
「日本に帰るほどでもない、帰ってきてほしくない」
と言われ、私はこうしてまだベナンにいる。
突然すぎたこの知らせは衝撃だった。
1年4ヶ月もベナンで過ごしていると、
さすがの私も少し日本が恋しくなっていた時期だった。
そんな思いはさすがに一瞬で吹き飛び、
代わりに 「いつ帰ってもおかしくない」
という現実的な覚悟ができた。
ちょうど、日本に一時帰国していた同期の協力隊員が
ベナンに戻れなくなった、
ということを知ったばかりであった。
それが他人事でなくなり、
『次は私かもしれないな』 と漠然と思ったりした。
その電話の直後、
視覚障害者グループのメンバーが私を頼ってきたり、
近所の家族の家でご飯をごちそうになったり、
そんなすっかり日常となってしまった
当たり前の風景が、急に特別に見えた。
やっぱり私は、ベナンに来させてもらっているんだなぁ・・。
「ちょっとお見舞い」 にすら行けない私は、
ただ遠くから祈るしかなかった。