飼っていた黒猫は歳をとり、目やにで顔も汚れ毛艶も薄れてきました。Hさんは、醜くなった猫を抱いてあげようと思わなくなりました。
ある日、寝ていると明け方目が覚めました。
目の前に体を大きく広げた黒猫が現れたのです。化け猫のような姿でした。
猫はHさんに言いました。
「私は死んでしまった。畑の××にいるので砂をかけて欲しい。」
あくる日、畑に行くと、言われた通りの場所で黒猫は亡くなっていました。
本当だったのかと不思議に思いながら、砂をかけて埋めてあげました。
それ以来、猫を好きになれませんでした。
猫が自分を恨んでいるようで、怖くなってしまったのです。
サマンサは、黒猫の気持ちをHさんにお伝えしました。
年老いて醜い姿に変わり果てていくも、Hさんの傍にいたかった。
黒猫はHさんが大好きだったのですから。