舞台観てきました。
「ホロヴィッツとの対話」。渋谷・PARCO劇場。
渡辺謙さん12年ぶりの舞台出演作品とのこと。

作・演出は三谷幸喜さん。
共演が段田安則さん、高泉淳子さん、和久井映見さん。

ピアニストのウラジーミル・ホロヴィッツと、ホロヴィッツお気に入りの調律師フランツ・ホフ、そしてそれぞれの妻との物語。もちろんいずれも実在の人物で、そしてホフ氏はまだご存命であるとのことです(パンフレットにご本人へのインタビュー掲載)。


前売りの時にどうしようかなー…なんて悠長に構えていたら当然のごとくチケット完売で;当日券は観劇当日の朝から受付になる事前電話予約のみということで。

朝から350回(!)リダイヤルしまくって何とか取れました。
頑張った(苦笑)

題材に興味があったのは勿論ながら、加えて渡辺謙さんの芝居ををPARCOの距離で観られるって凄いことなんじゃ…?なんていうミーハー心も正直全開でした。
三谷作品を舞台で拝見するのも初でしたよー。


ホロヴィッツ役が段田さん。その奥様が高泉さん。
調律師ホフが渡辺謙さん。奥様に和久井さん。

ストーリーは全く複雑じゃないです。ホフ夫妻の自宅ディナーにホロヴィッツ夫妻がお呼ばれしたある一夜の会話劇。ちなみに喜劇です(私は前日に初めて知りました…)。


とりあえず、段田さんが物凄かったです。
芝居がとんでもない。あれは凄い。
老け役で、偏屈な天才老ピアニストなのですが。これがもうとにかく可愛いの(笑)

人物としての見せ方は凄く三谷作品的です。
すごくワガママですごく偏屈な「古畑任三郎」の今泉警部という感じ(伝わります?)。
段田さんの緩急の付け方が絶妙なんですよね。やり過ぎても引きすぎてもない。それでいて作られた「キャラクター」じゃなくて、ちゃんと「人間」。
舞台人、さすがです。素晴らしかった。


渡辺謙さんは、“あの”渡辺謙なのに出しゃばらない存在感というのが。これ、映像で培われた上手さなのかなぁと思います。圧倒的に自然。客席に降りてきたりしても多分、違和感ないと思う。

いわゆる舞台的な芝居ではないし、とりわけ目を引くでもないのですが、でもちゃんとそこに「いる」の。渡辺謙が、オーラ無く普通に自然にそこにいるの。

……凄いことなのでは?;

確かに、ホフがしっかり普通でないとホロヴィッツの天才ならではの偏屈さ、奇抜さ、気難しさやオーラが映えてこないんですよね。段田さんが青天井に、芝居を作り込みまくらなきゃいけなくなる。そうすると作り物のキャラクターになっちゃう気がする。

謙さん凄いです。さすがです。


そして作品の後半、ホフが自らの半生を独白する場面。
圧巻でした。

彼が滔々と事実を語るだけで、当時彼がいたその場の映像からその時の心情から、すべてが「真実として」こちら側に流れ込んでくる。しかも押しつけがましくなく、自然に。

謙さん、やっぱり凄いです。


高泉淳子さんは世代的に山田のぼるくんのイメージ(^^)
お芝居を生で拝見するのは初でしたが、さすがでした。

大変にご経験を積まれた女優さんなので、技術的なことはさることながら。何よりちゃんとね、イタリア人なんですよ。亡命したロシア人の妻で、ドイツ人夫婦を訪ねて来た、イタリア人妻。スペインでもアメリカでもない、紛うことなくイタリア人の陽気さと佇まい。
素晴らしかった。


和久井映見さんは今回が初舞台なんですね。
声が確かに細くて弱いなーとは思うのですが、でも良かったです。舞台で見せる芝居になっていらしたし、それでいて自然だし、何より本当に可愛い!すごく魅力的。

やっぱり長く女優を続けてこられた方だなぁと思いました。永作博美さんや宮沢りえさんを初めて舞台で拝見した時と同じ感想を持ちました。いい女優さん。


舞台転換のやり方が素敵だったー!

大道具の家具が載った台座がパズルみたいに分解されて、敷かれたレールでそれごと横にスライドさせて一気に丸ごと入れ替えるの。幕上がったままで薄明るいから一部始終見えてるのですが、転換させてる黒子の姿は一切見えない。カッコいい!!

後方にスクリーンを挟んで生演奏のピアノが1台。これが舞台音楽+効果音。舞台上にも大道具として1台設置してあります(もちろんスタンウェイ!)。

大変に三谷作品らしい音楽だなぁ…なんて思っていたのですが、作曲&演奏を担当されてるの、これまでずっとたくさんの三谷作品で作曲を担当されてきたそのご本人だったのですね;
無知で申し訳ないです。失礼いたしました…。

音楽の効果、本当に大きかったです。
心地よく三谷さんの世界観に包まれまくった感じでした。


作品のね、終わり方も素敵でした。
本当に本当に素敵だった。素晴らしかった。
声高に訴える人間賛歌でも人生讃歌でもない、
“ただの”会話喜劇。

素晴らしかった。


客席にぎやかでした。
みんなどっかんどっかんウケてた(笑)

出演者さん、別にギャグとかかましてないんだよー。変なアドリブも入れてない。
それでもすごく面白かった。思わず声に出して笑ってしまうようなおかしみ。笑い。なんて上質な喜劇!

「何度も観たくなる」という感じではないのです。
観たくないのではなくて、一度で心の底の底まで満足できる。
三谷さんのテキストの巧みさ、そしてそれを見事に板の上に上げることができる役者さんたちの技量に、改めて感じ入りました。

手が痛くなるまで全力で拍手し続けたのなんていつ以来だろう。
そうだよ、これなんだよ、舞台ってお芝居って凄いんだよ。


あーもー、大満足です。