ようやく決着がついた。
何と?
ネズミである。
あれは忘れもしない11月のある晩。
玄関のドアを見つめてぼーっと考え事をしたときのこと。
いきなりネズミがドアの隙間から入ってきたのである。

「・・・今のは見なかったことにしよう」
と思い込もうとしても、その晩から
私とネズミとの共同生活が始まってしまった。
夜中3時を過ぎると毎晩のように
寝室のとなりの部屋からビニール袋をあさる
「ゴソゴソ」 という音が聞こえてきた。
天井裏も、どれだけ元気なんだっていうくらいに
走り回っている。
食べ物の被害はほとんど無いが、
小麦粉をかじられていたり、
なぜかイヤホンの先をかじられていたこともある。
夜机に向かっていると、
足元をとことこ走っていく姿が見える。
小さいならまだかわいいが、見るとこぶしくらいの大きさがある。
その姿を見つけるたびに、なぜか、心底がっかりしてしまうのである。
極めつけは、2010年の年が明けて数時間たった夜中、
トイレの電気をつけると、ネズミがぱっと飛び出してきたことである。
あれは本当にびっくりしたし、
年明け早々嫌な思い出ができてしまった。

ネズミの糞からでも感染症がうつる、とか
他の協力隊員がベッドの蚊帳の中でネズミに指をかじられた、
なんていう話を聞くだけで怖くなってしまう。
「もう、こんな生活は嫌だ」
と思い始めていた矢先、
JICAがネズミ駆除業者を頼んでくれることになった。
部屋の隅に毒が入っているえさを仕掛けるらしい。

えさを取り付けた次の日には、
使っていない部屋から早速2匹の死骸が出てきた。
その業者さんは、ちりとりにネズミの死骸を乗せて持ったまま、
他にもないかと家の中をてきぱき歩いて探し回る。
私は怖くて逃げ回っていた。
死骸を持ったままあちこち動き回らないでってば><
いやいやそれにしても難しくはなさそうだけど
本当に大変な仕事だよ。
1日目にえさの取り付けをし、
2日目と3日目にネズミの死骸を探す、
それを2回繰り返し計6日間のプログラム。
すぐに静かな平和な夜が戻ってきた。
静かすぎて物足りないくらいだ。
長い長い戦いの決着。
6ヶ月間、なすすべもなくずーっと負けっぱなしだった。
最後の逆転勝ちである☆
