櫻葉区分ですが、相櫻です(>_<)
今後、BL的表現あり。これは素人自己満足のために書く妄想小説です!!実際のものとは一切関係がありません汗。

大丈夫な方のみ、前へお進みくださいm(_ _)m
 

 
 
 
 
初めましての方はこちらへ。
 

書けるときに書いておく……

多分今週は書けない……リアルの方がまたバタつきそうなので(-_-;)
 
 
 
 
 
 
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今よりもっと暑かった、あの日。

初めて好きな人とキスをして、体を重ねた。

先輩の息遣い、汗のにおい、肌の熱さや赤さ。
……今でもすぐに思い出せる。
 生まれて初めてだったのに、先輩にほとんど強引に教えられた。
どうやったら先輩もオレも気持ちよくなれるか。
 
さすがに道場では最後までしなかったし、そんな勇気なかったけど(いや、道場でやることじゃないのは分かってるけど!)

その日のうちにオレは先輩の家に行った。
っていうか、泊まった……次の日まだ学校だったのに。

そりゃ、オレだってそんなことやっちゃダメだって、思ったよ。先輩は女の子じゃないけど、なんとなくね!
 
だけどさ……足りないって、自分のことが欲しくないのかって、大好きな先輩にあんな無邪気な笑顔で、抱きつかれたらさ……
 

(来るよね?)


小悪魔って言葉、先輩のためにあるんじゃないかって思ったよね。
……それに先輩も、オレが断るなんて全く思ってなかったと思う。
 

食べごろの苺みたいに赤い唇が、オレのそれに重なって。
甘くて、甘くて……美味しかった。
……抵抗なんて出来るわけなくて。
 
 

(絶対気持ちいいと思うよ?素股よりも)
 
その言葉通り、結果的に見事にハマっちゃった……
 
 
 
出会ってからずっと……先輩にはドキドキしてるけど、ココ最近それがもうヤバい。
オレ、そんなに同年代と比べても、エッチなことに興味がある方じゃなかったはずなのにさ。
あの後すぐに夏休みに入って、先輩と過ごす時間が多くなったせいかもしんない。
 

少しずつ少しずつ、オレの体に麻薬みたいに回る、先輩の存在。
 
先輩に触れられるだけで、体温が半端なく上がる。
例え先輩の方にそんなつもりがなくても、条件反射みたいに下半身が痛いぐらい、張り詰める。
 
 
……時々、怖くなる。
 
毎日、毎日……先輩のことだけで、もう頭が全部いっぱいで。
 
「相葉くん?」
「うえっ?!あ……」

物思いにふけってた中で急に背中に声をかけられて、肩がめちゃくちゃビクついてしまう。

入れ替わりにお風呂に入った先輩より先にご飯を食べることはなんか出来なくて、でも手持ち無沙汰も嫌で、勝手に台所を借りていた。
フワフワと漂うお風呂上がりの先輩の香りに、慌てて
まな板の上のみじん切りのハムと白ネギをボウルに移
す。
隣にはこんもりと盛った炊きたてのご飯を入れたどんぶりと調理台をコロコロしてる卵。 

ドキドキしてるオレには気づかず、ホワホワと湯気を立てながら先輩が横からまな板を覗いて来た。
 
「相葉くん、何してたの?」
「あっ、はい……なんかその、チャーハン食べたくなって」
「え、チャーハン?」
 
途端、キラキラと先輩の大きな瞳が輝く。
 
一緒に過ごすことが多くなって、よく分かる。
先輩は食べることが本当に好きなんだ。
……めちゃくちゃ可愛い。
 
「冷蔵庫の中のハムと卵少し使いましたけど、よかったです?」
「いいよ。賞味期限大丈夫だった?」
「はい、ギリギリでしたけど……」
「それなら良かった。また食べ物を粗末にするとこだったよ。ありがとう」
 
ホッとした表情の先輩。
料理はからきしダメっていうのは随分前に聞いたことがあったけど、この部屋の台所を初めて見た時に本当なんだって悟った。
 
ピカピカのガス台。
使った感じのない調理器具。
オレが使うようになって、ようやく出番が来たみたいな感じ。
 
何のことはない簡単なチャーハンも、先輩には違って見えるようで、オレがフライパンを使い始めたら、興味深げに、見てくる。
 
「わぁ、ご飯踊ってる!テレビで見るやつじゃん!」
「いや、それほどでも……」
「すっげぇ!やっぱり相葉くんはすごいねぇ!」
 
にこにこ笑いながら、歓声を上げる先輩。
好きな人に絶賛されたら、やっぱり嬉しくて……オレはここでよくご飯を作るようになっていた。
……別に、特別なことしてないんだけどな。
 
「先輩もちょっと練習したら出来ると思いますけど」
「うーん?俺はダメだよ。全っ然才能ないし」
「いやオレもそうでしたけど、慣れたら大丈夫ですって」
「いーや、無理だね。昔からダメダメなんだもん、俺」
「……そうですかねぇ……」
 
一緒に作ったらもっと楽しそうなんだけど、先輩はいつもこうやって断ってくる。
強制する気もないけどね。
 
「相葉くんのチャーハンがあるなら、今日のおかずは中華にそろえちゃおっか」
 
そう言って、冷蔵庫から料理の入ったタッパーを2つ出してきた先輩。
出来上がったチャーハンの入った大きなお皿の隣に置いたタッパーの片方の蓋を開けると、見るからに美味しそうな酢豚。
今度はオレが歓声を上げた。
 
「わぁ、酢豚だ!美味しそう!」
「……これ、あっためる?」
「はい!」
 
オレの答えに先輩は『わかった』と言って、酢豚の入ったタッパーを電子レンジに入れてスイッチを押した。
もう片方にはハムときゅうりの入った春雨サラダが入ってて、オレはそれを皿に開けた。
先輩が不思議そうに首を傾げる。
 
「相葉くんってマメだね。タッパーのままの方が洗い物少なくて良くない?」
「お皿に入れた方がもっと美味しそうに見えません?」
「ふーん……そういうもん?」
「あ、洗い物はちゃんとしますから」
「あー、そうゆうわけじゃないから、気にしないで……」

先輩はお茶を淹れてくれたと同時に、電子レンジがピーって鳴る。
アツアツになった酢豚は大皿に出して、チャーハンをよそった。
 
「うわぁ~……」
 
ホクホクと上がる湯気の奥の先輩がニコニコしながら手を合わせるのを見て、オレも慌てて手を合わせた。
 
「「いただきます!」」
 
先輩がさっそくオレの作ったチャーハンにパクつく。
途端、笑顔が爆発した。
 
「ウマっ!!相葉くん、このチャーハンめちゃくちゃ美味いよっ!」
「ありがとうございます」
 
頬袋をいっぱいにしながら、チャーハンを掻き込む先輩を後目に、オレは酢豚に箸をつける。
 
「うわっ、これめちゃくちゃ美味しい!レストランみたい!」
「えー、相葉くんのチャーハンの方が美味しいよ?」
「……ありがとうございます」
 
そう言いつつ、んなわけないじゃん、と今日もオレは内心ツッコミを入れる。

先輩の家の冷蔵庫にはいつもいくつかおかずのタッパーが入ってる。
今日みたいに酢豚とか麻婆豆腐とかの中華もあれば、筑前煮や肉じゃがなんかの和食、グラタンやミートボールなんかの洋食もある。
和洋折衷色々の料理は……オレが作ったやつじゃない。
もちろん、先輩でもない。
 

(しょおくんの体は俺のご飯で出来てるんだよ~)

(あはは。違いねぇ)

 
あんなこと言い合う先輩たちだから。
ここに通い始めた当初は、ひょっとして大野先輩が作りに来てるのかなって思ってた。
だって大野先輩は前に、『自分が料理をやろうと思ったのは翔くんのため』って言ってたんだもん。
 
……先輩が料理をしないのは完璧主義だからなのかな?って一度思ったこともある。
だけど、その割に適当に作ったオレのご飯は本当に美味しそうに食べるから……。
 
 
その疑問の答えは、すぐ先輩が解決してくれた。
 
「味じゃないんだよなぁ……なんていうか、お手伝いさんが俺に作るのは数ある仕事の一環だから」
「そんなことないと思いますけど……」
「……俺なんかそんなもんでしょ。相葉くんのご飯の方が絶対美味しいよ。もちろん智くんのも美味しいけど……ってか究極俺のためだけに作ってくれるのがいいんじゃん?温かいし」
「………」
 
温かいのは出来たてだったり、レンジがあっためてるからじゃないの?って突っ込みたくなるけど、そう言ってふんわり笑う先輩に、返す言葉が分からなかった。
 
華道の家元である先輩の家はすごく大きくて、お手伝いさんが何人もいるらしい。
家事のプロみたいな人たちが作るご飯の方が、絶対オレの作る適当な料理より味がいいに決まってるのに……先輩はいつも『相葉くんのご飯の方が美味しい』って言ってくれるんだ。お世辞じゃなくて。
 
そう力強く言う時の笑顔は綺麗なのに、どこか切ない感じがした。
 
 

先輩のことが分からない。
分からないから、もっと知りたくなる。
 
そして、先輩のことを知っていくにつれ、色々と違和感を覚えて。

……そしてますます、深みにハマっていく。