子供の遊びで、私が一番初めに思い付いたのは、やはりブランコでしたね。それに、ブランコを漕ぐ子供、やはり元気な男の子が立ち漕ぎをしている図などは、それは子供時代への郷愁を掻き立てますよ。

 

と言う事で、男の子が、懸命に、ブランコを立ち漕ぎしている様を、カラクリで作ってみる事にしました。

 

此処をクリック ⇒ https://youtu.be/haY3Ozae0zM    「Swing-Play」

 

 

そして、まず考えたのは、ブランコを漕ぐ、と言う事はどういう事か・・・。 フランコは、どうすれば漕げて、揺らす事が出来るのか。 しかつめらしく云えば、ブランコ漕ぎの物理学ですね。 

・・・と言いつつも、少し調べてみると、実は、ブランコの物理学は、私の思考能力を超える物でした。 その時に収集したり作成した資料などは散逸してしまっていて、今はアクセスできませんが、其の一端は、こう言う事だったと思います。 

 

錘に紐をつけて円運動させておき,紐を引いて回転半径を小さくすると,錘は速く回る様になります。それは「角運動量は一定に保たれると言う物理法則」により、角運動量=紐の長さX(錘の重さX速さ)が一定に保たれようとするので、紐の長さを短くすると速度が増す事が説明されます。 此処で、紐の長さを変えると言う事をブランコの世界に焼き直すと、ブランコに乗っている人の姿勢を変えて(立ったり座ったりして)重心の位置を変えると言う事になります。

 

つまり、ブランコに乗っている子供を、ブランコの揺れ位置に合わせて(同期して)、立ったり座らせたりすれば、ブランコは揺れて、それを続けられる、と言う事だと思います。

 

此の様なカラクリを実現する為には、幾つかの仕事が必要でした。 先ず、手足が屈伸できる木彫りの子供を作る事。(別稿で記します) 遠隔操作で、子供を立ったり座らせたりするする仕組みを作る事。 ブランコの揺れ位置を検出する仕組みを作る事。 此の二つを関連(同期)付ける仕組みを作る事。 子供が乗って揺らす事が出来るブランコを作る事。 などでした。

 

此の遠隔操作と同期操作を如何なる仕組みで実現するか。 今までの、所謂 からくり人形の殆どは、歯車やカム等の機構をも木などで作り、手やゼンマイ等で回したりする事で実現している様です。 それは、それらの仕組みや、その動きを見る事それ自体も、見る人をして とても楽しくさせて呉れるものです。 私も、その方法を採ろうか。

 

少し考えましたが、緻密な精巧な機構を作るのは、私には難しすぎると思えたし、其れを電子電気制御する事にすれば、私には、それは容易に作れそうだし、更に、下手な機構に依るよりも木目細かい制御まで出来る様になると思えて、その方法を採る事としました。 

「電子電気制御によるカラクリ人形」は、新しい一つのジャンルにも成るもの、そう言えませんでしょうか。(電子電気制御に関しては別稿で記します)

 

あとは、一番重要であり難問である、揺れ動くブランコに乗った木彫りの男の子の手足を屈伸させる仕組み作りです。

男の子にマイクロモーターを背負わせる方法、男の子の手足に電気熱伸縮ワイヤ(バイオメタル)を組み込む方法などを試みましたが、十分小さなモーターが入手できず、作成困難な程に小さな機構が必要だったり、必要な速度で必要な力で伸縮させる方法が見出せずに、これらの方法では実現できませんでした。

結局、これは陳腐な方法ですが、外部から釣り糸で引いたり緩めたりする方法で実現する事としました。

 

具体的には、子供の頭部から釣り糸を出して、ブランコの支柱の中を通して、基盤の中のモーターに繋げる。 ブランコの回転軸の辺りに光センサーを設けて、ブランコの揺れ位置を検出し、マイコンに接続する。マイコンの中で、光センサーの出力に関連付けてモーターを回すように制御する。(マイコン制御に付いては別稿で記す)

 

このようにして、「ブランコを立ち漕ぎする男の子」(Swing-Play)が完成しました。

ブランコを懸命に漕ぎ続ける男の子、なにか、愛おしく見えてきませんでしょうか?

 

参考:

BioMetal: トキ・コーポレーション㈱