2017 NHK杯プレビュー(男子): ゆづのショー

 

2017年11月7日

羽生結弦が参戦。NHK杯の呼び物はそれである。母国で開催されるグランプリ大会に出場するのは6度目となり、勝ちたい、または前進したいと思っているようだ。だが優勝候補の羽生以外に、1月の全米選手権のわずか2ヶ月前にジェイソン・ブラウンアダム・リッポンの対決も、スケートファンの大きな興味をひくものだ。

 

NHK杯 predictions
#GPFigure (no official hashtag / unofficial:#NHK17)

 

金メダル 羽生結弦(日本) - 2年前、まさにこの大会で、羽生は世界記録を打ち立てた(そしてわずか2週間後のグランプリ・ファイナルで世界記録を更新した)。2年前、このNHK杯で演じたものと同じ2つのプログラムを携えて、今シーズンのNHK杯に戻ってくる。今シーズンこれまでは2つの銀メダルという成績をはねのけたいと思っている。それにこの大会には多種類の4回転をそなえたオールアラウンドなスケーターがいないため、羽生が4度目のNHKタイトルをつかむのは朝飯前のはずだ。

 

銀メダル アダム・リッポン(アメリカ) - この決定を下し前に、銀と銅を5回は入れ替えている。だが、実をいうと、リッポンとブラウンの勝負の行方は今でもわからない。勢いが出来るときであり、グランプリ・ファイナルののチャンスもかかる重要な大会である。今週、リッポンは4回転ルッツに対してどのような戦略をもつだろうか。ブラウンに勝つためには、4回転ルッツ(あるいは完全にまわりきった4回転ルッツ)が必要だ。そして先シーズンにケガをした後、もどってきたリッポンは前と同じほど力強く見える。ここでブレイクスルーを果たして、今シーズンの自分とブラウンの初の対決を制することができるだろうか。

 

銅メダル ジェイソン・ブラウン USA - スケートカナダで銀メダルを獲得した後、ブラウンはグランプリ・ファイナル進出への大きなチャンスを勝ち取った。先シーズンも同じくグランプリ・ファイナルを狙える一にいたのだが、いつになく安定感に欠け、7位に終わった(後で、初期の疲労骨折だった状態だったことをブラウンとチームは知った)。今週、また同じようなひどい状況がおこるとは思わないが、4回転がどうなるのか、何度、ブラウンは4回転を試みるのかについては大きな疑問を抱いている。4Tがどこかに入れば(そしてあのトリプルループも決まるのであれば) この大会であっさりともう一つ銀メダルを獲得できる。

 

4位セルゲイ・ボロノフ(ロシア) - ネペラは位銀メダル、ミンスク金メダルのボロノフは、眠れるロシア男子として登場する。グランプリ大会ではきちんとした演技を見せてきたにもかかわらず、過去2シーズンは若手に押されていた。持ち前の安定感により、この大会では表彰台に近づけると予想する。

 

5位ミハル・ブレジナ(チェコ) - スケートカナダ6位のブレジナは、4Sを始めとするジャンプのリズムをとりもどしたようだ。ショートプログラムに4Sがもどってきている。1試合みただけでは、進歩があったかどうかを判断するのは難しいが、今シーズンは勢いを取り戻しており、おそらく、もう一度本領を発揮していると感じている。

 

6位ドミトリー・アリエフ(ロシア) - 世界ジュニア銀メダリストで、数週間前にグランプリデビューを果たしたが、すばらしいショート・プログラムで3位になり、メダル圏内にいたにもかかわらず、最終成績は6位であった。モスクワで見た限り、最大の障害になるのは、フリースケートでのスタミナだ。もし大阪のこの大会でその問題を乗り越えることができるなら、本当に表彰台を狙える。

 

7位ナム・ニューエン(カナダ)- ロステレコム杯で7位であったニューエンは、2015年に世界選手権で5位についたときのきらめきの印を見せた。だが、高難度ジャンプの安定感はない。ショートでは4回転が2本跳ぶ時は、ニューエンのようなミスをすることなどできないが、それでも最終順位は高くなると期待できる。まちがいなく、同じカナダのキーガン・メッシングの順位を気にすることになるだろう。

 

8位キーガン・メッシング (カナダ) - スケートカナダで8位だったメッシングが、棄権したパトリック・チャンに代わって出場する。メッシングが世界的な舞台に立つ機会を得たということは、1月のカナダ選手権に先立つスケートカナダの位置づけについて多くの意味がある。オータム・クラシックで銅メダルを獲得したことで、オリンピック2枠の1つを勝ち取る力があることが証明された。この大会はメッシングにとって、自分の力を見せる非常に大切な試合である。

 

9位友野一希(日本) - USクラシック5位でシーズンインした友野は、シニア初のグランプリの好成績を見据えている。昨シーズンの全日本では5位である友野はなかなか才能のあるスケーターである。

 

10位デニス・ヴァシリエフス (ラトビア) LAT - 数週間前のロステレコム杯で8位のヴァシリエフスが今週、実に大きな成果をあげることはありえる。だが、すべては安定感と大会でジャンプを完全に回転できるかどうかにかかっている。 

 

11位アレクセイ・ビチェンコ (イスラエル)- 正直に言うと、今週のビチェンコは自分にとっては謎だ。先シーズン、世界選手権で10位にはいったため、オリンピック2枠をイスラエルに勝ち取り、自分とチームメートのダニエル・サモーヒンは、1枠を巡って争わずにすむと知って、おおおいに安堵した。だがビチェンコの今シーズンこれまでの成績はふるわず、今週、インパクトを残すためには、昨シーズン後半の調子を取り戻す必要がある。

 

12位佐藤洸彬 (日本)佐藤は昨シーズンの全日本で8位となり、シーズン初戦のロンバルディア杯では12位だった。この大会が、シニア・グランプリシリーズのデビュー戦である。