■声優になる条件(2019/03改) | SFラジオアニメ ラジオドラマ 音声ドラマ

当ページを要約すると、

・事務所に所属するなら(マネ協)(声事協)に加盟した事務所が有利


・所属した事務所が加盟していてもTVアニメの業務が来ない所も有る


・所属した事務所が加盟して無ければTVアニメ業務は新人なら難しい


・TVアニメの業務を望むなら、無所属(フリー)が動きやすい…


・それでも、TVアニメ業界に通じる役職者との繋がりは とても重要

※役職者=プロデューサー/監督/音響監督/音響制作会社/脚本家/スポンサー


詳細は以下に記載しましたが、長文です。ご了承下さい。

《注》

ここでは解り易く 『声優』 と記載しましたが、そういう肩書はありません。

正しくは 演者/演技者/役者/俳優 が肩書で、声優業/声優業務と表します。

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■声優になる条件

 

「声優になりたい!」

その最初の動機はTVアニメーション/ゲームで思う人が多いのでは…

では、どうしたらプロの声優になれるのでしょうか。

と、その前に声優の創世記について簡単に書きましょう。

 

1970年代前半、声優に関する育成機関は殆どなく、声優は劇団のアルバイトとして存在していました。

そしてみんなが声優という物にあこがれを持つ様になったきっかけは、1977年公開の劇場アニメ『宇宙戦艦ヤマト』の空前の大ヒット~ブームによるところが大きいでしょう。

それをきっかけに、アニメーション関連の専門学校、声優事務所も生まれ、アニメ雑誌「アニメージュ」も創刊されました。

声優の歴史、そして声優への道筋もここから確立して行ったのです。


その声優という一つの文化を築いてきた人、それはまさしく声優という仕事を始めた大先輩たち、そして声優も含む俳優の大先輩たちです。

だからこそ、ここで一つ皆さんにしっかり認識して欲しい事、それは 「声優は芸能界の仕事である」 という事です。

 

■声優を目指す事は、芸能界を目指す事

 

芸能界… それこそ半世紀を超えて確立された格式ある世界。

決まり事や約束事など普通の生活では解らない事、ましてや「礼儀」「道理」「作法」が希薄になった現代では、それを覚える事も重要な事です。お礼/言葉遣い/気配り/服装も重要です。

通常この部分を「現場で覚える事」と言って来たのかも知れませんが、私は早くに知って損はないと思っています。

 

では最初に戻って、どうしたらプロの声優になれるのでしょうか。

実は、今話した芸能界の決まり事 というのが深く関係しています。

芸能界/メディアの世界には、 その業界を末永く安定して続ける為に、 いくつもの「協会」「連盟」「連合」という団体が存在します。

声優に関する世界にも 例えば

 

日本音声製作者連盟(音声連)
http://www.onseiren.com

日本俳優連合(日俳連)
http://www.nippairen.com

日本芸能マネージメント事業者協会(マネ協)
http://www.manekyo.com/member/

日本声優事業社協議会(声事協)
http://sei-yu.net/member/index.html

 

という物があります。

特に声優の業務に深く関係しているのが、(日俳連)(マネ協)(声事協)でしょうか。

 

・日俳連=役者個人が登録する所

・マネ協=事務所/劇団/団体が加盟する所

・声事協=事務所/劇団/団体が加盟する所

 

TV・劇場アニメの声優業務/大手ゲームの声優業務をするには、事務所・劇団・団体 または個人が上記3つのどれかに「加盟/登録」していなければ、業界の取り決め上、業務は一切できません。

もし加盟してない事務所に所属し、契約書を交わしてしまうと、業務は一切できなくなります。むしろ無所属で居た方が自由がきく可能性があります。(条件は過酷になりますが。下記詳細)

 

■声優になる為に思う事

 

皆さんが声優になる為に思う事、それは「事務所への所属」。

実はキャスティング(配役の検討/オーディション)の段階では、役者が事務所の所属である事は重要ではありません。むしろ一般の者でも対象に成りうるのです。

稀にTV/劇場作品の一般オーディションが出来るのは、これが理由です。

 

事務所の所属である事が重要となるのは配役(業務)が確定したあと、そこで初めて「何処の事務所に所属しているのか?」となります。言ってしまえば、一般の者でも配役確定後に預って貰える事務所があれば業務は出来るのです。ただし、条件があります。


 一般の者が

・TV・映画・ゲームのオーディション情報を入手する手段を持ってるか?

・プロと同等/上回る表現力・技術力を持っているか?

・オーディションに合格した場合、預かる事務所のツテがあるか?

 

これをクリアしたなら、一般でも声優業務をする可能性はあります。

そうは言ってもオーディションには所属レベルが出てくるので、簡単ではありません。

だからみんな、事務所の所属というレベルを目指すのです。

しかし、所属した事務所が もしも(マネ協)にも(声事協)にも加盟してなかったら、TVアニメや大手ゲームの業務をするのは難しいでしょう。

でも、不可能ではありません。

 

数十名の総出演者に比例して用意された1~2人の特別な一般枠(主に新人歌手や俳優デビュー等で使われます)。

または個人が(日俳連)に登録していれば可能です。

ただ(日俳連)については、登録=ランクのカウント開始 という事です。

無名で(日俳連)に登録すれば、仕事がないのにランクだけ年々上がっていくという事になります。

(日俳連)には年間6回以上の業務で入るもの、それが最も賢明です。

それまでの新人の間は、事務所が(マネ協)か(声事協)に加盟している事が大変有利になります。

上記(マネ協)(声事協)のアドレスで、加盟事務所が確認できます。

どちらか片方でも記載がある事務所は、TV・劇場アニメの声優業務/大手ゲームの声優業務は問題なくできる事務所です。

記載がない事務所の新人は、TVアニメや大手ゲームの仕事をするのは非常に難しいでしょう。間違いなく事務所に向けて大手オーディション情報は行きません。

 

■所属する事務所

 

最近は所属の際に「所属金」を要求する事務所があります。

オーディション後 「所属にするが所属金が必要」 と言われるそうです。

所属ビジネスとも言いますが、概ね(マネ協)(声事協)に加盟が無い所です。上記団体に加盟する事務所では、所属になる際「所属金」という金銭が発生する事は殆どありません。

養成所に入る為にお金がかかるかも知れませんが、それは技術を習う為のお金なので「所属金」とは違います。詳しくは、上記団体のアドレスから各事務所のHPで記載しています。

是非一度確認して下さい。

 

一方で、声優業務を芸人の方や俳優の方、タレントさんが行うようになってきました。

俳優の方は大半(日俳連)に入っていますから、何も問題はありません。

芸人の方やタレントさんの場合、事務所が(マネ協)(声事協)でなくても、音楽や芸能に関する団体に加盟しているもので、出演料の折り合いが合えば可能になってきています。

何処にいても声優業務は出来ますが、しっかりした団体に事務所が加盟している事、何より演者に「声優」としての技術がある事は絶対条件、そしてその技術が音響の制作《現場》に認知される事が最も重要です。

 

COUPS Enterprise / 番組声優団体

 

「COUPS Enterprise(クーズ・エンタープライズ)」や「番組声優団体」は、声優事務所でも養成所でもありません。

ここは、音響監督・音響制作会社や声優事務所に業務を発注する 製作です。 (制作とは別です)

製作とは俗に 『制作費を出す所』 と言われます。ですから 『製作委員会』 とはそういう集まりになりますね。

私にとって製作とは、『制作が解る事(者)』だと考えます。というより、そう教わった気がします。

画とは? 明暗とは? 間とは? SEとは? 音楽とは? 演技とは? 感情とは?…

そしてそれは何処が受け持つ物事なのか、どうすれば納品されるのか、それが解って指示する所(者)、それが製作だと思います。

でも 「ここは製作だ」 と言いながら自ら収録現場を持ち、番組の枠を持って番組制作までして放送をしています。(放送は かつしかFM様)

これではモノ作り制作その物、やり過ぎです。ただ それをする理由…

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番組 (アニメ・ラジオ・TV・本・雑誌… メディア全て) は、お客様に向けた物、充実した時間を過ごして頂く為の物です。

私はアニメ-ション製作の環境に居ましたから、それを主に考えますが、「お客様に十分届いているだろうか」と疑問に思いました。

凄く正確に言うと、「今後も今と変わらず、いやそれ以上に、お客様に届いていくだろうか」 そう思いました。

答えは 『不安である』 というもの。

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《 製作 → 制作 → お客様 》

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これが凄く簡単な 『番組がお客様に届くまで』 の図です。

《製作》 は変わらず制作費を出します。ビジネスですし、それでご飯を食べるのですから当然です。そこに変化は余りありません。

一つ飛んで 《お客様》 。ここにも変化はありません。

良い物には 「いい!」、 悪い物には「つまらん!」 と言うのです。

でもそれで良くて、制作者は日々精進して 「いい!」を目指すのです。

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では 《制作》。何もしてないかと言うと、そこは違って進化してます。

皆さんも知っての通り、技術革新が目覚ましいのです。

絵は手書きからCGへ、音は磁気テープからデジタル・データへ改変しました。

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改変… そこに置き去りにされた業務があります。役者の演技です。

でも安心! Adobe はデジタル音声で、声を再生してくれます。

原稿通りに、違和感なく、今はもう居ない人の声まで再生します。

これで我々製作は、良い作品を皆さんに、いつでもお届け出来ます!

………

……

いいのでしょうか? 役者は、声優は不要と言う事です。

でも声優という業務が無くなる訳じゃない。そこに価値が求められる。

価値… 《みんなに良く知られた》 という存在感、でしょうか。

今後の役者・声優が持つべき物、それは演技力の他に「品質」です。

「品質」とは声の質。私が気になるのは「発音」。

「さ行」が言えない、「ち」「つ」が言えない。「ら行」がいえない…

歯間音だからイヤホンだと耳を ブチ抜かれます。

でも実は大御所の声優さんは、当たり前に出来た事なのです。

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私は、私の手で発音を治そうと思いました。

作品も、出来れば面白くしたいと思いました。

そして私の元を訪れた役者は 『良い演技がしたい』 とやってきました。

音も綺麗に出したいと思う様になってくれました。

製作と演者、この両者の方向性が合致したのが、この場所です。

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だから番組に出る役者には 表現力(身体能力/声の品質/発声技術/台本読解力)を、番組の本番収録であっても要求します。

それは 《製作》 が求める、現場の「品質」だからです。

それがまだ解らない人・未到達の人の為に、 《プロの現場》 でも要求される「表現力」を教える 《環境》を用意しました。それが番組が行っている「講習」です。


■声優になる為に必要な物

 

現状、声優になろうと思って動けば、【多額なお金】が必要です。

「技術を習い、身に付けたその技術でお金を稼ぐのだから仕方ない…」

だから職業訓練と同じなのかも知れません。


でも「多額なお金」という理由で最初から声優を諦めてしまう人がいて、優秀な演技者が埋もれている可能性があるとしたら…

それは、原版/作品を保持してビジネスをする私達《製作者》にとっては大変な損失です。

せめて、お金が 「高い/安い」 を選べる環境であるべきと思いました。

しかし当然そこには「声優事務所の養成所」と言う安心感とは反対の、「可能性は自分で切り開く」という自発性が必要になるのです。

だからココに、可能性を切り開ける場所(番組)を作りました。

 

COUPS(クーズ)の主たる目的は、あくまで作品を制作し放送する事で声優の育成ではありません。

声優事務所にするつもりも、養成所を作るつもりもありません。

なぜなら、それは もう世の中に既に有るからです。

もし、この番組で声優としてやって行ける力を身に付けたなら、正規の事務所/音響監督に送り出す手段を常に構築しています。

反対に、「協会」に加盟する事務所の所属が当番組・団体には居ます。きっと新たに手に入れたい業/経験値/繋がり(=コネクション)を求めているのだと思います。

ただ、番組制作側も演者自身も 「作品を良くしたい!」 という願望は同じです。

だから番組は、作品を良くする為に 「表現力」 の改善を演者に促し続けるのです。


声優になる為に必要な物、それは「お金」という物質ではなく、それに込める「思い」がどれだけ重いか、前に進もうとする「意力」がどれだけ強いのか、だと考えます。

「正しい道」 の上で 「正しい事」 を行って 「正しい力」 を身に付ければ、思いは現実になるはずです。

 

■条件はただ一つ、「上手くなる事」

 

大半の者が事務所の所属を《ゴール》にしています。

だから、その先にある《現場》に到達できないのだと思います。

ここは声優職をやる為の新たな道筋、もう一つの手段という環境です。

《現場》そのものでもあり競争の場、だからこそ特殊な場所です。

少なくとも当番組のお客様には、失礼になってはなりません。

しかしココが楽しくなければ、お客様に楽しさは伝わりません。

だからここでの条件はただ一つ、楽しく前向きに「上手くなる事」、それだけです。

 

私は原版を保持する他製作者の為に 『今こそ必要だと感じた物』 それは質の底上げをする事でした。

その為に、プロの《現場レベル》を知らない人に寄せた、現場を知れる開かれた場所を作ろうと考えました。

事務所の所属を目指す事と同じ様に、是非《現場》を目指して欲しいと願います。


プロデューサー 風間俊輝(仲河美希)