http://tatsuki-machida.com/skating/22_bolero.html

プリンスアイスワールドに出場が決定している町田君からのブログに新プロ情報がのっていました。というか、プリンスアイスワールドは昨日からはじまってます...

バレエシリーズが終わったので何がくるんだろ、と思ってたら、今年はボレロですよ。

ラベルのボレロといえば、まったく同じリズムを刻むなか、同じメロディーが延々とくりかえされるという、単純この上ないのに、なぜだかあきずにきいてしまうという不思議世界の音楽です。もともとはロシア出身のフランスのバレリーナだったイダ・ルビンシュタインがラベルに依頼したことから生まれた音楽です。イダ・ルビンシュタインは20歳ではじめて正規のバレエ教育を受けた人なので、正規のバレリーナとはいいがたいのですが、アンナ・パブロワ、ニジンスキーで有名なバレエ・リュスの花形の一人でした。

当初ファンダンゴというタイトルだったといいますから、フラメンコのファンダンゴを意識してたんですかね。それにしてはちがいすぎるけど。ボレロ、というのもスペイン起源の音楽なんだそうです。カスタネットを使ったペアで踊るダンスだったといいますから、セビジャーナスに近いものかなあ???

wikiによりますと、ラベルのボレロの特徴は次の3つ。

1.最初から最後まで(最後の2小節を除く)同じリズムが繰り返される。
2.最初から最後まで1つのクレッシェンドのみ
3.メロディもA、B、2つのパターンのみ

wikiにもかいてありますが、次々と楽器がことなり最後には大編成で演奏、メロディーもしだいに勢いをつけてきて、最後にはなんとも印象的な終わりがくるせいか、厚みがあって、なんとも印象にのこります。一度きいたら覚えちゃうような。ただし、なにせ特徴が特徴なので、ちょっとまちがえるとのっぺりするはずです。

バレエではなんといってもこれですよね。他にもプティのバージョンがあるようですけど。

ベジャールのボレロです。初演は1961年。数々の人が踊っていますが、とどめはやはりこの人。ジョルジュ・ドンです

 

 



映像でしかみたことないんですけど。あまりにすごくて。ジョルジュ・ドンの代表作だし、映画になったということもあって、他の動画も見ることできます。この映画、大学でなぜか大きな画面で何度かやってくれたのですが、ボレロがみたいばかりにそのたびにいってたような。

実際みてインパクトがすごかったもので、ギエムのもはっておきます。個性のちがいなのか、性別がちがうとこれほど受ける印象がちがってくるのかとびっくりしたおぼえがあります。見た公演からは何年もたった全然ちがうものです。そのせいかな、だいぶん感触がちがうような。しかし、さすがにギエムという身体の表現。

 

 



ともあれ、踊りにつかうのが難しい曲だと思います。フィギュアではたぶん長いことつかわれなかったはずです。ベジャールのバレエは楽器が増えると人も増やして巧みに表現してますが、フィギュアの競技会ではそんな手はつかえませんし。記憶にあるかぎり一番古く、そして今なおボレロの最高傑作の一つになっているのがトービル/ディーンのボレロです。前からうまいところでしたが、こんな物語性のある演技してましたっけ。6点制時代の当時、芸術点と呼ばれていた項目で満点をだしました。この音楽に悲しい恋の物語をもちこみました。最後には二人がリンクの上に倒れ込む、アイスオンデスはその後、一つのフィギュアの形となったといえましょう。これをみると、その後、イギリスがフィギュア界での地位を落としていったのが残念でなりません。アイスダンスはなかなかの健闘をみせていた国でしたし、ジョン・カリー(見たのは現役のときでなくはるか後年ですが)、ロビン・カズンズとシングルでいい選手もでていたのです。
 

 

 


実は数々の掟破りもやっている演技です。こちらにくわしく解説あります。興味がある人はどうぞ。
https://www.nhk.or.jp/sports-story/detail/20180219_2343.html

このインパクトがすごすぎて、長いこと誰もやりませんでした。いつしかロシアを中心にやる選手がでてきました。プルシェンコ、村主さん、ライサチェク、ソトニコワ、カロリーナ・コストナー、トゥクタミシェワ、コフゥン、サフチェンコ/ゾルコーヴィなどがそれです。プルシェンコ、アレンジした曲で試みたサフチェンコ/ゾルコーヴィは、トービル/ディーンに走りたい気分にはなりませんでしたが、この曲でなくてもいいじゃん、と思ったものでした。すごいって思えるときって、その曲が必然なので。
この中ではカロリーナのは大好きです。ソチの女子フリーでは真央ちゃんと並ぶハイライトでした♪

 

 



もう冒頭のポーズから世界がひろがり、ところどころにベジャールを連想させるリズムのとりかたやポーズがあり、もうなんともいえない作品です。イタリアの解説者が興奮しまくってますよね。でも気持ちはわかるわ~。私も一緒に最後はSi,Siっていってしまいました(爆)後半にジャンプの軸がななめになってますが、それでももちこたえました。この音の取り方、たまりません。いかにもカロリーナらしい。シンプルにすべってるようにみえるときもしっかりリズムがはいってます。これ、ローリー・ニコルの振りですが、あの有名なバレエ作品を何度みたんでしょうね。そしてそれを単にまねるだけじゃなくて、カロリーナのスケーティングをきっちりみせてくれるフィギュアの作品に仕立ててくれました。

 

しかし、牧神といい、このボレロといい、エスプリがきいているというか、ニュアンスが多いのだけど、一癖も二癖もあるようなフランスの曲をつかうのがなんてカロリーナはうまいことか。今度はいっそのこと海でもやりません?

さて、長くなりましたが、ボレロというやつはすばらしい傑作になりうる曲ですけど、なぜわざわざこれを...とぶちぶちいいたい気分に追い込んでくれる曲でもあります。

町田君版は今年も面白そうですよ。テーマは「スケートの魅力にとりつかれた一人の男」まあ、自分のことを言ってるの?(笑)でも、そのテーマをあえてボレロでしようというんですから。しかも、コンパルソリがかなりはいるんじゃないでしょうか。

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深い霧に包まれた森の夜明け。凍った湖のほとりに一人の男が佇む。
いまだ漆黒の世界に、フクロウの鳴き声が、神秘的に、鈍く響く。
その鳴き声に誘われるように、男は氷の硬さを確かめつつ、
ゆっくりと氷の上に幾何学の図形を描きはじめる。


やがて日の出を予兆するかのように、東の空から薄明の世界が徐々に顔を覗かせる。
男はなお、黙々と様々なステップを試行錯誤しながら滑り続けている。
いつしか男の描くスケートの軌跡は、一箇所に留まることを知らず、
あたり一面縦横無尽に広がっていく。
ふと、男は立ち止まる。その顔には恍惚の表情が浮かぶ。


日の出がもう間近に迫り、空と大地の境界が曙色に染まりはじめる。
再び滑りはじめた男のスケートは次第に熱を帯び、やがて踊りに変化していく。
いまや滑る快楽の虜となった男の踊りは、もはや止む気配がない。


ついに樹々の隙間から、日の光が差し込みはじめる。
森が、湖が、そして世界が開眼するこの時。
太陽の熱が氷の表面をわずかに溶かし、日の光をあらゆる角度に反射させている。
だが、煌びやかな氷の舞台の下には、いつでも水はたゆたい、死の香りが充満しているのだ。
それに気づかぬ男は、狂気に取り憑かれたかのように滑り、踊り続けている。
瞬間、けたたましい音と共に光と闇が炸裂し、男の姿は湖面から忽然と消えて、無くなる。(http://tatsuki-machida.com/skating/22_bolero.html より)


町田君が出場するプリンスアイスワールドは2018年4月28日(土)~5月5日(土・祝)が横浜公演と、7月13日(金)~16日(月・祝)の東京公演、8月18日(土)・19日(日)の広島公演がありますが、「春の」と書いているところをみると、ボレロをやるのは横浜公演かもしれません。


テレビ放送は5月20日(日)13:30から BSジャパンでです。解説は町田君になってます♪