このお話、翔くん総受けのかなりぶっ飛んだ設定です。苦手な方は悪いことは言わないので、ぜひスルーしてください。大丈夫な方のみ、心してスクロールしてくださいねm(_ _)mもちろんですが、これは素人自己満足のために書く妄想小説であり、実際のものとは一切関係ございません( ゚ε゚;)






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前の話はこちら。 




やってることが中々エグい、イライラモデルズをお送りします笑






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気に入らないものを即灰にする。
出会った当初から他の3人にずっとそう思われてきた潤。
でもそれは実家にそうだ。
灰が風で飛んでいけば、それこそ初めからそこに何もなかったかのようなことは、よくあったこと。
目覚めた時目の前にいた支配者層の吸血鬼など、まさにそうだ。
相手がなんであれ……物であれ生物であれ変わらない。

そしてそんな時は大抵、自ら起こした灼熱の炎を直接ぶつけて外側から対象物に火を付け、そのまま燃え広がった結果……灰になるまで焼き尽くすことが多い。

それは、断然その方が効率的に早く邪魔者を消せるから。
潤は相手が自分の中で抹殺対象になったら……進んでそうしてきた。

でも、別に攻撃方法はそれだけではない。
言うなれば数打ちゃ当たる機関銃みたく爆炎をお見舞いするのも、今のように……まるで狙撃銃の如く狙ったところを発火させるのも……潤にとったら造作もないこと。
時と場所と相手の人数に応じて使い分けてるだけのことで。


今いるこの部屋は翔のもの。
彼を迎えるために、雅紀と整えた場所。
彼の空間を台無しにはしたくない。
いくら何をやっても最終的には元に戻るとしても……黒煙はこの明るい部屋に似合わない。
焦げ臭い匂いなどもっての外。
相手は1人。
……ならば。

潤がアメジストの瞳をギロリと光らせると、途端侵入者は三度、目の焼ける痛みに襲われた。

「ぎゃああっ!」

のたうち回る侵入者の前では、自らが愛してやまない美しい吸血鬼をその胸に抱いたまま、ベッドの上から王者のように見下ろす紫の瞳の吸血鬼。
その顔は見るからに侮蔑を含んでいる。

「お前の目、どれだけ焼き尽くしたら灰になるんだろうな……試してみようか」
「グギャァァッ!」

またも爆発を繰り返し、黒煙を上げる黒い体。
蹲る影の頭上には、そのもがき苦しむ姿を見て場違いなほどにっこり微笑む緑の目の吸血鬼。
恐怖に固まる瞬間だ。

「目が利かなきゃオレの風も避けられないよね?」
「!!」
「そろそろ死んで欲しいな……」

のんびりしてるように見えて実は相当せっかちな雅紀。
戦闘も基本、ネチネチと嬲るのを好むカズとは対照的に、するならさっさと済ませたい派である。
穏やかな言い様とは裏腹に、苛立ち紛れに起こした風は、突風になり今度は侵入者を激しく壁に打ち付けることに成功する。

普通の人間なら骨が粉々になるし、肉が腐りきった格下ならこれだけでもバラバラになるぐらいの衝撃。
だが……やはりそこは『支配者層』。
虫の息でもまだ体は形を保ち、黒く細い分身を幾重にも作る様子に雅紀は舌打ちをする。

「しつこいねぇ、お前……」

両腕から手当り次第に次から次へと円形だったり、槍型だったりの疾風を巻き起こし、影を分散させて逃亡を図る侵入者の行く道全てを阻む。
反撃する間を与える気など、サラサラなかった。

風の刃が容赦なく襲いかかり、ただでさえ潤の炎で視界を失った侵入者は、自身の影の手を増やす暇もなくなって……徐々に再生能力を失い追い詰められていった。
魔力がなくなれば、後は格下と同じ。

「お前もう再生する力なくなったよね」
「ギギ……」

疲労感はピークだったが、雅紀の機嫌はかなり上向きだった。
肩をグルグル大きく回し、ついで首も回してゴキゴキと鳴らす。

「ホント格下と違って一瞬で小間切れになってくんないんだから世話やける……疲れさせないでよ」

残酷なほど優しく笑いかけた後、雅紀の体に鎌鼬が纒わり付く。
これでとどめ……そう思った瞬間。

「雅紀」

その背中にかかる声。
雅紀が振り向くと、相変わらず翔を抱き抱えたままの潤。

「………何?」

腹が立たないわけではないが、その黒い瞳は真剣で。
文句は後で言おうと飲み込む。

「切り刻むなら外でやりなよ。ここでは禁止」
「…………」
「忘れてないよね、雅紀」

潤の指摘に、雅紀はピクリと片眉を上げ、頭をかいた。
あまりにイライラしていて、大事なことがすっかり頭から抜けていたのに気づく。

「忘れてはない……けどさ」

雅紀は口をへの字に曲げ、潤の方を見た。
その目は不満げだ。

「……翔ちゃん寝てんじゃん……バレなくない?オレ、こいつさっさとバラバラにしちゃいたい」

翔に触れていいのは自分たちだけ。
自分たち以外で翔に触れたものを、この世に一瞬たりとも置いておきたくない。
その想いが、雅紀は強かった。

それは……もちろん潤も一緒。
まだここへ来る真っ最中と思われる、カズと智とて同じだろう。
でも、潤は静かに言う。

「……気持ちは分かる。でもルールでしょ」
「………」
「俺もそいつをさっさと灰にしたい……俺だって我慢してるんだって……」
「……だけど」
「雅紀は特にダメ。やるなら外でやらないと……」


雅紀が1番、その場を酷いことにしてしまうのだから。





翔をこの塒に迎えた時、彼ら4人にはいくつかルールが出来た。
翔のことは抜けがけせず、仲良くみんなで分け合うこと。

彼の血を吸うなら、みんなで一斉に。
彼と愛し合うのは順番に。
決して独占してはいけない、と。


そこにあるのは、翔を巡って争わないという4人の誓い。



なぜか?


それは……彼を二度と傷つけてはいけないから。
優しくて、とても傷つきやすい。

だから相手がどれほどのクズだったとしても。
翔のいる空間で、流血はご法度。

ホントはこんな戦闘行為も許されたものでは無いけども……せめて。



「……はぁ……分かったよ」

雅紀は息をゆっくり吐いて言った。
切り刻みたい欲求を、グッと押さえ込む。

「雅紀」
「すっげぇ腹立つけど、翔ちゃんのためだもんね」

潤はホッと胸を撫で下ろした。
自分もそうだが、雅紀も暴れると止まらない。
……どうにか落ち着いてくれて、助かった。

「じゃ、ちょっと外出てもらおうか……」

そうして雅紀が虫の息の侵入者に意識を向けた……次の瞬間。

「!!」
「雅紀?!」

潤には突然雅紀がその場に崩れ落ちたように見えた。
少しの状況の変化も、風や匂いで勘づく彼なのに不意打ちを喰らったとは思えなかったのに。
もはや格下と化した侵入者が、蹲った雅紀をお返しとばかりに思い切り蹴り飛ばす。

「雅紀!?何やっ………?!」
「………」
「!」

壁に背中をぶつけた雅紀の目に狂気めいた光。
それを見た潤の背中に、ゾワッと悪寒が走った刹那。 
彼も、気づいた。
……微かに香る、甘い匂い。


ハッとして腕に抱く翔を見た。
寝息がさっきよりも少し乱れている。

「………」

それよりも潤の目が釘付けになったのは、彼の体を包むシーツの端……ちょうど足首の辺り。
白いシーツに滲む僅かな、赤い血。



「血………極上ノ血ィ……甘ィィィ!」

侵入者が延ばした影をシュルリと自分の体に戻して、ペロリと舐め、絶叫した。




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戦闘シーンは苦手なので、あまり長く続ける気は無いです。
モデルズ油断し過ぎ……