このお話、翔くん総受けのかなりぶっ飛んだ設定です。苦手な方は悪いことは言わないので、ぜひスルーしてください。大丈夫な方のみ、心してスクロールしてくださいねm(_ _)mもちろんですが、これは素人自己満足のために書く妄想小説であり、実際のものとは一切関係ございません( ゚ε゚;)






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翔くんが起きたけど……




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雅紀の瞳が緑に光れば、風は彼に味方し。
潤の瞳が紫になれば、炎が辺りを焼き付くし。
カズの瞳が黄色く輝けば、大地が彼を援護し。
智の瞳が青く煌めいた瞬間、この世は雪と氷に閉ざされる。


しかしながら、普段の瞳は闇夜より暗い漆黒で。
力を使う時に変貌する。


翔は彼らと毛色の違う吸血鬼だと。
そう評したのは、白い部屋にいた預言者。

彼らと変わらない黒曜石の瞳が普段はあって。
薔薇のような深い紅は特別な時にしか見られなくて。
それは……満月の夜でのみ見られるもの。


(俺が知ってることの全部を話すから……)
(今から言うことはちゃんと、肝に銘じて欲しい)
(……翔くんのために)


雅紀と潤の脳裏に、預言者の言葉が蘇る。



「消エルゥ!!消エタクナイィィ!!」

砂のように消えていく体を認められない侵入者は脇目も振らずに触手を翔に伸ばすも、崩れていく。

「……ぁ……あ………っ」

翔は一点を見つめ、起き上がった体勢そのままピクリとも動かない。その体は遠目から見ても震えていて、紅い瞳にはうっすら涙が滲んでいた。

「お前、うるっさいよっ!!」

雅紀が風を起こす……がそれは瞬く間に消えてしまう。
仕方なく手当たり次第に周囲のものを投げつけるが、それも粉のように消える。

「翔くんっ!」

潤が叫ぶが、聞こえてない様子で。
辞めさせたいが、どうしたらいいか分からずに焦りばかりが募る。

風も炎も、影も何もかも、かき消されてしまう。
彼の気を反らすための力を……使うことが出来ない。
発したところで全て消えるから。

(翔くんの力は……危険なんだ………)
(……この世で1番ある意味で有益だと思う……俺の『真実の口』よりもね)

「翔ちゃん、やめてっ!お願い!それ以上見ちゃダメだよっ!」
「………」
「翔ちゃーんっ!!」

雅紀が泣いて訴えるも、翔は無反応で。
激しいショックに、我を忘れているんだと嫌でも分かる。
『また』自分のせいでこんなことになったと。


(……翔くんは優しいから)
(……あれは強すぎて、翔くんを破滅させてしまう……精神的にも、肉体的にも)
(特に、満月の夜以外は)

どうしよう……どうしよう……
オレが暴走しなかったら……!
雅紀がそう思ったその時。


「翔ちゃんっ!!」

天井から翔の頭上に飛び込んで来たのは、カズだった。

「カズ!翔ちゃんが!」
「分かってるっ!」

千里眼で状況を把握していた彼は、ボロ泣きの雅紀の方は見ないままに、派手にベッドに降り立った。
それからとにかくショッキングな光景から翔の視界を閉じることを選択する。

「くそ……!」

だが彼の視界を塞ぐ防壁となろうとする岩たちは……しかしながら作ったそばからボロボロと消えていく。
力が無効化されていく。


このままじゃ埒が明かない。 
そう判断したカズは背中から翔を抱き込み、その視界を小さな手で塞いだ。
いくら言っても聞かないなら、直接封じるしかない。
彼がこれ以上傷つかないように……
翔の体は震えていた。

「翔ちゃん、落ち着いて……大丈夫だよ、大丈夫……」
「……………」
「いい子だから……ね?俺たちが来たから……大丈夫よ……」

耳にキスをするように、優しい声で囁く。
何も怖いことは起きていないんだと、繰り返す。
そうしながら尚も、大地の力をかき集めて壁を作ろうとするが、敵わない。

(特に今の翔くんは…………だから)
(……傷つけないで欲しいんだ)

「っ……翔くん……っ!」

いても立ってもいられず、潤は急いで自分の血のついた服を脱ぎ捨てた。
血の匂いをさせたまま、彼に近づくことが出来ないから。
そうして上半身裸になると、すぐさま翔の元に駆け寄り前から彼を抱きしめて、カズの手の上から彼の瞼を覆う。

「翔くん……びっくりしたよね………ごめんねっ……」
「………」
「でも、これは夢だから……翔くんは……怖い夢を見てるだけだから……」


これは夢だと、悪夢を見ているんだと必死で言い聞かせて、小刻みに震える体をカズと2人でギュッとする。


目を開けたらベッドの周りは血だらけで。
自分の顔にも血がついていて。
それは全て、潤の流した血だけども。

この部屋の惨状は、錯乱して当然だ。



「ギギギッ………ソウカ、ナルホド……コレガ『支配者』ガ喉カラ手ガ出ルホド欲シイモノ……」

この惨状を招いた元凶は、黒い灰と散りながら呟く。

確かにこれがあれば、『支配者』は確実にこの世界を好きに出来るだろう。
人間も、吸血鬼も全て。
なんと魅力的で恐ろしい。

純血吸血鬼たちが代わる代わる必死に呼びかけるのも、なんと滑稽な光景だ。
彼らすら、惑わすことの出来る……ある意味で最強の存在。
『支配者』にとってこれほどまでに欲しいと思うものはない……『預言者』の力よりも。

「『死の瞳』……コレサエアレバ……後ハソノ刺青ガ……」
「刺青が、何だ?」
「!?」

呑気に喋っていたその頭上。
青い瞳の吸血鬼が現れた途端、侵入者は自分の血が凍りつくような恐怖に襲われる。
冷たい怒りは、その周りの床を小さな範囲ではあるが、凍りつかせる。
だが、智もそれ以上は力を行使できない。

いくら最強の吸血鬼でも、だ。


「……しかたねぇな」

気持ち悪いがこれ以上の方法が思いつかず、その手が思いっきり恐怖に固まっていた頭を鷲掴みにする。
もはや本体が朽ち果て、首だけになっていたそれは途端に叫んだ。

「ンギャアアアアッ!ヤメロー!!」
「俺らの可愛い翔くんの眠りを覚まさせて、傷つけて、タダで済むと思うなよ……!」

その死を持って思い知れ。
これがどれほど罪深いか……



黒い灰となって消えるのすら待てず、智はその醜い頭を思いっきり握りつぶす。

「翔くん……」

その灰の行く末に興味などない。
智もまた翔の元へ駆け寄った。

 

邪魔者はいなくなった。
だが、問題は全て解決した訳では無かったから。





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翔くんの秘密の一端が明かされました。

その力、『死の瞳』の詳しい説明はまた追追……とりあえず匂わせる程度で今はお許しをw(匂わせで済んでないかもだけど苦笑)。名前で簡単に察せる……

それにしても、戦闘シーン難しすぎる……
でもここの戦闘は終わりだけど、また後であるんだよなー……