続、死んでも終わらん⑦
○○県 ○○市北郊外の山間の郷、
○○峡と呼ばれる○○川河川上流の谷間に朱色の××橋が有り、傍らには××神社、春ともなれば水上に三百本からの鯉のぼりが泳ぐ。
向かいの丘の上にホテル☆☆☆!が有り、その敷地の並びの奥に従業員寮と社宅が有る。
ホテルから一望する広い○○平野には、眼下の××川が貫き、そして××海へと流出て行く。
遠く右手には○○県××の××岳も見える。
すぐ目の前には○○自動車道が走り左手の○○インターもすぐ近い、
○○川沿いを車で北へ向かうと××峠を越えて○○県の××区へと続く。
(これじゃぁ、全く理解出来ません?いろいろ差し障りが有りますので!ご理解を・・・)
平成三年三月、××橋の傍では鯉のぼりの設置作業が地元××町職員と商工会で進んでいる、鯉の吹き流しである。
ようやく寒さも和らぎ桜の蕾も膨らみかけた。
ホテルの管理課主任、岩崎伸二36歳、入社二年目の独身X1男で寮生活。そして可愛さ余って苦渋の懐妊、塚原早紀17歳、高校中退家出少女は伸二と密かに同棲中・・・?
歳の差よりも未成年!事と次第じゃ犯罪者?
逃亡中の早紀の父、文太がDrug使用罪で遂に逮捕された。
文太の行方不明からは早紀が定期的に連絡を取るようにしていた文太の愛人、純子の蒼白の報告だった。
純子は市内のアパートに住んでいた。
文太と別れたい、でも別れられない自分と葛藤していると彼女は言うが?早紀にはかなり不可解な女だった。
伸二は内心ホッとしていた、通常ならば此処で親なり親族なり代理人なりそれらしき者達が現れて、一悶着も二悶着も有る処。
ましてや親父は元ヤクザだと言う、しかし!其の彼は今塀の中。
本人には手も足も出せない、たとえ一年二年の刑期だとしても・・・
ともあれ早紀は17歳にして本当に独りになってしまったのだ。
今更親類をたらい回しにされる年頃でも無い、かと言って故郷の一軒家で独り暮らしも辛いだろう。
とりあえず、家がどうなっているのか早紀の実家へ行く事にした。
故郷○○と言っても繁華街からはちょっと離れた××川のそば、堤防道路と旧道に挟まれその高低差の為に一階玄関は旧道側へ下りた所から入り、中二階が堤防道路と同じ位いの高さになる。その階下は倉庫で、居間やキッチンが旧道よりチョイ高の平家建て、3DKの納戸付き。
よく見りゃ玄関上にもうひとつ納戸が有り?そこから天井を伝って居間の押し入れ天井へと続く!まるでカラクリ屋敷。
驚いたのは居間の祭壇?、三歳位いの子供程に大きな不動明王が奉ってあった事。白木の無垢の木彫りで背にはあの烈しく燃える後光だけが赤く塗られ、線香やロ-ソクによる自然な艶と言うか?信仰の渋沢が妖しく立ちはだかって居た。
その上の欄間には、龍の一刀彫り、傍らの仏壇が小さく見える。
なるほど!と伸二は感心していた。何故になるほど!なのか?・・・
すぐ近所に本家が有り、
塚原家の長男とその隣家の次男に早紀だけが相談に出掛けた。
待ってる間にその本家の婆ちゃんが仏壇に参りに来たが、こんにちわ!だけで何も聞かずに帰って行った。文太の母親82歳だった、まだ自転車に乗って買い物に行くのだそうだ。
婆ちゃんも文太に関わるどんな事にも動じなくなった、のだろうか?
兄弟皆、騒ぐ者は誰もいなかった。
つづく