村上佳菜子ちゃんが引退します。ついこのあいだ、ジュニア選手権で優勝してシニアにあがってきたような気がするのに,,,
一番輝いていたのはシニア一年目でしょうか。
とにかく勢いがありました。いきなりスケートアメリカで1位、NHK杯で3位になり、グランプリファイナルにいき、そこでも3位。全日本でも3位。びっくりでした。世界選手権では調子を落としていたとはいえ、総合8位にはいる健闘をみせました。
そこから徐々に下降線を描いていたような。ちょうど女子がジャンプをとべなくなる時期と重なったのでしょう。それでもくらいつきました。2012年の世界選手権では5位。ソチオリンピックにも出場しました。真央ちゃんのあとの女子のエースと目されていたのですが、オリンピックの翌シーズンの2014年全日本でクリーンな演技か、と思いきや、回転不足の判定がでてSPで9位と点をおとし...そのあたりから佳菜子ちゃんの苦闘がはじまったように思います。
回転不足をはじめとするジャンプでは苦労の連続でしたが、表現力があるというか、音楽がちゃんと表現できて、所作もきれいで、見て楽しい選手でした。ジャンプのできとうらはらに表現力はついていっていたような...点数なんてある意味どうでもいいようにも思えました。去年の全日本のときに、演技構成は落としながらもきっちりとやってのけたときの表情は忘れられません。ひさしぶりにまとまった演技でとてもすてきでした。あの表情をみて、たぶん、引退なんだろうな、と思ってました。
実は佳菜子ちゃんの演目で一番好きなのは、あの回転不足に泣かされた2014年シーズンのオペラ座の怪人Think of Me(SP)なんですね。美穂子先生らしい音をうまくひろう振付で。とくに、最後のほうのソプラノにあわせた振りと表現が忘れられません。大好きでした。解説もいってますけど、美しいプログラムでした。
現役最後の演技もはっておきましょう。
引退は新しい始まりに過ぎなくて、苦闘の選手時代が終わったというだけですよね。今度はプロとしてスマイル全開の演技がみられますように。プロなら、回転不足なんてどうでもいいですもん。大事なのは心を打つ演技かどうかだけです。それについてはずっと準備してきたのですから問題ないでしょう。それから、昔、インタビューでいっていたように、いつか満知子先生みたいなすてきなコーチになってくださいね。国際的に強い選手を育てられるかどうかはわからないけど、暖かい雰囲気の中で、音楽的な演技ができる選手はまちがいなく育つと思ってます。