このお話はお山区分ですが、智翔です(>_<)
今後、BL的表現あり。これは素人が自己満足のために書く妄想小説です!!実際のものとは一切関係がありません汗。
大丈夫な方のみ、前へお進みくださいm(_ _)m
初めましての方はこちら。
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「……あれ❓」
気づかぬうちに寝落ちしたらしい。
ふと目が覚めると、電気が消されていて、間接照明がほんのり床をオレンジ色に照らしてた。
「…………」
掛け布団の上に寝転がっていたはずなのに、俺の体にはブランケットがかけられていた。
ふとした拍子に眠りに落ちて目が覚めた時、電気はつけっぱなしだし、布団だって被ってないことが当たり前だった俺だから。
こういうのは……何だか新鮮というかこそばゆいというか。
「あ……風呂……」
今何時か分からないけど、せっかく風呂に入るように言ってくれていたのに、入らないのはどうかと思って。
俺は電気をつけて、がさごそと紙袋を探って、買ってもらった下着やパジャマを開けた。
そしてそっと扉を開けてみる。
二階の廊下の電気は消されていたけど、一階からはテレビの音が聞こえてきた。
誰かが起きているらしい。
……気まずいけど、湯沸し器がまだついていたら……入らせてもらえたらいいな……。
そんなことを思いながら、ゆっくりとした足取りで廊下を歩いて、階段をそっと降りていく。
半分ぐらい降りた頃。
「あの子の人生やさかい。あの子が悔いのないようにしてくれたら私はそれでええ……」
「❗」
志保さんの声だ。
でも孝志さんの声はしない。電話中だろうか。
何となくそれ以上降り辛くなって、俺は段差に腰を下ろした。
志保さんは……多分俺の話をしていたから。
でも誰としているんだろうって、俺は耳を澄ませて聞いた。
すると。
「……あんたが言いたいことも分かるえ、相葉ちゃん」
「…………っ」
数分経った頃、志保さんの口から飛び出した名前に、俺はびっくりして思わず声を上げそうになった。慌てて口を抑える。
「私も知らんよ❓あの子がピアノを辞めたがってる理由なんてねぇ……」
「…………」
「せやかて、あの子が色々考えて、それで決めやったことを一度は認めてあげてもええ思うえ❓」
「…………」
「あんなに……好きやったんや。それをやりたくない言うんは……よっぽど何か思うことがあるんとちゃうやろか……コンテストで燃え尽きたやなんて……下手くそな嘘までついてねぇ……」
「…………」
「……私ら大人は……本人が言うてくるまで……見守るしかあらしませんなぁ……それでピアノから離れてしもても……私らにはどうも出来まへん。本人次第や」
「…………」
「しばらくな、学校休ませるんはそれもあるんえ」
……志保さんの言葉に、俺は神経を尖らせる。
いくら倒れたとは言え、俺の体調を考慮してにしては、えらく過保護だなって……思っていたけど、違うのか❓
固唾を飲んで、次の言葉を待った。
「ピアノから一旦離れたら、落ち着いて色々考えられるんかもしれんへん。どうしてもあの学校は……そういう時間が取られへんやろうしねぇ」
「…………」
「まだ10代の……人生振り返ったらほんのわずかな時間やさかい……立ち止まってゆっくり考えてもろて……それでもあの子が『辞めたい』言うたらその時は……あの子の気持ち、汲んでやってくれまへんか❓」
「…………」
「どうせもう少ししたら文化祭やろ❓ええ機会や思うえ」
俺は足音を立てないように立ち上がって、そしてゆっくり部屋に戻った。
そっと……扉を閉める。
志保さんは、昔から相手が子供だろうが大人だろうが、言ったことはそのまま受け止めて、よっぽどのことがなければ、人の決めたことに関して決して何にも言わない人だったことを思い出す。
放任主義と言えば乱暴かもしれないけど……その本人が決めたことは受け止めて、とりあえず見守る。
……言うのは簡単だけど、難しいことだと思う。
潤もニノも……みんな俺を心配してくれての行動だった。
もし、俺が……『ピアノが弾けない』と早めに言っていれば彼らの行動は変わったに違いない。
現に……そう言われたし。
雅紀は……どうなんだろう。
志保さんにああ言われて……どう思うんだろう。
俺がピアノを弾けないと言った時、雅紀は自分を責めてしまうんじゃないだろうか。
「…………」
……雅紀を……悲しませたくない。
でもこうなった以上……俺も覚悟を決めないといけないのかもしれない。
変に期待をさせずに、すっぱり諦めさせて。
それが雅紀を悲しませてしまっても。
……これからずっと雅紀のせいじゃないんだと言い続けるしかない。
彼の立場を……脅かしてしまった贖罪には到底ならないだろうけど。
俺は……この休み中に考えることにした。
雅紀にどう切り出そうか。
これからどうしていくかはっきりさせるためにも。
この時俺は……ピアノから離れることを決心してた。
あんなに時間をかけて向き合ったところで、ピアノは俺の元に戻ってきてくれなかったから。
人生の半分以上を傾けたピアノに別れを告げる。
その時が刻一刻と近づいていることも、俺は……感じていた。
この数日後、俺の運命を変える出来事が起こるなんて……思いもしなかったから。
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頑張って書くぞー❗