もう一つチャーリーがつけている振付が、キム・ジンソのSP ムーンライトです。岡山でしかも同じコーチ(無良君パパ)について練習していましたので、無良君つながりなのでしょう。
これをみると、無良君よりだいぶん難度をさげて作ってあるのがわかります。無良君のは、これぐらいできるよね、って確信して作られたものなんですね このように難度のかげんができるのならば、すべりと音楽の強化をねらうすべてのスケーターさんが試してみてもいい振付師なのかもしれません。音楽にしっかりのりながら、大きく体を使ったステップなんて、ホントにPCS強化によさそうじゃないですか。
日本人スケーターは全体的に滑りと音楽が弱いので、振付てもらったついでに、音楽を使ったすべりの表現を1~2ヶ月ぐらいチャーリーにはりついて習ったらいいんだと思います。つくってもらったプログラムは2年ぐらいもちこして、時間と資金が許す限り、何度もブラッシュアップと基礎確認をやってもらうってやりかたしたら、底上げにならないかしら。音楽と滑りが基礎のはずなのに、日本では、そのあたりがあまりにも個人の資質/努力まかせになってる気がするんです。今みたいにトータルパッケージが求められる時代では、これまでのやりかたじゃ、上限がはやめにくるんじゃないかしら。男子では土台のスケーティングがしっかりしないと超難度の四回転時代に上位をねらえるようにはならないでしょう。女子選手はジャンプでGOEがたくさんつくのはたぶん望めないので(確率の高さはすばらしいものがある一方で、高さと幅がでなくて、ロシアや北米勢とくらべて見劣りがするので。紀平ちゃんという例外候補はいますけど)これまでのようにエレメンツ重視よりスケーティングと音楽性の向上によってPCSをあげる方向を考えたほうがいいんじゃないかと...明らかにトータル・パッケージを作ろうとしている濱田組の存在はありますけど。でもまだシステムの完成途上ですし。
あるいは一年ぐらいスイスのランビエールのところにいって、すべりと音楽表現、ついでにスピンジャンプを学ぶのもいいかもしれません。これは去年末の全日本を見て、特に男子のスピンでとなったときに思ったのでした。島田高志郎くんがいってましたが、ランビエールがスピンの理想、と思ってる選手はほかにも多いはず。でもスピンだけじゃもったいない。滑りのクオリティも高くて、音楽表現もすごいんですから。ラトデニ君もあとたらないのは四回転だけじゃないかと思えるほど伸びましたし。アイスショーでは四回転試みたことだし、来年以降、成績あげてくるはずです。あとはプルシェンコが新しくつくったスクールにいってもいいかも。
またもや脱線しました。チャーリーにもどります。無良君レベルのチャーリーの振付をこなせる人はというと、
アイスダンサーに近い力量を意識的にせよ、無意識にせよチャーリーは求めてしまうにちがいないので、滑りこなせるシングル・スケーターは本当に限られるはず。羽生君、ハビ、パトリック、デニス・テン、昌磨くんあたりのスケーティング巧者がチャーリーの作品をやってくれれば、たぶん面白いでしょう。音取りとかジャンプのタイミングとか、音楽解釈とか他の振付師にない斬新さがありますし。
とはいえ、羽生君、ハビ、デニスの競技プロはまずないでしょうねえ。
羽生君のあの軽さに技の多彩さ/質の高さとチャーリーのステップの組み合わせは魅力的にちがいないです。ジャンプ=音楽表現っていう方向性も一致しそう。でも、鉄壁といっていいバトルとのコンビに、相性よさげなシェイ=リーンとの組み合わせが継続するはず。来シーズンでいうと、シェイ=リーンとのコンビの音楽の選択がやや不安材料かな。なにせ羽生自己プロデュース方式ができてしまってますので、本人の選択をはるかにうわまわるものを選んでくれるにちがいないバトルとの組み合わせほどのものはこないかも、という不安は消せません...今年のHope and Legacyも悪くはないし、私は好きですが、Let's Go Crazyのほうがインパクトがありますのでジャッジ受けするでしょう。Seimeiはいい選択で、あのすばらしいバラ1にききおとりしませんでしたので、自己プロデュースがかならずしも悪いとはいえませんけど...ブライアンがいい案があるみたいなことを書いてましたから、ぴったりなものになるといいんですが。チャーリー・プロはプロ転向後にでも、見ることができますように。
ハビもチャーリーとの組み合わせは面白いにちがいありません。例の小芝居いれなくったって、ステップの音楽表現だけで魅力満載のものになりそう。ハビはジャンルが実はいろいろ滑れるし。チャーリー流の明るい後味のよい解釈(ラフマニノフ2番のように、チャーリーの解釈はメリチャリの音楽解釈と同じと仮定してます)はきっとハビにあうでしょう。とはいえ、ワンパターン気味とはいえ来期は両方ともウィルソンとのコンビになるはず。相性の良さはまちがいないので。ショートはバトルかカート(エアロビクスはもちろん、黒い罠も大好きなんです。でも競技プロつくらないよね...)かナハロが希望なんですけどね...ウィルソンだとして、チャップリンかガイズアンドドールズぐらいのクオリティのを作ってほしいです。前回のオリンピックみたいなのはなしで。
デニスは、すべてのステップと音楽の結び付きを理解して滑ることができる実に頭がいいスケーター。エモーショナルそうにはみえないのに(笑)、音楽のエモーションを表現しちゃいます。きっとチャーリーの意図をみんな理解して、しっかり実行してくれます。キャロル門下の最上の形の体現者だと思います。あそこでは、背筋の伸びたスケーティングを教え込まれるのでしょう。でもすぐにお尻をつきだしたみたいな形になっちゃう人がすごく多いんです。ミシェル・クアンや昔の未来ちゃんもそうでした。減点対象にはならないのでしょうが、この癖がどうも気になりまして...キャロル門下って、慣れたらみわけられるようになりますよ。背がのびていてお尻がつきでているのがよく見受けられたら、疑ってまちがいありません。今年の全米の男子をみてて、どわどわ~っときたら、案の定、キャロルがお出迎えしてました体型の問題と、完成度の問題なんでしょうね。完成形になると背筋は伸びながら、お尻でないんです。デニスがまさにそれで、教科書みたいだっていわれてます。とはいえ、チャーリーとのコンビはおそらくないです。せっかく門下にひきいれたデニスをモロゾフが他の振付師にまかすとは思えなません。
パトリックはまちがいなくチャーリーの要求をかなえる能力をもってます。この組み合わせが100%ないとはいいますまい。でも個人的ないいかげんな見解をかくと、微妙に方向性がちがうような。どちらもすばらしいスピードがあることは同じなんですけど、チャーリーのほうが外連味があって、スポーティな味わいがある。振付もそんなかんじがします。一方でパトリックって極上の基本を芸術的にみせる方向を志向しているんじゃないかしら。シンプルな中での複雑系といいますか。アイスダンスでいうと、メリチャリよりパパシゼが好きそうな気がするんですけど、この意見、変でしょうか...
結局、昌磨くんとの組み合わせが一番ありそうに思えるんですよね。美穂子先生の振付が好きだという一方で、なにをすべっても同じようなかんじになってしまうのが悩み、という言葉があって、一番かんたんな方法が、振付師を増やことだよね、とみていたところにランビエール・プロがエキシビションできましたので。来年にむけて模索してるのかな、と。チャーリープロをすべる技術はまちがいなくあるはずです。すべりパターンや表現パターンもふやせるでしょう。強いというか、一点集中型みたいな味わいが常にあった美穂子先生の振りとちがい、明るくて軽やかなチャーリー・プロは、雰囲気を変えるという意味でもきっといいですよ。なにより、後半もばてずすべりのスピードが持続できるという大きなメリットが昌磨くんにはあります。最期まで曲がもりあがるはず。
そう思っていたところにウィルソン・プロがきちゃいました。しかもかなりよいできの。こう滑って、こう表現できるんだ、ウィルソンの洗練にちゃんと応えられるんだ、って、見ていてうれしくなりました。今回の実績と満知子先生とウィルソンの結び付きを考えると、来年、他の振付師さんを使うとしたらウィルソンになるんじゃないかしら... 強いていえば衣装を考えてくれるともっとうれしい。いや、あれはあれでかわいいんですけど、あらためて小さいなあとそういや、小さいと言われ続け、必ず小さい組にいれられてしまう私と1cmしかちがわないんですよね。
というわけで、以上のスケーターさんたちが来年、チャーリー・プロをすべるのはないだろう、と予想してます。サプライズはあるかな。
来年はともかく、ネイサンがそのうち考えるかもしれない、という気はしないでもないです。上にあげたスケーターたちにくらべるとスケーティングスキルはちょっと劣りますけど、やれる素地はありますので。ジャンプへの意識をもう少しおとすことができれば(ルール改正後にジャンプの数がへるので、それで楽になるはず)、ステップにもう少し力をそそげるでしょうし。トランジションはどうするかしらないけど。
今はともかくとして、たぶんやれるようになるだろうと思うのは、ジュンファン、ラトデニあたりですかね。ラトデニはランビエール・プロできまりのような気はしますが。あとはヴィンセント・ゾウとか以外と面白いような。単なる希望をいえば、田中刑事くん(相性が抜群のスカリ・プロ継続を希望)をのぞく岡山男子に2カ年計画でチャーリー・プロを滑って、滑り強化をしてほしいです。