樋口新葉  
 

<ショートプログラム>
ドン・キホーテより「ジプシーダンス」/作曲:ミンクス  振付:マッシモ・スカリ

<フリースケーティング>
「スカイフォール」(映画『007 スカイフォール』主題歌)/歌:アデル

<エキシビション>
ハレルヤ/歌:ペンタトニックス

出典

 

昨シーズンは良くも悪くも表現のほうに力を注いだせいか、本来の魅力であるスピード感あるスケーティングがなりを潜めてみえた新葉ちゃん。ダブルアクセルが最初にくるという構成はどうみても、少なくとも当初はトリプルアクセルをいれるつもりだったとしか思えませんでしたので、故障の影響もあったのかもしれません。

 

単なる個人的な意見ですが、素質だけでいうと、次のオリンピック(北京のことです)や世界選手権でメダルをとってしかるべき選手、とれなければ指導者の責任だろう、と思ってます。日本の女子でいうと同等の素質をもっているのは紀平ちゃんぐらいでしょう。

 

こういって友達にはびっくりされたことがあります(^^;)新葉ちゃんのようなパワー系は苦手なんじゃないのか、と。まあ、たぶん、基本はそうです。でも、ファーストインパクトがすごかったのです。

 

中学生の時の新葉ちゃんをはじめてみたときに、スケーティングに唖然としたのを覚えています。ものすごいスピード、一蹴りの大きさ...小柄な選手なのにリンクが急に小さくなったように見えました。

 

スケーティングであれほどの衝撃をジュニアの選手から受けたことはありません。伊藤みどりちゃんのジャンプをみた時以来のパワー系スケーターへの衝撃でした。たまたまみていたうちの家族もびっくりしたらしく、以来、ドギュンちゃんとか、オラオラちゃんとか呼びつづけています。女の子にはあんまりの呼び名だとは思いますが、まちがいなく、我が家では期待してる選手なのです。

 

昨シーズンのプロはきらいではなかったとはいえ、新葉ちゃんの魅力爆発、とはいえませんでした。シェヘラザードあたりは数年後にやれば、これまでのビッグネームのプロに負けないできになったような気はしますが...

 

今年はがんがんいく、といっていた言葉通りの選曲がきました。

 

 

 

派手な踊りの多いドンキの中でも、他とは毛色がちがい、印象に残る曲。ジプシーダンスといいながらもフラメンコとは似ても似つかぬものですが、情熱的、というのでつながるのでしょう。バレエからみたジプシーのダンスってこういうもんだ、とつくづく感じる踊り。

 

振付はマッシモ・スカリです。オーソドックスに、でもスケーティングの魅力にあふれた振付をしてくれるにちがいない。

 

スカリ・プロも相性がはっきりでるなと去年、つくづく思ったものです。スカリ・プロの特徴は音に誠実なこと。たとえばジャンプ前のつなぎの部分でも、アクセントがくればしっかり反応して振りを付けてます。それからもとの音というか、曲想で振りの色合いがみごとにかわること。田中刑事君のプロ、SPとFSあたりがいい例じゃないでしょうか。音楽を聴いて表現に工夫するタイプであれば楽しめるプロになり、そうでないタイプには.ガーン..という結果になるのがスカリプロ、というのが去年もった印象です。

 

新葉ちゃんはもともと音楽を聴かないタイプではないです。もしそうであれば、いくらスケーティングにスピードがあって、爽快でも気に入りますまい。なにせ、「スケーティング技術を使った踊り」が見たいタイプなんですから。踊りって目で見る音楽ですもん。切り離しは不可能です。ごくたまに例外はありますけど。

 

だいたいあのジャンプしかないなんていわれていたみどりちゃんにしたって、音はめ能力は抜群でした。なにせ史上最高の女子ジャンパー。あまりにパワフルなジャンプがすごくて、音はめ能力に注目されなかっただけのはず。かくいう自分がそうでした。今、見直してみると音はめのすばらしいこと。当時いわれていたように、曲表現にはなっていないとしても、音は完全に滑りとよりそい、分離しません。

 

.ジュニア時代の新葉ちゃんの演技にも、昨季のプロでも、音を無視してる、と、い~っとなった覚えはありません。さらに、去年、成否はともかくとして、曲表現に工夫していたのも確かです。スカリともシェイ=リーンとも、相性は少なくとも悪くはありますまい。

 

昨年の表現への挑戦は、少なくとも先日のDOIでは成果がでてました。

 

 

 

バランスを崩したところがありました。でも、踊れるようになりました。やわらかく腕や全身を使ってしっとりとしたこのナンバーをこなします。終わった後も音楽が頭の中をくるくる。しかもスピードも、崩していたジャンプのタイミングももどってきてる!ふっふ、期待しましょう。今季、もしオリンピックや世界選手権にいけないはめになれば、昨季散々疑った通り、この素材を生かせないコーチの指導力に問題があるのです。その時はコーチを一新して、北京でメダルをとってください。

 

FSの振付師が誰になるのか発表はまだないようです。シェイ=リーンかなあ。曲はっておきます。007の曲も、アデルの曲もフィギュアで定番になりつつありますね。スカイフォールは、マルケイ/ホタレック組のフリー、ポゴリラヤ、デールマンがエキシビでやってましたし、ジュニアでも2人ほどみたような記憶があります。

 

 

7/17追記

 

フリーの振付はやはりシェイ=リーンでした!楽しみ~