残り10日をきった頃。
なかなか集まらないスポンサーのお金と
迫ってくるイベントの日を前に、
大きな大きな不安を抱えていた。
そんな状況の中、
スポンサー周りで、ある人を訪れたとき、
初対面なのにものの5分で
7万フラン (約1万4千円)を
ポンと渡してくれた人がいた!
な、7万・・・。

その人は忙しく業務に追われながら、
アポなしで突然訪れた私たちを紳士に対応し、
最後に優しい目で微笑んだ。
私にはその人が神さま

帰り際、一緒にスポンサー周りをしていた秘書と
つい涙ぐんで、
「よかったね~!」 と喜びあった。
これでスポンサーの合計金額は
今までの 5万6千フラン から、
いきなり 12万6千フラン (約2万5千円) となり、
支出予定の 17万フラン (約3万4千円) まで
あと4万4千フラン (約8千円) となった。
やったぁ~!!o(^-^)o

4万フラン (約8千円) くらいなら、
当日の募金で集めることは可能なので
これでようやくスポンサー周りから
解放されると思った。ところが・・
会長も、一緒にスポンサー周りをしている秘書も
「あと4万フランどうしよう、イベントまで時間が無い、
もっともっとスポンサー周りをするぞ!!」
とかなり焦り気味。

結局、彼らのやる気とあせりに押され、
ますますスポンサー周りに励むことになった。
か、かんべんして・・。

ますます暑くなる天気。
活動しかできない、全く余裕の無い毎日。
正直こんなに活動が嫌になったことは無かった。
やる気があることはいいことだけど、
彼らのやる気に私の体がついていかない・・。

『・・・や、やめたい。もう本当に嫌だ~』
と、毎晩眠りにつく前何度も思った。
そんな中、スポンサー依頼の手紙を見て
電話をくれた人がいた。
手紙なんて100通以上配っているので、
正直誰か分からないまま、会う約束をした。
その人は夜に車で私の家に直接来たのだけど、
私は疲れて寝ていたため、
寝ぼけた頭で何とか対応した。
その人はお金を渡して、「数えなさい」 と言った。
・・え、数えるほどあるの!?
と思って数えてみると、
1万フラン (約2千円) がなんと、8枚あった。
は、8万・・・。

その人は去り際に、
「知り合いのテレビに、当日の取材を頼んでおくから」
と言い残して去っていった。
去っていく車を寝ぼけた頭でぽか~んと見送る。
『・・で、誰だったんだろう?』
と思いながら、今起こったことが
しばらく整理できないでいた。
ここ数日、あまりにも色んなことが起こりすぎて、
何だかもうよく分からなかったのだ。
ただ、8万フランだけが妙な存在感を持って、
手元にずっしりと残っていた。