治療のかなた遠くに | ゆるりん坊主のつぶやき―塩田妙玄

ゆるりん坊主のつぶやき―塩田妙玄

猫は一日中、寝てるんじゃなくて
瞑想しているそう・・・・・
極意を伝授して欲しい・・・・・

 

ベルベル長い、長い、長い間、続けてきたゴローの治療。

 

 

いつも、いつも、いつも、

気持ち良く寝ているところを捕まって、

 

 

膿んでしまう爪の付け根を洗浄し、

目やの周りを拭いて、

難治性口内炎と舌の潰瘍と炎症の注射。

 

 

口周りがベタベタになり、激臭で、

拭くのだけど、口が痛いので嫌がられ、

 

 

長毛のゴローは毛の手入れもしなければならず、

長毛の子は、元気なときはゴージャスキラキラで美しいけど、

外を駆け回る本来の姿には無用の長物。

 

 

具合が悪いし、舌が痛いから、

もう数年前から自分でグルーミングができず。

 

 

具合の悪いゴローの毛のお手入れは、

毛が絡まって皮膚を引っ張ってしまうところを

ハサミで切るだけにしなきゃ・・・

 

 

なのだけど・・・・・

どうしても毛玉があると・・・・

 

うずうず滝汗あせるあせる

 

 

 

ここ数か月は点滴が欠かせず、

ひと月前からは、毎日になり・・・・。

 

 

 

それでも、ゴローは、

どんな嫌な治療をされても、

ときには痛いことも多々ある治療をしても、

 

怒ってはいたけれど、ムキーメラメラメラメラメラメラ

 

嫌がってはいたけれど、ムキーむかっむかっむかっむかっ

 

 

それでも、ただの一度も、

何年もの間、ただの一度も、

噛んだり、引っかいたりすることはしなかった。

 

 

そんなゴローが

 

1週間前にゴロー本人が

 

 

「もう嫌だ!!」えーんえーんえーん

 

 

と、治療とご飯を本気で拒否したので、

 

 

一切の治療をやめました。

 

 

そして、あれこれ皿を並べて、

ゴローの目の前に置くこともやめました。

 

 

それは、ゴローの生の終焉を意味します。

 

 

 

外が好きで、気がつくと外にいたゴロー。

 

 

脱水が進んで、渇きで目も閉じづらくなり、

それでも、よろよろと、

自分で自分の行きたいところへ行くゴロー。

 

 

 

ウサギ小屋のよしずに、もたれかかるようにしています。

 

 

 

さっきまで雨雨雨が降っていたので、愛さんが

濡れたゴローを室内に入れたがったのですが、

 

「愛さん、身体だけ拭いて、ここに置いてあげましょうよ。

ゴローがよろけながら、自分でここに来たから」照れ

 

 

 

 

そろそろ、身の置き所を探し出したゴロー。

こんなに脱水していて、たまに痙攣も始まっているのに、

まだ、転びながらも立ち上がり、

場所を移動するゴロー。

 

 

 

 

愛さんが

「安楽死してもらおう!見ていられない!辛そうだ!」

と、苦悶の表情で、何度も何度も、安楽死を考えます。

 

 

 

もう治療法がない。

痛みや苦しみを取ってあげるすべがない。

 

 

これは私がブラックジャックと呼んでいた

稀代の名医の安楽死の定義ですが、

 

 

私も同感で、愛さんと私の安楽死に対する意見は

あまり異なることがないのですが、

 

 

 

ゴローを見ていると、なんといいますか

気概を感じるのです。

 

 

「愛さん。ゴローはもう時折痙攣も始まって、

点滴をしていないから、朦朧とし始めているし、

確かに辛い・だるいはあると思うのですが、

痛い・苦しいはないように思えるので、

このままゴローの大好きなここで逝かせましょうよ」

 

 

そんな提案をしました。

 

 

 

もう終わる命。

 

 

安楽死でもいいタイミングかもしれないのですが、

 

なんでしょう・・・・。

 

 

もう朦朧とするときがあり、たまに意識が飛ぶので、

そんなこの世とあの世の意識の行き来が始まった

ゴローをケージに入れて山道をガタガタ行けば、

変に覚醒して苦しいような気がしたのです。

 

 

 

安楽死は関わっている者たちが同じ気持ちでないと

できません。

 

 

愛さんは

「そうかぁ・・・朦朧としているならいいけど」

 

と、少しホッとしてみたり

 

 

「でも、まだ立つんだよ!意識があるから移動するんだよ!

安楽死をお願いしよう!」

 

と、涙ながらに願ったりで。

 

 

ゴローは、あの世とこの世を逝ったり来たり

 

愛さんは、安楽死と施設で送る状況を行ったり来たり。

 

 

愛おしい子への切なる思いは、

切なさと狂おしさと、

願いや祈りがごちゃ混ぜになって、

天と地上をいったりきたりしています。