後七日御修法(ごしちにちみしほ)の事は、
後七日御修法とは、承和元年(834年)、宮中に真言院という、密教の修法を行うための道場をつくり、翌年から行ったのが始まりで、
空海が天皇の許可を得て始めたもの。
現在は東寺の灌頂院に場所を移して行われています。
期間は、毎年1月8日から14日までの七日間。
真言宗の僧侶の中では、なんとかこれを取次ぎたい!と熱望し、
何しろ、空海さんが始めた修法で、千年以上経ちますが、今でも全く変わらず伝承されたままを行っているのですからね。
この、伝承、というの、好きですね~
御修法では、空海さんが使用していたと云われる念珠などの法具を使用したりもします。
また、これは単なる東寺の行事というわけではなくて、国家規模の行事なのです。
そりゃあ機会があればやってみたい、
ですので、こちらの修法ができるのは、選ばれた高僧十数名で、
しかし、私の祖父(先先代住職)も父(先代住職)も、
場所が遠いせいもあるかもしれません。
まあ、例え、話を聞いていたとしても、
後七日御修法は、何かが前にあって、
で、何がこの前にあるのかというと、前七日節会(ぜんしちにちせちえ)の神事です。
こちらは、宮中(皇室)で行われる、神道式の儀式。
前七日に対する後七日で、この二つは対になっているのですね。
神道だけでも、仏教だけでもだめで、両方揃って完成なのだなあと感じます。
そして、これは、繰り返しますが、東寺の行事というより、国家行事なのです。
道場には、天皇の御衣が運び込まれ安置、お加持されます。
そして、天皇のお身体が安らかであるよう、国がますます栄え、人々が豊かであるよう、ご祈祷するのですね。
いや、知らなかったです。
国家規模で修法している宗派は、天台宗と真言宗のほかにない、とのことだそうです。
どのように修法が行われているのかは秘密なので、私も知る由もありませんが、
「複数の僧が同時進行で供養や護摩を行う、まるでオーケストラのようなもの」だと聞いたことがあります。
七日間の修法が終わった最終日には、道場を開放。
一般の方が入って見学できます。
ですので、東寺周辺にお住いの方にとっては、身近な行事なのでしょう。
ニュースにもなりますしね。
私は平成27年に行く機会がありまして、三角や四角の護摩壇を初めて見ました。
この時にしか登場しない、不思議なお供え物のお菓子も。
また、この世のものとは思えぬくらい素晴らしい曼荼羅と出会いました。
生きてて良かった! ってくらい感動しまして、
今回、上野の東寺展でも、それが見られるかと期待して行きましたが、
あの曼荼羅は来てなかったです。残念。
まだ新しい、ぴかぴかの彩色を施した鮮やかな曼荼羅でした。
幸せなことに、その前に立っている、というお役目でして、
色の取り合わせも、描かれている形も、すべて私好みで、触れるほどのところにおりまして、底冷えのする厳しい日でしたが、曼荼羅に出会えた幸せにしばし浸っていました。
今回の上野には来ていませんが、そのことを差し引いても、とても見ごたえのある展示。
特に、後七日御修法の行われる道場内を、一部再現した展示がありますので、滅多に見られない、特別な護摩壇などをぜひご覧になってください。
他にも、空海さんの書いた字と最澄さんの字を見比べてみたり、
いろいろな仏像を、背中に回り込んで見てみたり、
法具の美しいデザインに心震わせてみたりしてくださいませ。
「国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅」は
2019年6月2日(日)まで。
東京国立博物館 平成館(上野公園)にて開催中です。
こちらは2018年12月、東寺の弘法市にて