亡霊たちが病院から外を眺めると、遠くに都内の高層ビルが立ち並びます。その見晴らしから、目前に建つのがXさん宅です。
幽霊だとて、目指す方向へは近道したくなります。
廊下があれば、そこを通ろうとするのは生きている人間と同じです。
たとえそこに人間が暮らしていても亡霊には関係ありません。
物体を通り抜けるからです。
だんだん幽霊の気持が分かってきました。
病院で療養していた亡霊の中には、早く自宅へ戻りたいと思った者もいたはずです。
人間には亡霊の気持は読み取れません。
同じように、亡霊たちは眼前に建つ家の住人に迷惑行為をしているなんて、考えてもみないでしょうから・・・(愉快)。