櫻葉区分ですが、相櫻です(>_<)
今後、BL的表現あり。これは素人自己満足のために書く妄想小説です!!実際のものとは一切関係がありません汗。

大丈夫な方のみ、前へお進みくださいm(_ _)m
 

 
 
 
 
初めましての方はこちらへ。
 

 

 
 
 
引退なのに、まだ部活に来るつもりの大ちゃん。
もちろんその理由は……
 

 
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「大野さん、朝も夕方も実習これからめちゃくちゃ入ってくるでしょ?とてもじゃないけど部活無理じゃない?」
「そうだよ、智くん……それ引退になんないじゃん。今だって部活とこれの両立大変でしょ?」
「そんな変わんねぇよ。それに翔くんだって7時間目の授業とかあるじゃん?さすがに的前練習は初心者だけじゃ危険だから無理だろ?でもニノと相葉ちゃんにはこれからもっと実践練習が必要だってさっき話したじゃん」
「そりゃあそうだけど……」
「それ言われると痛いんだよなぁ……」

松本先生と櫻井先輩の言葉にも、揺るがない大野先輩。2人がなんか困って見える。

行きの車の中で松本先生は『今ルールとかそうゆうのを一生懸命覚えてるところ』って言ってた……だから大野先輩にとったら松本先生も初心者の1人なのかもしれない。
この試合の前までだって、進学コースの櫻井先輩は何回か7時間目までの授業があるからって夕方の練習は来ない日があったし。そんな日は大野先輩がオレとカズくんのこと見てくれてたからね。

だけど、と思う。
大野先輩はオレとカズくんのことももちろん考えてくれてると思うけど、それだけじゃないって。
だって。

「どうしても櫻井くんが無理なら外部の講師呼ぶって言う手もあるよ?女子弓道部の方からとか……」
「それが嫌だから俺が行くって言ってんじゃん」

松本先生の提案に、大野先輩がすかさず切り返す。
噛み付くって言ってもいいぐらいだから、オレもカズくんも……大野先輩の方を向いた。
櫻井先輩は珍しく狼狽えたように見える。

「智くん……先生はただ……」
「知ってる。松本さん、俺の成績落ちんの気にしてるんだろ?でもさ、別にこれまでだってうまくやってきたんだから。どうってことねぇって」

そう言ってコーヒーをすずっと啜る大野先輩。
あんなに柔らかい雰囲気をいつも出てた先輩が出すピリッとした空気に、オレもそうだけど、カズくんも口をはさめないでいる。
櫻井先輩は困ったように松本先生と大野先輩を交互に見て……(その仕草がちょっと可愛いとか思ったのは内緒だ)でもやっぱり何を言えばいいか分からないって感じだった。

何としてでも岡田さんが入ってくるような隙を出したくない……大野先輩の強い決意が分かる。
もちろんオレもだけど。
何があったか知らないけど、オレも岡田さんに教えてもらう気にはもう……ならなかった。


しばらく静かになった後、松本先生がはぁとため息をついた。

「……大野さんはこうって決めたら曲げないからなぁ」
「悪いね」
「まぁ、別に就職に関しての心配ないもんね……」
「そうそう。ちゃんとこれまでどおりの成績は保証すっからさ」
「ふむ……OK。じゃあお願いするね」
「智くん、ありがとうね」

松本先生の言葉に、オレはホッとしたのと同時に、不謹慎だとは思うけど嬉しくなった。
大野先輩が来てくれるってことはその日は櫻井先輩に付きっきりで教えて貰えるってことだもん!
もちろん大野先輩は岡田さんを警戒してではあるけど……それでも嬉しくて。
心の中で思わずガッツポーズ。

でも。
顎に手を当てて、少し考え込むような先生が、一瞬オレの方を見る。

「でもしばらくは櫻井くんだけで大丈夫そうだから、大野さんは実習に集中してよ。期末試験後からは悪いけどよろしく」
「あー……そうだった……」

大野先輩もチラッとオレの方を見て、言う。
ん??何??2人して。

「フフッ。少なくとも来週から期末試験前までは実習行ってよ?」
「……はーい」

あれ?櫻井先輩もオレの方を見てから、大野先輩に言った。
え??何??
訳わかんなくてカズくんの方を見ると……どこか呆れ顔。

「ね、カズくん……なんかオレだけ話掴めないんだけど……どゆこと??」

声を潜めて確認したら、カズくんはため息をついた。

「……だと思ったわ」
「え?だと思ったって何だよ、早く言えよ」
「アナタその手で練習出来ると思います?」
「……あ………」

そうだった!オレ、親指思いっきり包帯巻いてたのに忘れてたっ!

「え、オレ練習出来ないじゃん!あ、すいませ……」

オレってば衝撃のあまり座ってた椅子を思いっきり後ろに倒しちゃって、バターンって音にめちゃくちゃ周囲の視線を独り占めしてしまう。

「プッ……ククッ……」

途端に噴き出す櫻井先輩と大野先輩。

「バカだバカだと思ってたけど、ホントにバカなんですね」

冷たく突き放すカズくん。

「やっぱり相葉くん、面白いなぁ」

松本先生のキラキラスマイルで締められて、オレは顔を真っ赤にするしかなかった。


考えてみたら、弓道で親指がめちゃくちゃ大事だってことは分かるはずなのに……それも利き手だし。
だけどさ。





「相葉くんはとりあえず傷が治るまで部活休みだよ?」
「はい……」

帰りのワゴン車で、櫻井先輩が優しい笑顔で残酷なこと言ってくるから、オレはダブルで落ち込んでしまう。
それって……先輩に会えないってことじゃんか。

「まぁ、早めに勉強しろってことでしょうよ。出来が悪いんだから、神様が勉強時間くれたって思ったら?」
「うん……」

多分カズくんはオレが『出来が悪いってなんだよっ』て言い返すと思ったんだろうけど、とてもそんな気になれなくて素直に頷いたからかな、カズくんがちょっとだけ目を見開いて、ほっぺをかくのを見た。
あまりの落ち込みようが気になったのか、松本先生がバックミラー越しにオレを見て言った。

「相葉くん、そんな落ち込まないでよ。どっちにしろ試験の成績悪かったら部活出禁になるんだからさ」
「えっ?!そうなんですか?!」

松本先生の言葉で、思わずオレは前のめりになった。
それってこれからもテストの点数悪かったら……ってこと?

「芸術学科とか体育学科は一般教養の方悪くても専門科目が出来てたら最悪大丈夫だけど……相葉くん、普通科だからね?重視されるよ。赤点とったら1発出禁だよ」
「うえ〜……」

ヤバいじゃんそれ……
オレは血の気が引いた。

オレ、そもそもは体育学科のバスケ専攻に入るつもりだったけど、出願日間違えて普通科になって……そりゃあもうめちゃくちゃ勉強したんだよね。
高校には何とか入れたけど……元々は勉強も苦手。赤点じゃなかった時って……むしろある??

「だから青春だけじゃなくて、勉強も頑張ってね?」
「うぅ…...」

こうまで言われてしまうとぐうの音も出ない。
とにかく頑張ります、とだけ言った。


そうこうしてる内に、車はオレとカズくんの家の近所まで来て、あっという間に着いた。
櫻井先輩が窓の外を興味深げに見ている。

「へぇ、ここが相葉くんち?」
「は、はい!そうです」
「で、隣がニノんち……ホントにお隣さんだね」
「翔さんと大野さんと先生なら大歓迎ですよ」
「え、ホント?」

カズくんに言われて、途端に目が輝く櫻井先輩。
……か、可愛っ……!
思わず見とれていたら、すぐに大野先輩の方へ向いて。

「ねぇねぇ!今度食べに来ようよ、智くん」
「え?あ、うん……」
「………」

大野先輩がなんかすまなそうにオレを見る。
つい、顔に出ちゃってたんだと思う。
すいません、気遣わせちゃって…_と心の中で謝った。

「俺とまぁくん、よくうちでご飯食べてるんで先輩たちもよかったらどうぞ」

カズくんがオレにこっそりウインクして、そう言ったのがなんか嬉しかった。


車の音で気づいたのか、お店の入り口から二宮のおばちゃんが出てきた。
松本先生も車から降りて、話し始める。

その間にオレとカズくんは自分の荷物を取り出した。

「相葉ちゃん、荷物持ってあげるよ」
「え、ありがとうございます」
「智くん、それなら俺が……」
「いいから、いいから」

櫻井先輩が一緒に車から降りようとしたのを、大野先輩は止めた。

2人で話したいんだな、とオレでも分かった。


カズくんが一瞬こっちに目配せして『大丈夫?』と口だけで聞いて来る。
うん、とオレは頷いて返した。


どうせそんなに時間もないし、込み入った話にはならないだろうって思ったから。



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なんか予定より試合編が長くなっちゃったのですが、次で終わります汗。
その後入れる前に……注意事項しないとなー