後半です。

黒竜江省雑技団。すごかったです。お隣の席にいらした方が、ことあるごとに「すごい」っていわれてたのですけど、もうこのときは大興奮でして(爆)私はボーヤンのシニア初年度(謎の)エキシ演技はこういうところにルーツがあったのか、と思いながらみてしまいました。

ソトニコワはケガあけでしたっけ。う~ん...相当の奇跡がおこらなければ、復活はかなり厳しいでしょう。スケーティングはところどころ見応えのあるところあるのです。ベスティスクワットのところなんか、ずず~っと進むかんじで。しかし体が重いのがいかにもわかりました。ジャンプはほとんど回転できず。ショーに参加したスケーターで一番からだがつくれてないかんじでした。表現は例の天にも届きそうな嘆きを見せたりできますので、体が作れれば別というところなのでしょうが...グループナンバーはちゃんとすべれてましたし、コラボはまずまずよかったです。

織田君  トリスタンとイゾルデのうち、イゾルデの死のところです。ワグナー会心の陶酔に満ちた曲。振付はランビエールかな。裏付けデータはみてないのですが、あの曲好きそうだし、振りがそれっぽいかなと。

引退後、めざましく伸びたスケーター。表現は現役時代の比ではありますまい。だいたいこんな曲使えなかったはず。というか、技術的にもあがってますよね。FOIの合間には4Lzとかもうすこしで成功できそうな勢いで飛んでたし。滑り自体もよくなってる気がする。膝の手術で痛みがなくなったというのも大きいかもしれません。30代でピークを迎える初のスケーターさん見てるのかも(笑)

鈴木明子  衣装をみたとたんに期待がマックスに。ふっふ。明子ちゃんのリベルタンゴ、大好きです。リベルタンゴといえば、グリシュク/プラトフか、明子ちゃん。他にもみましたが、どうもものたりず、リピ病が常に発生。ジャンプミスこそありましたけど、そんなのどうでもいいというものです。賢二先生(リズム意識して振り付けるタイプじゃないと思います)の振付なので、タンゴっぽいリズムの意識はかんじないのですが、タンゴにほしい濃さ、強さがありました。生で見られてよかった~ 

ジェフリー・バトル  やっぱりリズム感すごいです。連れがバトルのジャンプはどしん、ってかんじだね、といってたのは的ついてるかも。昔はみなそんな飛び方してました。で、バトルは現役時代からジャンプはあまり得意ではありませんでした。今のジャンプの飛び方ならもっとやれたのかな、とふと。

知子ちゃんは今季のSP SAYURI。凝った大人っぽい衣装できました。

Satoko Miyahara. The Ice 2017



だいぶん体調もどしているようです。3日目のスピンは1日目よりよくなっており、美しかったです。振りそのものも、去年のプロよりかなりよいものになってると思いました。これなら子供っぽいなどというジャッジはいますまい。あいかわらずていねいにステップをふんでいきます。

とはいえ、う~ん...まず振り付けたばかりで練習がたらず、なんといっても故障明け、というのがありますが...昨日の3日目でもジャンプは見るからに低く、まわりきれない原因となっていました。一番気になったのが氷上のカバー率の低さ。現時点だとかなりきびしいですね。もともとリンクを縦横無尽に使い切るタイプではありませんでした。ですが去年、FSあたりでかなりカバーしようという意識がみられたのは、テレビで見ててもわかりました。ただし、まだ足らないといったところだったでしょう。カバー率の低さがSSの得点が9点にならない要因の一つとみていたのです。生観戦とテレビ観戦を比べるのはまちがってますけど、昨日受けた印象では、今の時点では去年のレベルにまだまだもどしていないというところに見えました。

ですが、平昌で表彰台に乗るには、ジャンプの高さとカバー率を去年より上回る必要があるはずです。まずは体調をどこまでもどせるか、それからどこまであげていけるか、でしょうか。練習しなければ積み上げはできませんが、練習しすぎは再度の故障になるので難しいところでしょう。

昌磨君  FSのトゥーランドットが今季初お目見え。



SPのほうが、ほぼ輪郭がくっきり見えて、これはいい作品にしあがるだろうという期待が高まったのに対して、FSは道半ばというところでしょうか。今は例の右手に偏っている表現もこれから工夫していくでしょうし、4F以外は決めてたジャンプ構成もこれから変わっていくのでしょう。去年のプロで音楽をタイミングにして飛ぶ3Aコンビが大好きで、そういうのがないのはなんだか寂しい気がしました。

最終的には面白いプロになるという予感はあります。まず音楽です。歌が、軽すぎるかも、と思ってたポール・ポッツからホセ・カレーラスにかわっています。カレーラスの歌声はこの頃にはしっとり、重厚なものにかわってますけど、どこか、カレーラスのもともとの声質のリリコの響きを感じさせるというか、声でねじふせるタイプでないというか。結局のところ、美穂子先生の趣味だけの問題かもしれませんが、この選択と変更は面白いかもしれません。明らかに重みは加わりました。自信を感じさせるというか、2年前にくらべて成熟しているというか。でも、歌声のように、重厚すぎず、無茶な力技ではなくてどこかリリカルであまやか、というかんじをねらうんじゃないかしら。あれは勝利と恋の成就を確信した若い王子の歌ですから。うん、それができれば、オリンピックにはふさわしいかも。

みてもらったらいいのですが、今季も両足滑走多いです...だが、それでもいいや、と生でみると思えてきました。カバー率、一つの動作での伸びが半端じゃないんです。あっというまに端から端へ移動してしまう。えっ、と唖然としたくなるほど。小さいから損なはずなのに。平均的な女子の身長で、はるかにコンパスの長い男子を大幅にうわまわる進み方なんです。同じ両足滑走でも、質がとても高いのでしょう。

そういえば、杉田秀男さん(杉爺)が足首や膝の使い方をほめると同時に、小さい選手は脚の付け根から動かす気持ちでやる必要があるのを完全に自分のものにしてる、っていってましたっけ。たぶん、それなんでしょう。ジャンプでは衝撃を膝や足首で逃せる一方で、スケーティングでは、脚の付け根(股関節といっていいのかな...)と膝、足首を動員して、必要なところにすべての力がうまくこめられるんじゃないかしら。となると股関節の故障があればカバー率低くなるというのもわかる気がします。

それでも、本音をいうと、片足滑走は多いにこしたことないのですから、少しでも増やしてほしいんですけどね。でもどうだろ。もしかすると、付け根から動かしながら片足で滑走するということは、フリーレッグをあげないといけない、ってことになるんじゃないかしら。もしそうならよけいむずかしそうな気がする...この考えじたいがまとはずれかもしれませんけど...

連れは真央ちゃんに次いでよかった、と言ってました。彼女は昌磨君好きのライトフィギュアファンなので話半分にきいてもらってもよいですが。


ウィバポジェ  踊りまくりました。あの長身の二人は氷上に立つだけで目にとまります。楽しかった♪

高橋大輔君   大阪だから、ということもあるでしょうけど、やはりひときわ歓声が高くなりました。そして、それにみあったボス感はいったいなに(笑)メドレーのピアノ協奏曲のときも堂々とした滑りで、これをトリノでやってくれてたら、もっと成績よかったわ、と心の中でつぶやいていておりました。そう、もともとガラスのハートの持ち主でした。実力にまるでみあわない演技を大きな大会になればやってました。ほんと、いつからなんでしょう。こんなふうに、氷上にたてば、自分が一番、って演技するようになったのは。あと、踊れるスケーターとしては今なおピカ一だなと。音への乗り方が半端じゃないです。

フィナーレ前の最後が真央ちゃんのソロ二つ。ラフマニノフの「幻想的小品集 作品3: 第1曲: 悲歌(エレジー) 変ホ短調」とララ・ファビアンの「愛は翼にのって」

Mao Asada. The Ice 2017



1日目の動画では抜けてますけど、3日目のほうがジャンプはよかったです!とういか動画より全体的にもよかったです。ジャンプの抜けを嘆くコメントみましたが、単なる慣れの問題だったのかもしれません。アイスショー照明の中でこの振付やるのはたやすくないはずですから。9月に完全版が放送されますが、おそらく愛知のときのもので、この大阪初回よりよいものがアップされるはずです。

次に早着替えするためもあって、白の衣装の上に黒のすける衣装をはおった演技。ツイズル、スプレットイーグル、体重がないかのようにふわりといく片足滑走、キャメルやアップライトスピンの美しさ。ローリー振付で特徴的にでてくるベスティスクワットもありますね。タラソワの鐘、ピアノ協奏曲2番についでローリーのこのエレジーが見られたのは幸せなことでした。この曲に黒。挽歌に裳の色。やはりかけがえのない誰かを亡くした哀悼の踊りに見えましたが、その解釈でいいのかな。

早着替えで、すぐに登場してくれました。

Mao Asada. The Ice 2017



ローリーが50年先に孫に、これが私、と見せられるようにと、その時でも色あせないプロをと作ったのがこの作品。はい、きっとそんな日がくるんでしょう。スケートをやっててもやってなくても、きっとうっとりと眺めてしまうことでしょう。ショーを客席で夢中になってみていた観客とまったくおなじように。白い衣装にふさわしい浄化感が半端でなくて。ジュピターあたりでもそうでしたが、この汚れのまったくない純粋無垢はどこからくるのでしょう。ファンへの感謝の気持ちを表す作品、ということでしたが、こちらこそ、10年あまり、すばらしいものをみせてくれて、泣いたり笑ったりさせてくれてありがとう、とあらためていいたい気分。動画で映された写真は両スクリーンに映ったものです。

フィナーレは

鈴木羊子さんの「アイ・ガット・リズム」のピアノ演奏ではじまって、

舞ちゃんと無良君、未来ちゃんと高橋大輔君のハバネラ、

小塚君、佳菜子ちゃん、知子ちゃん、パン/トン、ウィバポジェの踊るリッツの夜、

昌磨君、明子ちゃん、織田君、ソトニコワのチャルダッシュ、

真央ちゃんとバトルの蝶々夫人

とコラボづくし。

蝶々夫人だけちょっと書いておきます。先日、2016年度の世界選手権が再放送されたのであらためてみて、飛び抜けたたおやかさをもつ蝶々夫人をみたばかり。コラボでは、ピンカートンがからむ振付となっていました。短いけど、たいへんドラマチックな面白いコラボでした。バトルとはたしか、The Iceでずっと組んでますけど、こういうしっとりしたものが滑れるようになったのはいつからでしたっけ。

だって前はこういうかわいいものでしたもの。

浅田真央.ジェフリー・バトル組 氷上の王子と姫



ピンカートンに振り回されてしまう蝶々さんの濃密なドラマが短い時間で展開されました。最後、くずれ落ちる蝶々さんに背を向けるピンカートン。もうどうしてくれようかという気分になってたら、ライトが消え、次についた瞬間にはバトルはしっかり真央ちゃんの横にいて二人で笑顔を振り向いていたじゃありませんか。ふりあげかけた拳をあわててひっこめて笑顔つくって拍手してしまったようなもの爆  笑

最後のグランフィナーレはオールキャストでCan't take my etes off youそしてなんとメアリー・ポピンズがきました。ミラーボールの光がとてもマジカルでしたハート 一旦去って行くかにみえて、またもどって踊ってくれるというおまけつき。曲が終わった後は今度は写真撮影会をながめることもできました。

実に楽しかった真央ちゃんづくしでした。これで暑い、暑い夏も乗り切るパワーもらえたかな。

ファイナル感満載だったことが気がかりといえば気がかり。ローリーの最後、という発言もありますし、真央ちゃんが座長公演をやるThe Iceはもうこれで終わりなのかしら!?出し切ったことはまちがいない。でも、もう少しみたいものです。来年もありますように。次回があったら、やっぱり最終日とります!バレエだろうが、宝塚だろうが、ストレートプレイだろうが、初日はどたばた感はどうしてもでてしまって、楽になるとパワーが結集されたみたいな演技になることが多いので。The Iceもテレビで関東のみ放送された初日より最終日はよかったです。

自分が忘れないように書いておきます。完全版は日テレプラスで9月16日(土)19:30より。