世界で広まる貯蓄グループ | アメリカの大学院で勉強する、舞のもぐもぐブログ

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旧『ベナンで活動する舞のもぐもぐブログ』 

2008年6月~2010年6月の2年間、青年海外協力隊として西アフリカのベナンという国で活動しました。

2012年8月から2014年5月まで、アメリカのブランダイス大学院(Brandeis University)で国際開発学を勉強しました。

すっかり春が来て、キャンパスにきれいな花が咲き乱れる頃・・

ブランダイス、留学  ブランダイス、留学

『Microenterprise Development and Finance (小規模ビジネス・開発と融資)』
という授業の最終課題の書き直し中。
しかも、1ヶ月遅れで・・(-_- )汗

これじゃ成績がつけられない、と返ってきてしまったのだ。えーんしょぼん

先生のアドバイスで、
マイクロクレジット (Microcredit) と貯蓄グループ (Saving groups) の違いを踏まえて、
貯蓄グループの方がいい!という主張で書くことになった。本


『マイクロクレジット』 (小額融資) という言葉は
グラミン銀行モ・ハメド・ユヌス氏
ノーベル平和賞王冠1 を受賞したことで、すっかり有名になった。キラキラ
少ない金額を貧しい人たちに貸し出すことなんだけど、
今まで無視されてきた貧しい人たちが
お金を返す能力がちゃんとある、
ということを示し世界をびっくりさせた。

グラミン銀行からマイクロクレジットを受けた人は、
2009年には700万人にもなり、返済率も95%以上を記録したらしいショック!

その一方で、色んな国の色んな金融機関で行われている
マイクロクレジットの利率は、20%以上だったりする。
グラミン銀行の利率は20%以下と決められてるけど、
実はマイクロクレジット自体には、利率の定義が無い。

高い金利のせいでインドでは、
借金を負い自殺者が続出したというニュース (Indian Microfinance Crash) がある。
例えば・・『インドを襲うマイクロファイナンスの悲劇、借金苦で貧困層の自殺多発』
      『存亡の淵「マイクロファイナンス」』

さらに金融機関は大抵都市部にあるので、
遠くに住む本当に貧しい人達がサービスを受けにくいのも事実。

・・・おやしらず

話変わって、貯金¥ の仕方は伝統的に
ROSCA (Rotating Savings and Credit Association) というものがある。
月1回や週1回など集まって、決まった金額を持ち寄り、
集まった全額を回ごとにメンバー1人に順番で渡していく、というもの。
ベナンでは、TonTine (トンチン) と呼ばれていた。

だけどこれだと、貸し出される金額も貸し出される順番も
初めから決まっていて、柔軟に対応できないというデメリットがあるしょぼん
貯蓄グループは、このROSCAから発展したもので、
貯める金額や借りる人・金額を柔軟に決められるもの。

私が今回特に参考にしたのは、
CARE というNGOが行っている 
VS&LAs (Village Savings and Loan Associations)  というモデルキラキラ

マイクロクレジットと何が違うかというと・・

1.貸し出す金額、利率、返済期間など自分達で決められる


マイクロクレジットは小さなビジネスを始める用だけど、
お金は他にも、日常で必要な服・食べものに加え、
学費や結婚式など人生の節目で、
そして、病気や災害など緊急時でも必要になったりする。
そういった色んな目的に合わせて、
グループのみんなで金額や利率などを決めることができるのだ☆

他にも規則や返済できない時のペナルティについて、
参加型でみんなで話し合って決めることで、
理解が深まるし、守ろうという責任感が芽生える。


2.目の前で実際のお金の出し入れが行われる

だからごまかしにくいらしい。
VS&LAsモデルでは、Pass Book本 というシンプルな帳簿を使うそうだけど、
Oxfamが行っている Saving for Change というプログラムでは
 (※参考記事 『貯蓄グループの作り方』  )
読み書きができない村用に、口頭で記憶する、という方法
(オーラル・アカウンティング・システム) を取っているらしいひらめき電球

お金の管理方法は、重い箱かカギ付ポーチなど。
箱はグループの会計係が管理し、
3つカギカギ が揃わないと開けられないようにして、
会計係以外の3人別々の人にカギを渡す。
万が一お金が貯まりすぎたら、グループの口座を開いて預けることも。

なるほどねぇ~・・。


3.一番の大きな違いは、利率が低くお金が貯まりやすい

管理費用がかからないので、
マイクロクレジットより利率が低く済む。
そして何より、利子がメンバーに直接還元される

マイクロクレジットでは利子が金融機関に入るので、
借りた分より返す分が多くなる。
でも貯蓄グループでは、利子はグループの金庫に行くので
借りた分より最後にもらう分が多くなる可能性が高い。
借りずに貯金だけしてた人はなおさら。
そりゃモチベーションと団結力が高まるはずだキラキラ


あ~、これを協力隊時代に知ってたらなぁ・・ (-_- )
きっとマイクロクレジットをせずに、貯蓄グループを作ってたと思う。

貯蓄グループは今どんどん世界で広まっているようなので、
マイクロクレジットより、『セービンググループ(貯蓄グループ)』 という言葉が
これからもっと有名になるかもしれない得意げ


※このテーマについてもっと知りたい人は、マイクロクレジットのポータルサイトへ。
 先生がオススメしてくれたサイトで、色んな情報が載ってます
→ マイクロファイナンス・ゲートウェイ (Microfinance Gateway) 英語

※そもそもどうして自分で貯金しにくいか、については
 『貧しい人達が貯金ができないワケ』  の記事を参考。