若くして家を出たFさんは、活動的ですが、何をしても達成感が感じられません。
ご実家は名家で、蔵には神事に使う道具が置いてあったといいます。観音様が安置される場所を通っては、お参りしてから自宅へ戻っていたそうです。
また祖母に連れられて、よく神社参拝していたことを覚えています。
Fさんのご実家は、代々氏神を守る家でした。
知らずして家を出たFさんは、役目を果せなかったことが心の中で悔やまれていたのです。
清水が湧きでるきれいな町で、大きな地主の家で生まれたFさん。氏神と共に町を守ることが使命でした。
それに気づけなかった心は、常に悲しいものでした。
しかし、Fさんの守る町は、もうここにありません。
時代はかわり氏神も新しくなりました。
いつしか町は生まれ変わったていたのですから・・・。