すると、ある女の人に話しかけられた。
彼女 「私の夫、2週間前に死んだのよ」
私 「・・え!?」
彼女 「そう、死んだの。」
私 「なんで。前、足の病気って言ってなかった?」
彼女 「足だけじゃなかった。お腹も、内臓も悪かったの」
私 「・・・・・。」
何も言えなくなってしまった。
いつだったか、彼女と話したことがあった。
「人生はハードだ」
とため息交じりに語っていた。

4人の子供を抱え、
夫は足の病気で働けず、
薬代の5万フラン (約1万2千円) が
払えないと言っていた。
そんな話はよく聞く話だし、
キリが無いので、
お金はあげられない、と思った。
その代わり気休めにしかならないとは思ったけれど、
「きっといいことがあるよ」
と、携帯につけていた
お守りの石をプレゼントしたのだった。

・・あの時からそんなに時間は経っていない。
罪悪感が胸いっぱいに広がった。
命に関わると知っていれば・・
5万フランくらい、渡せばよかった・・。
目の前にいる人を救えない。
私はどうしてここにいるのだろう、
と思わずにはいられなかった。