がすばらしい、ですって。ほんと、そうですよね。
今年と去年のちがいの1つ。それは3Fと3Lzの進化でしょう。ジュニアのころも悪くない3Fと3Lzをとんでいました。が、今は明らかによくなってます。GOE5は無理としても、3か4つくのはわかる質。3Lzで手をあげますけど、去年よりもきれいです。しかしなんといっても踏切エッジですね。ここまでやるか、というような区別をしっかり。高さや幅をとべる能力のある選手がコントロール能力を身につけるといいジャンプをたて続けで跳べるようになるのですね。3Aなくても上位に食い込める力もってます。
スピンも非常によいです。軸は揺るがず、速さがあり、さらには柔らかさとオリジナリティを感じます。濱田先生のアプローチはほんとに正しいもの。たとえ点数は低くても、時間のかかるスピンで引き締めるのが大事なのです。さらにはGOEは係数で制限されるとはいえ、やはり11段階でつくのですし。知子ちゃんというもう一つ上手な選手が同じチームにいるので、ぜひ同等までもっていってください。
1つの要素がノーカウントにもかかわらず、TESは全体トップの35.51です。三原さんとの差はPCS上でのわずかな差。実質は、差はまったくないか、あるいは逆転するものでしょう。2Aを跳んでリスクを避けていた場合、少なくともSS、INは上回ったはずです。
フリーではもう逆転するのはまちがいないと思っています。弱気の虫もプレッシャーも近寄りませんように。できる、できる、できる。
3位 エフゲニー・メドベジェワ
Evgenia Medvedeva RUS - 67.55 (32.65, 34.90)
3Lz(!), 2A, 3F(堪)2T
なかなか新しい癖ですべてやれるという状態ではないのでしょう。苦しんでいます。3Lzをコンボにしたかったところですが、できず、ダブルアクセルに序盤苦しんでいましたが、もう大丈夫でしょう。アクセルのコントロールはもどってきています。エテリ組なら絶対やらないはずですが、もし3Lz+3Tという構成にしていた場合は、昨年までなら3Fのあとにあっさり3Tつけたはず。3Lzはまあ想定内としても、3Fでリカバリーはなんとかしたとはいえ、3Fで堪えたかんじになってしまったのは想定外でしょう。これまでと同じ質の3F+3Tを跳んでいたら、1位にたっていたはずです。
コンビネーションスピンでキャメルになったときに2回転しかまわれず、Vがついてしまいましたね...もったいない。あそこでうまく勢いを保てませんでした。去年のオフに、スピンは得意じゃない、といったときは、何を言っているのだ、なんて反応してましたが、たしかにそうなのかも、と今になって思うブログ主でした。スピンの切り替えをするときに、勢いを保てずまわりきれないときがあります。これをいっていたのだと。
これまで2年間のスケーターではない、でもとてもよい、と解説はいってます。スタイルを変えていて、身体もかえてきてます。それがまだ身についてないというかんじです。まずスピードがでてきてます。だいぶんあやつれるようになっていますけど、まだ十全ではないというところです。でも操ることができるようになって、3Lzを決めることができるようになれば、おそらくすばらしいものが見られるはずです。根気強く。明日は3Lzを!ぐらいにして、しっかりとびましょう。スピンはVはなくして。
3Lzをここまでしつこくやっているのは、絶対に必要、という意識があるからでしょうねえ。クリケにはいったばかりの二年間、ソチシーズンとその前の年の羽生君の4Sとまったく一緒。たしか、WCで成功させるまで、4Sを試合で成功させたのは1回だけのはず...なのに、失敗しても失敗しても挑み続けました。あれは、4回転を2種類跳べる構成にすることで、PCSでは当時負けていたチャンを上回れる可能性があったから、という戦略的な理由でした。3Lzにここまでこだわるのは、本人の意思もあるんでしょうけど、クリケも3Lzを単独とコンボで跳ぶ必要があると思っているのだと思います。
平昌では、故障で3F+3Tの位置を変えられなかった、というのもありますが、SPに3Lzがなかった、FSでコンボをいれられなかったから負けたようなものです。ロシア選手権あたりでは3LzをSPではずしてくることもあるかもしれません。そのほうがWCは近づくでしょう。が、それまではやめますまいよ。メドベが北京にいってメダルをとるためには3Lzは絶対に必要なのです。おそらく練習では、真性3Lz跳んでいる確率はあがってますよ。
タラソワは4Sも跳べるんじゃないか、とかなり前からいっていましたし、本人も、身体ができたらもしかするといれるようになるかも、なんて言ってましたが、クリケっいうところは、トータルパッケージ嗜好をたいへん強くもっています。4Sの練習にはOKをだすかもしれません。が、4Sをある程度跳べるようになったところで、いれて、プログラムとしてすばらしいものになると判断しなければ、いれますまい。ハビの4Loみたいなものです。使える、と思えばいれるでしょうけど。どうだろ、戦略的に絶対必要とみなすかしら。まあ、まず、確率を上げる必要はあるのですけどね。
4位本田真凜
Marin Honda JPN - 65.37 (33.43, 31.94)
3Lo3T< 2A, 3F
アルトゥニアンがジャンプは悪くない、といっていてびっくりしたのですが、そうなんだ。そうですね、たしかに変な癖はなくて、すーっと流れるでしょうか。が、低くはありますまいか。そしてこの低さが回転不足を含むジャンプミスを呼んでいるような気がするのだけど...みんな回転していると認めたられたとして、このままだとGOEとれるのかなあ???
それにしても、スケーティングがにパワーがでてきているようにみえるせいか、表現は実によくなってきてます。前はだらっとメロディ取りしていて、引き締まらないなあ、と思ってたのですが、ちゃんとリズム取りもできてます。できる能力があるのにやらなかったのか、上達したのか、どちらでしょ。独自色がつきつつあります。このままいくと面白いかも。スピンはすごいものではないにせよlレベルを取りこぼす心配はなくなりました。アルトゥニアンから奔放とみなされているようですが、日本でいたときとはくらべものにならないぐらいまじめにやっているのでしょう。
