このお話はお山区分ですが、智翔です(>_<)

今後、BL的表現あり。これは素人自己満足のために書く妄想小説です!!実際のものとは一切関係がありません汗。

大丈夫な方のみ、前へお進みくださいm(_ _)m



初めましての方はこちら。





山の日記念(過ぎちゃってるけど苦笑)のお山超短編ラスト!



大ちゃんサイドです。





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大きな瞳をアーモンドみたいに細めた笑顔はすごく綺麗で可愛いのに、笑い声は豪快で。

小さなことでも驚くほどずっと笑ってて、こっちまで明るくなって。

それでいて、俺よりもずっと年下なのに……妙に大人びて、優しい光をその目に浮かべて静かに見守ることが出来る。


その大きな瞳が、好きだ。




(大野さん、おかえりなさい)



仕事から帰ってくると、必ず出迎えてくれた。

俺にとって何ものにも替えがたい、この綺麗な彼に出会ったのは……ずいぶん前だ。



拾ったのは、ほんの偶然。

恰幅のいい男ども数人に追われている中で、俺が乗る車の前に飛び出してきた。


襟足長めの綺麗な金髪に、ピアス。

それだけ聞いたらただのチャラい坊やだけど、なぜだろう……彼の周りはキラキラして見えた。


不安に揺れている二重まぶたの大きな瞳。

唇は年齢の割にぷっくりとして色っぽい。

色白で華奢な体。


(大丈夫?)


そう声をかけた俺を真っ直ぐ見返す瞳は……どこか挑戦的で。警戒心のあまり毛を逆立てつつも、助けて欲しくて縋り付いてくる。

まるで猫みたいで。

……なんて可愛い子なんだろうと思った。

だから、助けた。


とりあえず彼を追っていた奴らは下っ端なのが分かっていたから、二度と彼の前に現れないようにするのは容易かった。

だからもう彼に迫る危機はもうない。

なのに側に置くことに決めたのは……ただの気まぐれ。

でも、その内に……側にいないと俺が気になって仕方なくなった。



いっちゃあなんだけど……俺の仕事は特殊だ。

傍から見れば表にも裏にも通じる究極の成功者。

でもその実、いつだって水面下は騙し合いと足の引っ張りあいばかり。

少しでも隙を見せれば形勢はたちまち逆転する。

俺が気を許していたのは長年、右腕の松本だけだった。


心を擦り減らしそうなほどの緊張感が続く中で、偶然拾ったこの猫との時間は……癒やしだった。

食事の時間も、もちろんベッドの上でも、それ以外も。

可愛くて……綺麗で……一見粗暴に見えて品のよさが隠せない。

誰彼構わず自慢して回りたいほど……俺はこの猫を愛していたのに。



前触れもなく姿を消した彼を、必死になって探した。

苦労の末にようやく見つけたあの猫は……最後に見た時より幼さが抜け、色気をさらに増して、すごく綺麗になっていた。

……その過程を見られなかったこと、俺の代わりにその姿を見てきた誰かに……嫉妬した。


でも、いい。

これからまたずっと側にいてくれたらいい。

俺の元に帰ってきてくれさえすれば。



しかしながら……素直で可愛かった猫は、俺を強い眼差しで睨みつけて拒絶した。






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「……大野さん」


翔くんの部屋を出ると、松本が立っていた。

俺より若いが、すごく優秀な俺の右腕。

かゆいところに手が届くとでも言うのか……何かにつけタイミングがいい。


「ちょうどいいところにいた」

「何か御用でしたか?」

「熱いタオル……翔くんの体を拭いてやりたいんだよね」

「わかりました……彼は?」

「……寝てるよ。ちょっと無理させちゃったから、しばらく起きないだろうな」



もうずいぶん長い時間、翔くんを貪ってた。

だって10年だ。

愛してないところなんか一切ない極上の体を持つ彼。

どうしようもないほどに溺れた相手。

その彼がこの手に戻ってきて、我慢なんて出来やしない。

際限なく溢れる欲に、とうとう彼が力尽きて。

今はぐったりした様子で寝入ってる。

ドロドロの状態ではさすがに可哀想だ。


松本が言った。


「食事はどうします?昨日結局食べられてないでしょう。もう朝ですけど……」

「あ、そうだった……」

「……呼びには来たんですけどね?」

「……聞いてたのかよ……」


途端に気まずくなって、大きくため息をついた。


(あんたなんか……っ!だいっ嫌いだ……!)


「…………」


……どんな言葉より堪えるあのセリフ。

松本が肩を竦めた。


「……ずいぶんな嫌われようで」

「うるさいなぁ……まぁ、ちょっとやり過ぎたけど」

「翔さんの体、俺が拭きましょうか?」

「いや、いい……どうしても無理なときはお前に頼む」

「……そうですか」


松本の顔がどことなく切なく歪む。

……あぁ、そうだ……こいつは。


「あ、抱くのは禁止だぞ?あのカラダに触れていいのはもう俺だけだからな」

「……まぁ俺は大野さんの命令じゃなければ、あんなことはしませんけどね……」

「……悪趣味だって言いたいんだろ?悪かったよ……」

「謝るなら翔さんにどうぞ」

「じゃあ、ご機嫌取りするよ。翔くんが好きそうなの用意して。お腹が空いて案外すぐ起きるかもしれないし」

「わかりました」



俺はかつてこの松本にも翔くんを抱かせてた。

単純に興味があった。翔くんが俺以外に抱かれてる時も同じような顔をするのか。

だいぶ戸惑っていた彼だけど、結局受け入れてくれた。

……俺に見られながら他の男とセックスする翔くんは……俺とする時とはまた違って、最高に可愛くてエロくて。

着実な職務遂行を絶対としてる松本が……翔くんに関しては若干その姿勢が揺らいだと白状するほど魅力的だった。



「……食べるの好きでしたもんね……翔さん」


そうやって翔くんのことを思い浮かべるとき、こいつはすごく優しい顔をする。

時に俺より翔くんの肩を持つこともあったな……。


「翔くん……俺のことどう思ってんだろ。やっぱ嫌いなのかな……」

「……どうでしょうね」

「俺の話聞いてくれっかな……」

「聞いてもらえないからと言って諦められたら、血眼で探し出した俺の時間を返して欲しいです」

「言うよな……お前も」

「俺にとっても……可愛い猫でしたからね、翔さんは」

「だな………」

「じゃあ先にタオル用意しますんで」



そう言って松本は踵を返した。




「………」


扉に持たれて、天井を仰ぐ。

少し……気持ちを落ち着けなければ。

手足の自由を奪って、一方的に苛んで。

グシャグシャのベッドの上でドロドロの体を晒したまま深い眠りについている彼を見ると、罪悪感が増す。


寝てる間でさえ、手錠を外してやれない自分の心の……なんと狭いこと。

逃げられることがトラウマになっていた。


「翔くん………」


口元に手を当て、昨夜の彼へ思いを馳せる。


固くなった入口に、別れてからの彼が……誰にもその体を許してこなかったことが伺えて、心が痺れた昨日。

それだけ必死に生きてきたってことだろうけど、嬉しかった。

俺の心を興奮させたのは、それだけじゃない。

……彼の体が俺の愛撫を覚えていたかのように……色を変えて、悦んでるのが手に取るように分かって、堪らなかった。


なのに……翔くんは俺を拒絶し続けて。




体はこの手に戻った。

あとは心。


愛してるんだ。

本当に、愛してる。

どうしたら……全部戻ってきてくれる?

明るくて溌剌として、小憎らしくて、愛らしい……

俺の大切な猫。



(だい……きら……い………)


意識が遠退く寸前も、泣きながらそう言った。

それが頭から離れない。



嫌いだなんて、そんなこと言わないで。

どうしてそんなに……つれないことを言うようになったの?

君が俺を見る目は……穏やかで優しくて、キラキラしてたのに。




(翔くん、愛してるよ)

(なっ!い、いきなりなんだよっ!)

(もう、顔赤くしちゃって、可愛いねぇ)

(からかってんじゃねぇっつーの)

(翔くんからも言ってほしいなぁ……)

(はぁっ?なんでだよ)

(いーじゃん。減るもんじゃないでしょ?言ってよぉ〜)

(もう………)



もう一度、やり直したい。



(一回しか言わねぇから、ちゃんと聞いてよ?)

(うんうん)

(……愛……してるよ……)




抵抗するのもいいけど。

出来れば早く折れてほしい。

出ないと俺……ホント何するか分からないよ。



君を愛してるのは……そんな悪い男だってこと。






《完》






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最近の私にしてはあっという間の更新でしたが、いかがでしたか??

先に終わったAmoreと共に、あとがきやろうかなと思ってます✨

どうぞ、よろしく〜✨