結果をシビアに見る | アメリカの大学院で勉強する、舞のもぐもぐブログ

アメリカの大学院で勉強する、舞のもぐもぐブログ

旧『ベナンで活動する舞のもぐもぐブログ』 

2008年6月~2010年6月の2年間、青年海外協力隊として西アフリカのベナンという国で活動しました。

2012年8月から2014年5月まで、アメリカのブランダイス大学院(Brandeis University)で国際開発学を勉強しました。

 『Monitoring &Evaluation (プロジェクトのモニタリングと評価)』
(通称 M&E=エムニー)という授業のスケジュールがめっちゃくちゃあせる

先生が忙しすぎて休講が2回もあった上に、
ボストンマラソン爆破事件の影響で
3回分の授業がキャンセル (通常授業+補講2時間を予定していた)。

そのため周りが夏休みに入っても
補講と課題提出に追われるハメに・・ (> <)

Monitoring & Evaluation、留学  グループワークの様子

でもこの授業では、
プロジェクトの効果を見るときの視点目、という大事なことを学んだ。

例えば・・『私たちは2万人に識字教室を行った!』
というNGOがいたとする。
2万人も!?ショック! すごいなーって思う。

だけど、Fundraising(資金調達)のクラスで、
あるクラスメイトがこんなことを熱く語っていた。

「2万人研修したからって何?その結果は?
NGOはこれだけの規模のことをしたってよくアピールするけど、
私たちは寄付するために、その結果の方を知りたいの!」


そう、プロジェクトの結果を見るときは、次の視点があるらしい。

Result Chain (結果の連鎖)
クローバー Inputs (活動を行うために投入したもの)
クローバー Activities (活動内容*細かい段階に分けられる)

クローバー Outputs (活動の結果提供された物やサービス)
クローバー Outcome (短期~中期の影響・効果:プロジェクト後1~5年)
クローバー Impact (長期の効果:5年以上)


特に大事なのは、アウトプットアウトカム
ややこしいんだけど、『2万人へ配布された教科書と2ヶ月間の識字教室』っていうのはアウトプット。
そして『その後その村で10%識字率が上がった』 というのがアウトカム。

NGOなどに寄付するときには、
アウトプットよりもアウトカムの方に注目する方がいい。
なぜなら、たとえ2万人に研修しても、
研修の効果が出なかったら意味が無いからだ。
(研修の質が悪い、住民に覚える気が無かった、などあるかもしれないし、
そもそもその研修が必要だったのか、という疑問もある)

注目してみるとほとんどのNGOは
これをやった、あれをやったと、アウトプットの方ばかりをアピールしている。
アウトカムは測るのが難しかったり、
時間やお金がかかったりするからだ。

効果の測り方は色々ある。例えば・・

あじさい アンケート Questionnaires
あじさい 参加型調査(PRA)
 ※参考記事 『新たな挫折』
あじさい グループディスカッション Focus Group Discussion
あじさい インタビュー Semi-Structured Interview
あじさい ケーススタディ Case Study
あじさい 観察 Direct Observation
あじさい 書籍の参考 Documentation Review
 ・・などなど。

それぞれに長所と短所があるので、
予算や目的に合わせて、組み合わせたりしてやるのだキラキラ

それを踏まえてグループ課題では、ある条件を与えられて
自分達でプロジェクトの評価方法を計画することになっていた。

23ページのグループ課題の提出締切間近。
気づけば「ここ書き直して!」「ここが違う」とダメだし係に。
私は他の授業の課題を抱えて切羽詰まっていたため、
自分ではできないっていう汗
ただただ口を出すうるさい人・・お局さま状態となっていたガーン

みんなごめん~~~しょぼん と思いつつ、ついつい口を出さずにはいられない。
それでもみんな文句も言わず協力してくれて、なんとかギリギリ提出。
良いものを提出することができたのだった☆ はぁ~DASH!


そして、個人の課題では食糧保障
(Food Security = 食べものの手にいれやすさ;作る、交換、買う)
をどうやって測るのか、について調べることにした。

FAOという国連機関が紹介してるのは次の5つの方法ひらめき電球
1.Qualitative Method
     飢えに関する個別のインタビュー
2.FAO Method 
     国の食糧バランスシートから1人当たりの消費カロリーを計算
3.Individual Survey Method 
     個人がどんな食べものをどれくらい食べているかの
     アンケートやインタビュー
4.Household, Income and Expenditure Survey (HIES)
     家庭ごとのアンケート&インタビュー 
     (食べもの消費量、家庭内の食べものの配分など)
5.Anthropometry
     身長と体重を量る、大人はBMIで計算

   ※詳しくは FAO 『Measuring Food Insecurity』

よく見る「何百人飢えてます」っていう飢餓のデータは、
FAO Methodのように、
1人あたりの食べものの消費量を
平均で出して計算しているらしい。(食糧生産+輸入などを国の人口で割る)

Food Security (食糧保障)の先生は言う。
「平均っていうのは何も教えてくれない。
例えばね、あるバーにいる人の平均所得を計算するとしよう。
そこにビルゲイツが現れてしまったら、
その平均はいきなり跳ね上がるだろう・・」


完璧な方法などない。だからデータを見せられたとき、
それを鵜呑みにするのではなく、
どうやって測られたものなのかシビアに見ていきたいものだ得意げ