風船上戸 -4ページ目

はこぶ・「ぶ」となくようなうさぎ

毎回、「お風呂に寝ながら、足もとの方の窓を開けると、田んぼが見えるよー」といっているおばあちゃんがいます。

実際は、窓を開けるとブロック塀があるだけです。

でも、おばあちゃんの「田んぼが見えるよ~」を毎回聞いていると、そのようだと思えます。

今日も言っていました。

僕は、その田んぼに風船が浮かんでいる気がしたので、聞いてみました。

おばあちゃんはちょっと考えて、「風船はないよー」といいました。


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いちにち おふろのてつだい。

おじいちゃんおばあちゃんを二人がかりで抱き上げ、車椅子から特別なお風呂に運ぶ、そこからベッドへ運ぶ、を50人前です。


お風呂はホームの一大行事で、お年寄り最大の娯楽かもしれません。

お祭りのようです。

前の日から楽しみにしている方、1時間も2時間も前から待っている方、自分が呼んでもらえないのではないかと心配で心配でしょうがない方。

それほどみなさん楽しみにしているのに、お風呂には基本的に3分しか入れてもらえません。

一応、長湯は体によくない、という理由です。

今日は、僕が中心だったので、ちょっと長めに入ってもらいました。


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初めてお風呂の手伝いをしたとき

とても秘められていて、とても開かれていて。

とても汚れていて、とてもきれいになって。

言葉をしゃべれない方もいて、体がふつうではない方もいて。

気が遠くなって、もう、人を超えた存在をお世話しているような気持になりました。

千と千尋の神隠しの湯屋を思い出しました。

あの話は介護の話なんだー、と思いました。


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うさぎが一羽できました。

クスの木のうさぎです。

次は 「ぶ」と言いそうなうさぎを作るつもりです。タブノキのうさぎです。


もももも

うしろにみえますのは、一番好きな日本画家、奥村土牛の絵ハガキです。

もももも

藍色のおばあちゃん ・ 筍と猪パーティー

先日お花見に行った時の写真を廊下に貼りだしました。


みなさん、喜んでくれたのも、お互いの写真をほめていたのもうれしかったですニコニコ

でも、うまく庭園で行き会わずに、ほとんど写真を撮れなかった方もいました。そんな方が自分の写真を探しているのを見ると、もうしわけない~


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端の部屋にお邪魔すると、ベッドにおばあちゃんが腰をかけていて、おだやかな西日でうつらうつらしていました。


しばらくして、行ってみると、うつらうつらしていました。


しばらくしても、うつらうつらしていました。


ここのお部屋は、あったかくていいですね。今日はずっとここでひなたぼっこですか


他にやることないからね。」と朗らかに笑いました。


シイさんはユーモアがあって割とおしゃべりなのに、不満を言わない方です。いつもかっこよく、藍色が似合います。 僕が出会った人の中でもっとも藍色が似合う人。


シイさんはほんとにいつも不満を言わないですよねーいろいろいいたい文句もあるでしょうに。すごいですねえ。」


共同生活だからね。 工場に行ってたからね。女衆ばっかりだったから、いろいろあるからね。」


やっぱり女の人ばっかり何十人もだと大変ですか。」


大変だね。働いて、お金なんて、残ってないよ」といってカラッと笑いました。


でも、シイさんは、人間が財産だから。 ぼくなんて、言わない方がいいってわかってても、なんか言ってやろうって思っちゃうもん。 シズさんは人間が財産ですよ~


といったら、今度は照れながらカラっと笑いました。 とってもいい笑顔をいただきましたラブラブ!


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たのしみのくじらぐもにいきました。 まず、ぼけええ、としました。 

だんだん生きられる時間がもどってきます。


イチゴのシフォンケーキとコーヒーをしみじみいただきました。


縄につながれている4頭のヤギたちを迎えに行きました。

一頭の子ヤギの首に他のヤギの縄が巻きついていて、窒息しかかっていました。

あわてて、ひめさんと縄を解きましたが、なかなか解けず、肝が冷えました。 無事でした。

でも解き終わった後、親のメイちゃんに頭突きをされそうになりました。 そういうものだと思えました。



夕食の筍ごはん会に呼んでいただきました。

みんなで囲炉裏をかこんで、筍ごはんと猪の味噌焼きをいただきました。 他にたくさんのおかず。

これで元気が出ないんなんて嘘だぁ!っというようなご飯でした。

初めて出会う人もいたのですが、くじらぐもにいると、はなしやすくて嬉しいです。

それに、何か持っている人が多いので、結果として聞ける話もおもしろいし。

ひるがえって自分に何かあるとは思わないけれど、いくぶんでも心があれば、そこにいてもいい、っていう気がするので、安心です。


でもお世話になりっぱなしだああ得意げ

もぐら叩きじゃないなら、うさぎ掬い?

スタッフの人数がかわらないまま、新しい方がたくさん入ったので、てんてこまい。

広い館内をコールがなるたびに、飛んでいきます。

もうちょっと待ってて~、流れを読んで~、と心で叫びながら。

「順番で回ってるから、あと10分で来ますね。」といった3分後にコールを鳴らされたりすると、もう!

今まで何回言っても、わからないってことは、結局はわからない、ってことなのに。

「なんでわかってくれないの~。」

つまらぬ、つまらぬ腹立ちです。

僕の方が「わかりましたよ」「あいよ」って言ってればいいのに、まあ、「そいつぁ呑めねえな」と一矢報いたいのでしょう。


お年寄りに助けはいるし、流れなんて読めない、順番なんて信じられない、今しかない。

心のあそびを持ったまま、一日流すことが目標です。 いいかげんで。



最近、僕だけではなくて館全体がピリピリしているので、スタッフふやさずに入居ふやすのはやめてほしい~


今日はいつもがんばっている中心的な方が、「こんなとこ入れちゃだめだよ」って言ってました。

そんな絶望的な考えであれだけ頑張れるんだ。

福祉の仕事の人は、「こんなひどい所はやめたい。でも、自分がいなくなったらもっとひどい所になる」、という気持ちでやっている人が多い気がします。



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今日も歩き回っている方がいて、手をつないだら落ち着きました。

僕の手をずっとさすっていて、一緒に座っていました。

しばらくしたら、「こんな手を握ってるところを見られたら」と恥ずかしそうに手をはなしました。

ずいぶん長くつないでて、いまさら! と笑ってしまいました。

「お父ちゃんに怒られるけ?」と言ったら、「そんなことはないけど。」



しばらく前から、小さな肩もみ運動をやっています。

10分くらい、肩が張っていそうな人をもむ運動です。

 他のスタッフからは「余計な」仕事をやっていると見なされるので、通常業務が終わっているかどうか見極めが肝心です。

今日もんだ方も喜んでもらえました。

10分くらいもんでいると、ひとりひとりの肩がわかってきて、ひとりひとりの苦労もなんとなくしみて来ます。

僕自身、要求→応対で一日すりきれてしまいがちなので、そうやって関係性を回復しているみたいです。


こないだ NHKのあの人に会いたい で灰谷健次郎が、「その人の中にどれだけたくさんの人が棲んでいるか」といっていました。