ベナンでの2年間の生活が
遠い遠い夢のような出来事に変わった。
全てが客観的に見えて
私の中で 『思い出』 に変わったのだ。
ベナンを出発して25時間、
飛行機はようやく日本に降り立つ。
なつかしい日本、
飛行機の窓から田園風景が見えたときは
涙が出そうになった。
「2年ぶりに日本に帰る」
というこの不思議な感覚は
とても言葉じゃ表しきれない。
成田に着いてはしゃぎまくる私たち。
早速売店に行ってみる。

「見て! ポテチとおにぎりが売ってる~!!」
「日本のお金ひさびさに使った! 新鮮。」
「お金渡したら、頂戴いたします って
言われてびっくりした!!」
「あそこで 納豆の粒 売ってたよ。」 「まじで!?」
「なんか小銭を作ろうとしてる自分がいる。」 「分かる~!!」
「このサッシェ※がさぁ~」 「サッシェっていうな!(笑)」
「いやいや、このサッシェちゃんと持つところがあって、
しかも持ちやすいようにくるくるしてもらったんだよ」
※ベナンではビニール袋のことをサッシェと言う
周りからはどんな風に映ってたんだろう・・

日本に着いてささいなことにも感動した。
2年ぶりの日本・・・目にする1つ1つが
とても新鮮でうれしかった。
だけど、感動はつかの間で
「そういえばそんな感じだった」
と、長年自分の体に染み付いた感覚を思い出すのに
さほど時間はかからなかった。
そうやって日本の感覚を1つ1つ取り戻していくたびに、
私の中の 「ベナン」 は夢のような
遠い思い出に変わっていった。