初めて役員交代のための選挙が行われた。

グループは2002年に設立されて以来、
ずーっと同じ役員でやってきた。
2006年に法人登録をした時、
『3年ごとに役員を交代する』
とルールを決め、2010年の今年
初めてその時がやってきたのだ。
役員の中には会のリーダーである 「会長」 職も含まれ、
いったい誰が選ばれるか、がみんなの注目の的となっている。
有力候補は2人。
1、次期会長を狙う秘書 (本命)
人あたりが良く、メンバーからの信頼も厚い。
市役所や福祉センターからも慕われている。
ただし、思い切りの良さや勢いが足りず、
会のお金の使い方や仕事の能力は
現会長と比べると物足りなさを感じる。
2、現会長
やる気は人一倍あり、人脈や仕事の能力が高い。
会のお金の使い方は申し分なく、
彼の勢いに乗って今まで新しい活動を始めることができた。
ただし態度が横柄で、
メンバーや周りとの衝突が絶えない。
個人的にキーホルダーを販売したこともあれば、
値段をごまかして会のお金を騙し取っていたことも判明している。
私は、半年前会長を辞任させようと必死になったが、
今となってはどっちでもいい心境だ。
確かに会長は、値段をごまかすし
態度も横柄でいつも問題ばかり起こしているのだけれど、
例えばお金の使い方については、
いつも私はものすごく賛成なのである。
例えば・・・
会のお金の使い道について、秘書が
「みんなで分けよう」 または 「タムタム (太鼓) を買おう」
と言い、メンバーが賛成する中で
会長だけは、
「タムタムを買って何になる、
それでお金が手に入るのか。
金融機関にお金を預けて、
毎月出る利息分でメンバーにマイクロクレジット (小額融資)
をする方法がある」
と言っていた。
私は思わず、

そして、今日の選挙を向かえるまで
微妙な人間関係が交錯した。
秘書は・・・
啓発イベントの前スポンサー周りをした際に
「私が会を設立したんです、この私が!」
と何度も主張。
啓発イベント中の音楽では
どさくさにまぎれて 「会を設立したのは秘書~♪」
という歌詞でメンバーに歌わせていたらしい。
会長が何か悪いことをすると、
会長が席を外した時にここぞとばかりに
彼がいかに良くないかをメンバーにアピールしていた。
一方現会長は・・・
次期会長の座を狙う秘書が嫌いなようで、
エイズ研修のときには秘書を参加者としてカウントせず、
参加手当てを彼に支払わないなど
ちょっとした嫌がらせをよくしていた。
1月にはメンバー宅を訪問し
「自分を会長に選ばなかったらどうなるか分かってるのか」
とメンバーを脅し周った、という噂 (あくまでも) も立っている。
いったいどうなるのだろう・・・
と、ハラハラしながらこの日を迎えたのだった。
出席者 22名。
会長への立候補者は 5人。
選挙方法は、挙手をする方法で行われた。
目が見えない人たちなので、
誰が誰に投票したかはお互い分からないようになっている。
さすがの私もドキドキしたが、
選挙は実にあっさりと終わった。
現会長 5票
秘書 14票
他3名、それぞれ1票のみ (自分の票だけ)
現会長は、「ぜひ秘書に」 と
メンバー全員からの推薦があったのに彼は固く断り
結局どの役職にもつかなかった。
プライドの高い彼は、現秘書の下で
働くことはできないんだろう。
もしかしたらもう、グループに参加するつもりが無いのかもしれない。
現会長がもし選ばれなかったら、
彼は怒りまくって暴れだすんじゃないかと思ったが、
最後まで特に問題は起こらず、
最後に現会長と新会長の挨拶を終えて
無事、初めての選挙は終わったのだった。
ふぅ~。

・・・結局、「流れ」 だったのだと思う。
去年、会長がキーホルダーを個人的に販売し始め、
私が大いに問題にした頃から、
会長交代の兆しは見えていた。
以前、市役所や福祉センター、そして私も
必死になって会長を交代させようとしたがだめだった。
でも時がめぐって、グループが自然と会長を交代させた。
このとき、私が感じたこと、それは・・・
「もうすぐ、私の視覚障害者グループとの活動が終わるんだなぁ」
ということ。
問題だらけで、いつもけんかばかりしていた
会長との怒涛の日々が終わった。
グループも全ての役員を変えて新しいステージに立った。
スピードは落ちると思う、
でも新しい会長の下で仲良く団結力があり、
周りから応援されるいいグループになっていくに違いない。